公開日 2024/09/25

【医師解説】クーイングとは?喃語とは?始まる時期や役割、赤ちゃんの言葉の発達について解説

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清益 功浩 先生

「クーイングとは何?」「喃語とは何?」「クーイングと喃語ってどんな違いがあるの?」「いつから始まる?」そんなお悩みを感じてはいませんか。クーイングとは、赤ちゃんが機嫌の良い時に発する母音を中心とした音のことです。口腔内が発達してきた証拠であり、発語の前段階ともされています。

この記事では、クーイングと喃語の違い、赤ちゃんの言葉の発達について解説しました。ぜひこの記事を参考に、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。

クーイングとは

クーイングとは、赤ちゃんが発する「あー」「うー」といった母音中心の一音節の音声のことです。舌や唇を使わずに、喉や口の変形によって発せられる音声で、生後1ヶ月頃から始まり、生後2〜3ヶ月頃に頻繁に聞かれるようになります。

赤ちゃんが機嫌の良い時やママ・パパとのやりとりの中でよく見られ、泣き声や叫び声とは違って、リラックスしている時に自然に出てくるのが特徴です。また、クーイングは言葉を話す準備段階でもあり、赤ちゃんの声を出す器官が発達してきた証拠でもあります。

クーイングと喃語の違い

クーイングと喃語には、以下のような違いがあります。

クーイング

喃語

時期

生後1ヶ月頃から始まる

生後4〜6ヶ月頃から始まる

音声

「あー」「うー」のような母音中心の音声

「ばばば」のような子音と母音を組み合わせた連続音

発声の仕組み

唇や舌を使わない単音の発声

唇や舌を使う複雑な発声

特徴

赤ちゃんが機嫌良く、リラックスしている時に聞かれる

赤ちゃんの意思で発せられる意味のない言葉

クーイングから喃語への変化は、口腔内の発達によるもので、赤ちゃんの聴覚や喉の筋肉・運動機能の成長を示しています。

クーイングと喃語はいつから始まる?目安の時期

クーイングは、生後1ヶ月頃から始まり、2〜3ヶ月頃によく声を出すようになるといわれています。しかし、クーイングや喃語が始まる時期は個人差があります。赤ちゃんの言語の発達目安は、以下のとおりです。

新生児期

喉の構造が未発達なため、泣き声や呼吸に伴う反射的な声が中心

生後1~3ヶ月頃

下あごや喉の発達とともにクーイングが始まる

生後4〜6ヶ月頃

母音だけの音から喃語が始まり、クーイングが減っていく

生後8~9ヶ月頃

喃語に子音が混ざるようになる

発音がはっきりしてくる

1歳頃

喃語への移行に伴い、クーイングはほとんど聞かれなくなる

1歳~1歳半頃

喃語が終わり、言葉を話し始める

基本的に、生後4〜6ヶ月頃に喃語が始まると、クーイングは徐々に見られなくなります。1歳〜1歳半頃には、喃語の発音がはっきりしてくるので、言葉を話し始めるようになる子がほとんどです。

クーイングや喃語の役割

クーイング役割

クーイングや喃語は、赤ちゃんがコミュニケーションを取ろうとするサインです。ママやパパが優しく応えることで、赤ちゃんは人とのやりとりを学んでいきます。

また、クーイングや喃語の変化は、赤ちゃんの声を出す器官の発達を示す指標にもなり、喉や舌・唇の動きの練習にも欠かせません。喃語を話している時期の赤ちゃんは、世界中の言語の音を聞き取れるとされているため、外国語教育に興味がある人は、さまざまな言語で話しかけてみるのも良いでしょう。

昨今では、クーイングの少ない赤ちゃんが増えている傾向にあります。クーイングは「プレジャーサイン」とも呼ばれ、赤ちゃんの機嫌の良さを示すサインでもあるので、積極的に反応してあげましょう。

【月齢別】赤ちゃんの言葉の発達

言葉の発達

赤ちゃんの言葉は、月齢に応じて以下のように発達していきます。

  • 生後0ヶ月〜:泣く
  • 生後1〜4ヶ月:クーイング
  • 生後4〜6ヶ月:喃語
  • 生後7〜9ヶ月:指差し
  • 1歳前後:一語文

発達はあくまでも目安なので、時期と前後しているからといって過度に心配する必要はありません。

生後0ヶ月〜:泣く

生まれたばかりの赤ちゃんは、泣くことが唯一のコミュニケーション手段です。空腹やおむつの不快感・眠い時など、さまざまな欲求を泣き声で表現します。

泣き方によって伝えたいことは異なりますが、正確に欲求を聞き分けるのは簡単ではありません。そのため、赤ちゃんが泣いたら以下のポイントを確認しましょう。

  • おなかが空いていないか
  • おむつが濡れていないか
  • 部屋の温度は快適か

赤ちゃんから不快を取り除いても泣き止まない場合は、優しく抱っこしたり、落ち着く音楽をかけたりして、寝かしつけると良いでしょう。

泣き声に耳を傾けながら対応することで、少しずつ赤ちゃんの気持ちが理解できるようになります。

生後1〜4ヶ月:クーイング

生後1〜2ヶ月頃になると、赤ちゃんの機嫌が良い時に、「あー」「うー」といった単音を伸ばした声(クーイング)が聞こえてくるでしょう。

クーイングは、口や声帯などの声を出す器官が発達しつつあり、将来の言葉の基礎となります。赤ちゃんの目線に合わせて優しくおうむ返しをしたり褒めたりして、コミュニケーションを楽しむのがおすすめです。

ただし、クーイングの頻度には個人差があるので、少なくても無理に声を出させる必要はありません。自分の声を耳で聞いておもしろがり、クーイングを繰り返す子もいるので、赤ちゃんが自由に声を出せる環境を整えるのが重要です。

生後4〜6ヶ月:喃語

生後4〜5ヶ月頃になると、舌や唇を使った発声が可能になるので、声の幅が広がり喃語が始まります。首がすわることで、周りへの興味も深まり、感情表現も豊かになるので、泣き声や笑い声で気持ちを読み取りやすくなるでしょう。

喃語の初期段階は母音中心ですが、徐々に子音も加わっていきます。遊び期ともいわれ、赤ちゃんは口や喉を使って、音を確かめるようになるのが特徴です。また、自分の名前を認識し始め、周囲も喃語から感情を察せるようになってきます。

生後7〜9ヶ月:指差し

生後7〜9ヶ月頃になると赤ちゃんの世界が広がり、興味を引いたものや欲しいものに人差し指を向ける指差しが始まります。

まだ言葉で欲求や意思を伝えられない赤ちゃんにとって、指差しは感情を共有する重要なコミュニケーション手段の一つです。

道端の花や空を指さして声をかけたり、おもちゃを2つ見せて選ばせたりすることで、効果的に指差しをしていくことになります。絵本を読み聞かせる際に、一緒に指差しするのも良いでしょう。

生後9ヶ月頃になると喃語が多様化するので、さまざまな音の組み合わせが聞かれるようになり、意味が生まれ始めます。大人の言葉との関連づけも進むため、喃語から発語へと移行していくのが特徴です。

1歳前後:一語文

1歳頃になると、「マンマ」や「パパ」など、両唇を使った音を話し始めるようになります。発音のしやすさから、パ行やバ行・マ行の音が最初の言葉になる場合が大半です。

1歳半頃には、「ワンワン」や「ニャンニャン」といった音の繰り返しも上手になってきます。身の回りのものや親の名前などの具体的な言葉を理解し始めます。

「わんわん」は犬・「ぶーぶ」は車というように、言葉と意味を結びつけられるようになるのも特徴です。また、1歳前後の赤ちゃんは、「もっと」「だっこ」など、自分の欲求を言葉で伝えようとし、言葉の発達が急速に進んでいきます。

クーイングや喃語が始まらない4つの理由

クーイングや喃語が始まらない場合、以下のような理由が考えられます。

  1. 喉などの身体の発達が未熟である
  2. コミュニケーションが不足している
  3. 聴覚に問題がある
  4. 発達に遅れがある

赤ちゃんの発達には個人差があるので、クーイングが始まらなくても焦らずに成長を見守りましょう。

1.喉などの身体の発達が未熟である

赤ちゃんによっては、骨格や声を出す声門の機能が整っていないことがあります。喃語を発するには、空気の調整や声門の開閉機能が整っている必要があるため、発声器官の発達が欠かせません。

そのため、喉の奥にある咽頭部のスペースが狭いと、複数の音を組み合わせる喃語の発声が難しくなる傾向にあります。ただし、クーイングが始まらないからといって、必ずしも言葉の発達が遅れているわけではありません。

クーイングや喃語を発する時期になってもほとんど声を出さない子もいるので、標準や目安に囚われ過ぎないのが重要です。また、クーイングや喃語が少なかったとしても、将来的な言葉の発達に影響することもありません。

赤ちゃんの成長ペースには個人差が大きいので、ママやパパが赤ちゃんに声をかけて、温かく見守っていきましょう。

2.コミュニケーションが不足している

ママやパパとのコミュニケーションが不足していると、赤ちゃんとの信頼関係が築けなくなってしまうため、喃語の発達に影響が出る可能性があります。

喃語の発達を促進するには、赤ちゃんをあやし、笑顔で応えるやりとりを繰り返すことで、双方向のコミュニケーションを育むのが重要です。

ママやパパの優しい表情や声・匂いが赤ちゃんの記憶に残り、「良い気持ちにさせてくれる人」という認識が生まれることによって、コミュニケーション意欲は引き出されます。

一方で、全ての要求を先回りして満たしてしまうと、赤ちゃんが自分の意思を伝えようとする気持ちが減ってしまうことがあります。

赤ちゃんがコミュニケーションをしたいと思える環境を作り、喃語の発達を促進していきましょう。

3.聴覚に問題がある

赤ちゃんは自分の声や周囲の音を聞くことで、喃語を促進させていくのが特徴です。聴覚に障害があると、自分の声が聞こえにくく、発語の楽しさを感じられなくなってしまいます。もしも聴覚に不安がある場合は、専門家に相談して、耳の聞こえを確認する新生児聴覚スクリーニング検査を受けましょう。

4.発達に遅れがある

赤ちゃんの発達には個人差がありますが、発達障害や知的障害によって、喃語の遅れが出る場合があります。発達障害と知的障害の特徴は以下のとおりです。

発達障害

先天性の脳機能障害

自閉スペクトラム症(ASD)が含まれる

社会性やコミュニケーションの発達が難しくなる場合がある

知的障害

18歳までの発達期に知的発達の遅れが見られること

社会生活に適応する能力が制限される状態

重度の場合、身体的な症状から小児科で気づかれるケースがある

ただし、乳児期に発達障害や知的障害の診断をするのは難しい場合がほとんどです。一方で、自閉症スペクトラム障害などの先天性脳機能障害があると、1〜2歳頃から以下のような特徴が見られる場合もあります。

  • 目が合わない
  • 名前を呼んでも反応しない
  • 感情の起伏が激しい

不安を感じる人は、小児科や地域の専門家に相談するのがおすすめです。

クーイングや喃語が始まらない時の対処法3選

クーイングや喃語が始まらない時は、以下のような対処をするのがおすすめです。

  1. 赤ちゃんとの会話を増やす
  2. 絵本の読み聞かせをする
  3. 焦らずに見守る

クーイングや喃語の始まる時期には個人差があるので、赤ちゃんの負担にならない範囲で取り組んでいきましょう。

1.赤ちゃんとの会話を増やす

赤ちゃんとのコミュニケーションを積極的に取ることで、発声への興味を引き出せる可能性があります。クーイングをしなくても、話しかけた際に赤ちゃんがじっと見つめる等の反応があれば、コミュニケーション能力は発達していると考えられます。

また、言葉のインプットは、赤ちゃんの言葉の発達に効果的です。身の回りのものや赤ちゃんが興味を示したものを説明することで、少しずつ言葉の量を増やせます。

2.絵本の読み聞かせをする

絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの言葉の発達を促すのに効果的な方法です。カラフルな絵や楽しい音が赤ちゃんの興味を引き出し、新しい世界への関心を育みます。

また、読み聞かせの時間は、言葉を学ぶだけでなく、赤ちゃんが周りの世界に関わっていく力を養う重要な機会です。さまざまなものに興味が湧いてくることで、声に出して伝えたいという意欲が向上します。

寝る前のひとときに絵本タイムを設けて、言葉の発達をサポートしながら、親子のコミュニケーションを深めていきましょう。

3.焦らずに見守る

赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、目安の時期にクーイングや喃語が始まらなくても、心配し過ぎる必要はありません。

決まった月齢で必ずクーイングや喃語が始まるわけではなく、1歳を過ぎてから突然「ママ」や「パパ」と呼び始める赤ちゃんもいます。

そのため、クーイングや喃語がなかなか出てこなくても、コミュニケーションを楽しむことに重点を置いて、成長を見守っていきましょう。

クーイングと喃語を通して赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみましょう

クーイングは、赤ちゃんの機嫌が良い時に発せられる母音のことで、口腔内が発達した証拠とされています。一方で、喃語は、子音と母音の連続音で、唇や舌を使う複雑な発声のことです。

赤ちゃんはクーイングから喃語、一語文・二語文と言葉の発達段階が進んでいきます。

ママやパパがクーイングに応えてあげることで、赤ちゃんはコミュニケーションを学んでいくので、積極的に話しかけるようにしましょう。ただし、赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、目安の時期にクーイングや喃語が始まらなかったからといって、過度に心配する必要はありません。

1歳を過ぎてから急に話し出すこともあるので、焦らずに見守りましょう。

頭の形測定

公開日 2024/09/25

【医師解説】クーイングとは?喃語とは?始まる時期や役割、赤ちゃんの言葉の発達について解説

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清益 功浩 先生

「クーイングとは何?」「喃語とは何?」「クーイングと喃語ってどんな違いがあるの?」「いつから始まる?」そんなお悩みを感じてはいませんか。クーイングとは、赤ちゃんが機嫌の良い時に発する母音を中心とした音のことです。口腔内が発達してきた証拠であり、発語の前段階ともされています。

この記事では、クーイングと喃語の違い、赤ちゃんの言葉の発達について解説しました。ぜひこの記事を参考に、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。

クーイングとは

クーイングとは、赤ちゃんが発する「あー」「うー」といった母音中心の一音節の音声のことです。舌や唇を使わずに、喉や口の変形によって発せられる音声で、生後1ヶ月頃から始まり、生後2〜3ヶ月頃に頻繁に聞かれるようになります。

赤ちゃんが機嫌の良い時やママ・パパとのやりとりの中でよく見られ、泣き声や叫び声とは違って、リラックスしている時に自然に出てくるのが特徴です。また、クーイングは言葉を話す準備段階でもあり、赤ちゃんの声を出す器官が発達してきた証拠でもあります。

クーイングと喃語の違い

クーイングと喃語には、以下のような違いがあります。

クーイング

喃語

時期

生後1ヶ月頃から始まる

生後4〜6ヶ月頃から始まる

音声

「あー」「うー」のような母音中心の音声

「ばばば」のような子音と母音を組み合わせた連続音

発声の仕組み

唇や舌を使わない単音の発声

唇や舌を使う複雑な発声

特徴

赤ちゃんが機嫌良く、リラックスしている時に聞かれる

赤ちゃんの意思で発せられる意味のない言葉

クーイングから喃語への変化は、口腔内の発達によるもので、赤ちゃんの聴覚や喉の筋肉・運動機能の成長を示しています。

クーイングと喃語はいつから始まる?目安の時期

クーイングは、生後1ヶ月頃から始まり、2〜3ヶ月頃によく声を出すようになるといわれています。しかし、クーイングや喃語が始まる時期は個人差があります。赤ちゃんの言語の発達目安は、以下のとおりです。

新生児期

喉の構造が未発達なため、泣き声や呼吸に伴う反射的な声が中心

生後1~3ヶ月頃

下あごや喉の発達とともにクーイングが始まる

生後4〜6ヶ月頃

母音だけの音から喃語が始まり、クーイングが減っていく

生後8~9ヶ月頃

喃語に子音が混ざるようになる

発音がはっきりしてくる

1歳頃

喃語への移行に伴い、クーイングはほとんど聞かれなくなる

1歳~1歳半頃

喃語が終わり、言葉を話し始める

基本的に、生後4〜6ヶ月頃に喃語が始まると、クーイングは徐々に見られなくなります。1歳〜1歳半頃には、喃語の発音がはっきりしてくるので、言葉を話し始めるようになる子がほとんどです。

クーイングや喃語の役割

クーイング役割

クーイングや喃語は、赤ちゃんがコミュニケーションを取ろうとするサインです。ママやパパが優しく応えることで、赤ちゃんは人とのやりとりを学んでいきます。

また、クーイングや喃語の変化は、赤ちゃんの声を出す器官の発達を示す指標にもなり、喉や舌・唇の動きの練習にも欠かせません。喃語を話している時期の赤ちゃんは、世界中の言語の音を聞き取れるとされているため、外国語教育に興味がある人は、さまざまな言語で話しかけてみるのも良いでしょう。

昨今では、クーイングの少ない赤ちゃんが増えている傾向にあります。クーイングは「プレジャーサイン」とも呼ばれ、赤ちゃんの機嫌の良さを示すサインでもあるので、積極的に反応してあげましょう。

【月齢別】赤ちゃんの言葉の発達

言葉の発達

赤ちゃんの言葉は、月齢に応じて以下のように発達していきます。

  • 生後0ヶ月〜:泣く
  • 生後1〜4ヶ月:クーイング
  • 生後4〜6ヶ月:喃語
  • 生後7〜9ヶ月:指差し
  • 1歳前後:一語文

発達はあくまでも目安なので、時期と前後しているからといって過度に心配する必要はありません。

生後0ヶ月〜:泣く

生まれたばかりの赤ちゃんは、泣くことが唯一のコミュニケーション手段です。空腹やおむつの不快感・眠い時など、さまざまな欲求を泣き声で表現します。

泣き方によって伝えたいことは異なりますが、正確に欲求を聞き分けるのは簡単ではありません。そのため、赤ちゃんが泣いたら以下のポイントを確認しましょう。

  • おなかが空いていないか
  • おむつが濡れていないか
  • 部屋の温度は快適か

赤ちゃんから不快を取り除いても泣き止まない場合は、優しく抱っこしたり、落ち着く音楽をかけたりして、寝かしつけると良いでしょう。

泣き声に耳を傾けながら対応することで、少しずつ赤ちゃんの気持ちが理解できるようになります。

生後1〜4ヶ月:クーイング

生後1〜2ヶ月頃になると、赤ちゃんの機嫌が良い時に、「あー」「うー」といった単音を伸ばした声(クーイング)が聞こえてくるでしょう。

クーイングは、口や声帯などの声を出す器官が発達しつつあり、将来の言葉の基礎となります。赤ちゃんの目線に合わせて優しくおうむ返しをしたり褒めたりして、コミュニケーションを楽しむのがおすすめです。

ただし、クーイングの頻度には個人差があるので、少なくても無理に声を出させる必要はありません。自分の声を耳で聞いておもしろがり、クーイングを繰り返す子もいるので、赤ちゃんが自由に声を出せる環境を整えるのが重要です。

生後4〜6ヶ月:喃語

生後4〜5ヶ月頃になると、舌や唇を使った発声が可能になるので、声の幅が広がり喃語が始まります。首がすわることで、周りへの興味も深まり、感情表現も豊かになるので、泣き声や笑い声で気持ちを読み取りやすくなるでしょう。

喃語の初期段階は母音中心ですが、徐々に子音も加わっていきます。遊び期ともいわれ、赤ちゃんは口や喉を使って、音を確かめるようになるのが特徴です。また、自分の名前を認識し始め、周囲も喃語から感情を察せるようになってきます。

生後7〜9ヶ月:指差し

生後7〜9ヶ月頃になると赤ちゃんの世界が広がり、興味を引いたものや欲しいものに人差し指を向ける指差しが始まります。

まだ言葉で欲求や意思を伝えられない赤ちゃんにとって、指差しは感情を共有する重要なコミュニケーション手段の一つです。

道端の花や空を指さして声をかけたり、おもちゃを2つ見せて選ばせたりすることで、効果的に指差しをしていくことになります。絵本を読み聞かせる際に、一緒に指差しするのも良いでしょう。

生後9ヶ月頃になると喃語が多様化するので、さまざまな音の組み合わせが聞かれるようになり、意味が生まれ始めます。大人の言葉との関連づけも進むため、喃語から発語へと移行していくのが特徴です。

1歳前後:一語文

1歳頃になると、「マンマ」や「パパ」など、両唇を使った音を話し始めるようになります。発音のしやすさから、パ行やバ行・マ行の音が最初の言葉になる場合が大半です。

1歳半頃には、「ワンワン」や「ニャンニャン」といった音の繰り返しも上手になってきます。身の回りのものや親の名前などの具体的な言葉を理解し始めます。

「わんわん」は犬・「ぶーぶ」は車というように、言葉と意味を結びつけられるようになるのも特徴です。また、1歳前後の赤ちゃんは、「もっと」「だっこ」など、自分の欲求を言葉で伝えようとし、言葉の発達が急速に進んでいきます。

クーイングや喃語が始まらない4つの理由

クーイングや喃語が始まらない場合、以下のような理由が考えられます。

  1. 喉などの身体の発達が未熟である
  2. コミュニケーションが不足している
  3. 聴覚に問題がある
  4. 発達に遅れがある

赤ちゃんの発達には個人差があるので、クーイングが始まらなくても焦らずに成長を見守りましょう。

1.喉などの身体の発達が未熟である

赤ちゃんによっては、骨格や声を出す声門の機能が整っていないことがあります。喃語を発するには、空気の調整や声門の開閉機能が整っている必要があるため、発声器官の発達が欠かせません。

そのため、喉の奥にある咽頭部のスペースが狭いと、複数の音を組み合わせる喃語の発声が難しくなる傾向にあります。ただし、クーイングが始まらないからといって、必ずしも言葉の発達が遅れているわけではありません。

クーイングや喃語を発する時期になってもほとんど声を出さない子もいるので、標準や目安に囚われ過ぎないのが重要です。また、クーイングや喃語が少なかったとしても、将来的な言葉の発達に影響することもありません。

赤ちゃんの成長ペースには個人差が大きいので、ママやパパが赤ちゃんに声をかけて、温かく見守っていきましょう。

2.コミュニケーションが不足している

ママやパパとのコミュニケーションが不足していると、赤ちゃんとの信頼関係が築けなくなってしまうため、喃語の発達に影響が出る可能性があります。

喃語の発達を促進するには、赤ちゃんをあやし、笑顔で応えるやりとりを繰り返すことで、双方向のコミュニケーションを育むのが重要です。

ママやパパの優しい表情や声・匂いが赤ちゃんの記憶に残り、「良い気持ちにさせてくれる人」という認識が生まれることによって、コミュニケーション意欲は引き出されます。

一方で、全ての要求を先回りして満たしてしまうと、赤ちゃんが自分の意思を伝えようとする気持ちが減ってしまうことがあります。

赤ちゃんがコミュニケーションをしたいと思える環境を作り、喃語の発達を促進していきましょう。

3.聴覚に問題がある

赤ちゃんは自分の声や周囲の音を聞くことで、喃語を促進させていくのが特徴です。聴覚に障害があると、自分の声が聞こえにくく、発語の楽しさを感じられなくなってしまいます。もしも聴覚に不安がある場合は、専門家に相談して、耳の聞こえを確認する新生児聴覚スクリーニング検査を受けましょう。

4.発達に遅れがある

赤ちゃんの発達には個人差がありますが、発達障害や知的障害によって、喃語の遅れが出る場合があります。発達障害と知的障害の特徴は以下のとおりです。

発達障害

先天性の脳機能障害

自閉スペクトラム症(ASD)が含まれる

社会性やコミュニケーションの発達が難しくなる場合がある

知的障害

18歳までの発達期に知的発達の遅れが見られること

社会生活に適応する能力が制限される状態

重度の場合、身体的な症状から小児科で気づかれるケースがある

ただし、乳児期に発達障害や知的障害の診断をするのは難しい場合がほとんどです。一方で、自閉症スペクトラム障害などの先天性脳機能障害があると、1〜2歳頃から以下のような特徴が見られる場合もあります。

  • 目が合わない
  • 名前を呼んでも反応しない
  • 感情の起伏が激しい

不安を感じる人は、小児科や地域の専門家に相談するのがおすすめです。

クーイングや喃語が始まらない時の対処法3選

クーイングや喃語が始まらない時は、以下のような対処をするのがおすすめです。

  1. 赤ちゃんとの会話を増やす
  2. 絵本の読み聞かせをする
  3. 焦らずに見守る

クーイングや喃語の始まる時期には個人差があるので、赤ちゃんの負担にならない範囲で取り組んでいきましょう。

1.赤ちゃんとの会話を増やす

赤ちゃんとのコミュニケーションを積極的に取ることで、発声への興味を引き出せる可能性があります。クーイングをしなくても、話しかけた際に赤ちゃんがじっと見つめる等の反応があれば、コミュニケーション能力は発達していると考えられます。

また、言葉のインプットは、赤ちゃんの言葉の発達に効果的です。身の回りのものや赤ちゃんが興味を示したものを説明することで、少しずつ言葉の量を増やせます。

2.絵本の読み聞かせをする

絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの言葉の発達を促すのに効果的な方法です。カラフルな絵や楽しい音が赤ちゃんの興味を引き出し、新しい世界への関心を育みます。

また、読み聞かせの時間は、言葉を学ぶだけでなく、赤ちゃんが周りの世界に関わっていく力を養う重要な機会です。さまざまなものに興味が湧いてくることで、声に出して伝えたいという意欲が向上します。

寝る前のひとときに絵本タイムを設けて、言葉の発達をサポートしながら、親子のコミュニケーションを深めていきましょう。

3.焦らずに見守る

赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、目安の時期にクーイングや喃語が始まらなくても、心配し過ぎる必要はありません。

決まった月齢で必ずクーイングや喃語が始まるわけではなく、1歳を過ぎてから突然「ママ」や「パパ」と呼び始める赤ちゃんもいます。

そのため、クーイングや喃語がなかなか出てこなくても、コミュニケーションを楽しむことに重点を置いて、成長を見守っていきましょう。

クーイングと喃語を通して赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しみましょう

クーイングは、赤ちゃんの機嫌が良い時に発せられる母音のことで、口腔内が発達した証拠とされています。一方で、喃語は、子音と母音の連続音で、唇や舌を使う複雑な発声のことです。

赤ちゃんはクーイングから喃語、一語文・二語文と言葉の発達段階が進んでいきます。

ママやパパがクーイングに応えてあげることで、赤ちゃんはコミュニケーションを学んでいくので、積極的に話しかけるようにしましょう。ただし、赤ちゃんの言葉の発達には個人差があるため、目安の時期にクーイングや喃語が始まらなかったからといって、過度に心配する必要はありません。

1歳を過ぎてから急に話し出すこともあるので、焦らずに見守りましょう。

頭の形測定