ヘルメット治療とは

費用・効果・流れ・安全性を徹底解説

頭蓋形状矯正ヘルメットを装着した赤ちゃんとお母さん

ヘルメット治療とは、頭蓋形状矯正ヘルメットを装着し、赤ちゃん自身の頭蓋の成長を利用して頭のゆがみを整える治療法です。ヘルメット矯正とも呼ばれます。斜頭症や短頭症(絶壁頭)など、外からの力によって生じた頭蓋変形が対象になります。

  • 対象は生後3〜12か月。頭蓋がやわらかく成長が速い生後6か月までの開始が推奨されます。
  • 費用の目安は一般的に約30〜60万円。医療費控除の対象になる場合があります。
  • 装着は1日23時間、通院は月1回程度。平均3〜4か月で治療を終えるケースが多くみられます。

このページでは、ヘルメット治療の仕組みから費用・流れ・効果・安全性、対応医療機関の探し方までを解説します。

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ヘルメット治療とは

ヘルメット治療は、頭蓋形状矯正ヘルメットを使い、赤ちゃん自身の頭蓋成長を方向づけて頭のゆがみを整える治療法です。「ヘルメット矯正」と呼ばれることもありますが、同じ治療を指します。強い力で頭を締めつけて変形を戻すものではありません。

頭蓋形状矯正ヘルメットの仕組み

赤ちゃんの頭蓋骨は、脳が急速に育つあいだやわらかい状態にあります。ヘルメットは、平らになった部分に成長のための空間を確保し、すでに出ている部分の成長は抑えることで、頭蓋が整った形へ育つよう誘導します。成長という自然な力を方向づける治療のため、装着時間の確保が結果に影響します。

ヘルメット治療の原理

治療の対象となる頭のゆがみ

ヘルメット治療の対象は、向き癖や寝る姿勢など、外からの力によって生じた頭蓋変形(位置的頭蓋変形症)です。

一方で、頭蓋骨の縫合が早期に癒合して起こる病的な頭蓋変形(頭蓋骨縫合早期癒合症など)は、外科的な治療が必要になるケースがあり、ヘルメット治療の対象とは異なります。自己判断はせず、まずは医療機関で診断を受けてください。

対象となる変形には斜頭症・短頭症・長頭症といったタイプがあります。各タイプの原因や見分け方は頭のゆがみの種類で解説しています。短頭症はいわゆる「絶壁頭」にあたる状態です。絶壁頭について詳しくは絶壁頭とはをご覧ください。

医療機器としての承認

日本では、治療に用いる頭蓋形状矯正ヘルメットは、厚生労働省から承認を受けた医療機器が使われます。医師の診断と処方のもとで治療が行われます。

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治療の流れ(受診から卒業まで)

ヘルメット治療は、受診・診断、ヘルメット作製・治療開始、装着・経過観察、卒業までの4ステップで進みます。

  1. 1受診・診断

    頭の形外来などで、視診・3Dスキャンにより頭のゆがみの重症度を評価します。病的な頭蓋変形が疑われる場合は、エコーやレントゲンで確認します。

  2. 2ヘルメット作製・治療開始

    3Dスキャンのデータをもとに、一人ひとりに合わせてヘルメットをオーダーメイドで作製します。作製から装着までの目安はおおむね1〜2週間です。医療機関でヘルメットを装着し、使用方法・注意点の説明を受けて治療を開始します。

  3. 3装着・経過観察

    1日23時間の装着を目標にします。装着開始直後は短い時間から始め、数日ほどかけて徐々に装着時間を延ばしていくのが一般的です。装着時間が長いほど平らな部分の成長が促されるため、治療効果は高くなります。ただし、発熱などの体調不良のほか、プールに入る、家族で記念写真を撮る、肌に赤みが出ているなどの場合に短時間外すことは問題ありません。ヘルメットのシェルとクッションは皮膚に長時間触れるため、定期的に洗浄して清潔に保ちます。月1回程度のペースで通院し、頭部やヘルメットの状態を確認します。入浴やお手入れの際は外します。

  4. 4卒業

    頭蓋の形が正常範囲に入る、改善が落ち着く、サイズアウトするなどの状況を踏まえ、担当医が治療の終了時期を判断します。

治療を受けるかどうかは、診断結果と医師の説明をふまえてご家族が決められます。

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費用の相場と医療費控除

ヘルメット治療にかかる費用は、診察・検査を含めて一般的に約30〜60万円が目安です。費用には、初診・検査(3Dスキャンなど)、ヘルメット本体の作製費、治療期間中の定期通院などが含まれます。金額は医療機関や使用する機器によって異なるため、受診時にご確認ください。

ヘルメット治療は公的医療保険の適用外(自由診療)となるのが一般的です。一方で、医師が継続的に介在する治療のため、医療費控除の対象になる場合があります。確定申告での申請が承認されるかは各税務署の判断によります。

費用の内訳や医療費控除の申請の進め方は、ヘルメット治療の費用で解説しています。

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治療の開始時期と期間

ヘルメット治療の対象は生後3〜12か月で、生後6か月までの開始が推奨されます。

生後3〜6か月は頭蓋骨がやわらかく成長も速いため、矯正の効果が出やすい時期とされています。生後6か月を過ぎると頭蓋の成長がゆるやかになり、整うペースも変わります。生後7か月以降は治療期間が長くなる、あるいは目標に達しにくくなる場合がありますが、対象月齢である12か月までは検討する価値があります。早産のお子さまは修正月齢をもとに判断します。

治療期間は2〜6か月、平均すると3〜4か月で卒業となるケースが多くみられます。ゆがみの程度が小さく、月齢が低いほど期間は短くなる傾向があります。

開始時期の月齢別の考え方はヘルメット治療はいつからで、治療を始めるか様子を見るかの判断はヘルメット治療は必要かで解説しています。

開始月齢と治療期間の目安を示した図解
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効果とエビデンス

ヘルメット治療の矯正効果は、国内外の複数の査読論文で報告されています。ここでは効果の評価方法と代表的な研究を紹介します。

矯正効果の評価指標(CVAI)

頭のゆがみの程度は、CVAI(Cranial Vault Asymmetry Index:頭蓋非対称率)などの指標で数値化して評価します。CVAIは、頭を上から見たときの2本の対角線の長さの差をもとに算出する百分率で、数値が大きいほど左右のゆがみが強いことを意味します。治療の前後でCVAIなどの数値を比較することで、矯正効果を客観的に確認できます。指標の詳細は頭のゆがみの重症度で解説しています。

CVAI(対角線差)の測り方を示した図解

国内の研究(多施設臨床研究・自然経過との比較)

日本国内の多施設共同臨床研究では、頭蓋形状矯正ヘルメットによる治療を行った赤ちゃんで、中等症・重症・最重症のすべての群で頭蓋のゆがみ(CVAI)が統計的に有意に改善し、平均3.5か月で治療を終えたと報告されています(Nagano N, et al. Journal of Clinical Medicine. 2024)。

また、日本の研究では、重度の斜頭症の赤ちゃんの約7割が2か月の自然経過では改善しなかった一方、ヘルメット治療を行った場合は自然経過より約3倍ゆがみが改善したと報告されています(Noto T, et al. Journal of Clinical Medicine. 2021)。軽度のゆがみは自然に目立たなくなることもありますが、重度のゆがみは自然には整いにくいため、治療が選択肢になります。頭のゆがみが自然に治るかどうかの目安は赤ちゃんの頭の形は自然に治る?で解説しています。

海外の査読論文

米国の研究では、ヘルメット治療を行った1,531人の赤ちゃんのうち1,454人(95.0%)で頭蓋の形状が正常な範囲まで改善したと報告されています(Steinberg JP, et al. Plastic and Reconstructive Surgery. 2015)。

また、ドイツの研究では、斜頭症の赤ちゃんの顔の非対称の割合が、治療開始前の95.8%から治療後には37.6%へ改善したと報告されています(Kunz F, et al. European Journal of Orthodontics. 2019)。

開始時期と矯正効果

米国の研究では、ヘルメット治療による斜頭症の矯正効果は、開始月齢が上がるにつれて低下すると報告されています(Seruya M, et al. Plastic and Reconstructive Surgery. 2013)。低月齢での開始ほど効果が出やすいとされています。

効果のあらわれ方には個人差があります。治療の適応や見込みは、医療機関での評価にもとづいて判断されます。

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安全性・副作用・後遺症について

ヘルメット治療で報告されている主な副作用は、装着部の一時的な皮膚トラブルです。適切な管理により対応できます。

フランスの研究では、ヘルメット治療における合併症の発症率として、赤み(1.6%)、擦過傷(0.6%)、皮膚アレルギー(0.1%)、骨炎(0.1%)、血腫(0.05%)、斜頸(0.05%)が報告されています(Picart T, et al. Neurochirurgie. 2020)。皮膚炎(発赤・ただれ)や皮膚の損傷(水疱など)が生じることがありますが、発症率は比較的低いとされています。

ヘルメットを外したあとに赤みが出ることは珍しくありませんが、30分たっても赤みが消えない、皮膚がやわらかくなる、水ぶくれができたといった場合は装着を中止し、担当医に連絡してください。ヘルメットを清潔に保つことも、肌トラブルの予防につながります。

「後遺症が残るのではないか」という不安を持つ方もいます。ヘルメット治療は強い締めつけを行うものではありません。日本の研究では、自然経過とヘルメット治療で頭囲の成長を比較し、ヘルメットの装着によって頭蓋の成長が阻害されていないことが報告されています(Noto T, et al. Journal of Clinical Medicine. 2021)。頭蓋の成長を妨げたり、脳の発達に影響を与えて発達が遅れたりするという報告はありません。

「意味がないのでは」という声もありますが、重度のゆがみは自然には整いにくいことが研究データから示されており、そうしたケースで治療は選択肢のひとつになります。治療の要否は、ゆがみの程度と月齢をふまえて医師が判断します。判断の目安はヘルメット治療は必要かもあわせてご確認ください。

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よくある質問

代表的な質問をまとめています。より詳しい質問と回答はよくあるご質問(FAQ)をご覧ください。

Q. ヘルメット矯正とヘルメット治療は違うものですか?

Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?

Q. 赤ちゃんがヘルメットを嫌がりませんか?

Q. 入浴中もヘルメットを装着しますか?

Q. 保育園でも装着できますか?

Q. 治療は保険が使えますか?

Q. 何科を受診すればよいですか?

Q. 早産で生まれた場合、開始時期は変わりますか?

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ヘルメット治療ができる医療機関を探す

ヘルメット治療は、全国の対応医療機関で相談・治療を受けられます。まずは頭のゆがみの相談だけでも受診できます。

お住まいの地域から、相談できる医療機関を探せます。気になる場合は、早めに一度受診することをおすすめします。

参考文献