公開日 2024/02/09

【医師解説】大泉門が原因?気になる赤ちゃんの頭のへこみ。頭がでこぼこしてるけど大丈夫?

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さの赤ちゃんこどもクリニック 院長

佐野 博之 先生

Q.赤ちゃんの頭がへこんでいたり、でこぼこしている気がするのですが大丈夫でしょうか?

A.赤ちゃんの頭は、生まれてきた時はまだ骨同士がくっついておらず、いくつかの骨にわかれています。生後間もない頃は、骨のつなぎ目などがあるため頭の形が多少でこぼこしているのは自然なことです。赤ちゃんの頭にあるへこみの中で一番目立つのが、おでこの上あたりにある「大泉門」です。大泉門を見るとへこんでいたりするので、「こんなにへこんでいるけど大丈夫?」「病気の危険性はないの?」と心配になることがあるかもしれませんが、赤ちゃんみんなにあるものですので、そんなに心配にならなくても大丈夫です。

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Q.なぜ赤ちゃんの頭はへこんでいるのでしょうか?

A.頭の骨(頭蓋骨)はいくつかの骨が組み合わさっており、骨と骨の間には隙間があります。生まれたばかりの赤ちゃんは、このすき間の部分が閉じておらず、ひし形のすき間が空いています。

一番大きなすき間が、おでこの上あたりにある「大泉門」です。ひし形のすき間で、触るととてもやわらかくなっています。赤ちゃんの成長とともに大泉門は徐々に閉じていきます

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大泉門がある2の理由

1つ目は、出産時に狭い産道を通りやすくするためです。

産道を通るときに最初に通る頭は強い圧迫を受けるため、圧迫されてもすき間部分が吸収し、頭を小さくして、狭い産道を通ることができるようにするためです。

2つ目は、短期間で急速に成長する脳の発達・成長を妨げないためのゆとりとしての役割です。

新生児の脳の重さは350g~400g程度ですが、生後8ヶ月頃には約2倍に成長します。

頭蓋骨が脳の成長を妨げることなくするために大泉門があります。

また、大泉門のほかにも、頭蓋骨にはすき間があります。後頭部あたりにある「小泉門」です。大泉門と同様に、生後間もない頃は、小さな三角形のすき間が空いています。一般的には生後3か月くらいで閉じるとされています。小泉門も、大泉門と同様に、出産時に狭い産道を通る際に、頭を小さくして通りやすくするためにあると考えられています。

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Q.大泉門のあたりがへこんだり、膨らんだりすることがあるのですが、大丈夫でしょうか?

A.大泉門は赤ちゃんの乳児検診のチェック項目に入っており、健康状態を表すバロメーターと言われています。医師からの指摘が特になければ、気にする必要はありません。しかし、大泉門の変化は赤ちゃんの体調不良の表れであることもあるので、次のような場合は注意が必要です。

大泉門がへこんでいる場合

赤ちゃんの大泉門が大きくへこんでいる場合、脱水症状や栄養障害を起こしている可能性が考えられます。通常、大泉門はへこんだり膨らんだりしているのがあまり目立ちませんが、明らかに大泉門がへこんでいる場合は、体の水分が失われ、脱水症状を起こしている可能性があります。特に発熱や嘔吐、下痢などの症状がある場合は脱水症状になりやすいので、大泉門がへこむ場合があります。

脱水症状を起こしている場合は、すぐに水分補給を行ってください。脱水症状が治ると、大泉門は元に戻ります。

また、大泉門が大きくへこみ、体重があまり増加していない場合は、栄養障害の可能性があります。赤ちゃんの成長は、個人差がありますので、体重だけで、栄養状態は判断できませんが、健康管理の上で、体重の増え方には普段から気をつけておきましょう。

大泉門へんこんでいることに加えて、上記のような症状がある場合は、医療機関へ相談しましょう。

大泉門が膨らんだり、隆起している場合

腫れや膨隆している場合は、病気の可能性も考えられます。

脳内出血、硬膜下血腫、髄膜炎などの脳の病気が考えられます。また、これらが合併して起こる水頭症の可能性も出てきます。水頭症は、何らかの原因により脳の真ん中にある脳室腔内に脳脊髄液が過剰に溜まってしまう病気です。大泉門が膨隆していて、赤ちゃんの頭が異常に大きい場合、水頭症の可能性があります。

Q.大泉門はいつ閉じるのでしょうか?

A.多くの場合1歳半から2歳くらいの時期までには、大泉門は閉じます。遅くても2歳くらいまでに大泉門が閉じれば、特に心配する必要はないでしょう。

個人差はありますが、生後9~10ヶ月頃から徐々に小さくなり始め、1歳~1歳6ヶ月頃には、ほとんどわからなくなります。

閉じる時期が早すぎる場合や、遅すぎる場合には注意が必要です。

大泉門が閉じるのが早い場合は、「頭蓋骨縫合早期癒合症」という、頭蓋骨が早期に癒合することによって、変形が起こる病気の可能性があります。通常、赤ちゃんの頭は、脳の成長に伴い頭蓋骨縫合を中心に拡大成長しながら、頭が大きくなります。しかし、頭蓋骨縫合早期癒合症の場合は、頭蓋骨が拡大成長することができないため、脳が十分成長できず、頭蓋骨の変形や、脳に障害を引き起こしてしまう可能性があります。

また、2歳を過ぎても大泉門が残っている場合は、くる病やクレチン症という病気の可能性も考えられます。治療せずにそのままにしてしまうと、その後の成長発達にも影響が及ぶ可能性があるので、医療機関を受診するようにしてください。

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Q.大泉門が閉鎖するまでに注意すべきことがあれば教えてください。

A.大泉門はやわらかく、とても繊細な部分です。脳は膜で包まれていますので、あまり神経質になることはありませんが、赤ちゃんの成長が気になり、大泉門の状態を確認するために、指で強く押すなど必要以上に力を加えないようにしましょう。

生まれたばかりの赤ちゃんの頭のへこみを見つけた時は、驚いてしまうかもしれませんが、へこみである大泉門は、赤ちゃんが産道を通るとき、脳が成長するために欠かせないものです。個人差はありますが、2歳くらいまでには大泉門は閉じるので、あまり心配せずに待つようにしましょう。

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参考:

Popich, Gregory A., and David W. Smith. "Fontanels: range of normal size." The Journal of Pediatrics 80.5 (1972): 749-752.

Pindrik, Jonathan, et al. "Anterior fontanelle closure and size in full-term children based on head computed tomography." Clinical pediatrics 53.12 (2014): 1149-1157.

Boran, Perran, et al. "Evaluation of fontanel size variation and closure time in children followed up from birth to 24 months." Journal of Neurosurgery: Pediatrics 22.3 (2018): 323-329.

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