
赤ちゃんの頭のゆがみ(頭蓋変形)は、その多くが向き癖など外からの力によって生じる「位置的頭蓋変形症」です。生後1か月ごろから見られ、成長とともに変化します。
- 原因は大きく2つ。多くは外力による変形(位置的頭蓋変形症)で、まれに骨の病気による変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)があります。
- 外力による変形には斜頭症・短頭症・長頭症のタイプがあります。
- 軽度は体位変換やタミータイムで改善することがあり、重度は自然には整いにくいためヘルメット治療が選択肢になります。
このページでは、頭のゆがみの原因・種類と見分け方・発生率・対処法を解説します。頭の形が自然に治るか、受診すべきかの判断は赤ちゃんの頭の形は自然に治る?をご覧ください。
赤ちゃんの頭がゆがむ原因
頭のゆがみの原因は、外力による変形と、骨の病気による変形の2つに分けられます。ヘルメット治療の対象になるのは、このうち外力による変形です。
外力による変形(位置的頭蓋変形症)
頭のゆがみの多くは、外からの力によって生じる位置的頭蓋変形症です。子宮内や分娩時の圧迫、出生後の向き癖などで同じ部分が圧迫され続けることで、その部分が平らになりゆがみが生じます。変形は後頭部に多く起こります。首が傾く斜頸があると頭の向きを変えにくいため、特に生じやすいとされています。

骨の病気による変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)
まれに、頭蓋骨のつなぎ目(縫合線)が通常より早期に癒合する病気(頭蓋骨縫合早期癒合症)が原因のことがあります。出生児の0.04〜0.1%程度とされ、頭蓋が十分に育たず、脳の成長発達や顔面の形に影響することがあります。程度により経過観察となる場合もありますが、手術を検討することもあります。

外力による変形と骨の病気による変形は、外見だけでは区別がつかないことがあります。自己判断はせず、まずは医療機関で診断を受けてください(必要に応じてレントゲンやCTで確認します)。
頭のゆがみの種類と見分け方(斜頭症・短頭症・長頭症)
外力による変形には、代表的に3つのタイプがあります。それぞれ平らになる場所と見え方が異なります。
斜頭症(後頭部の片側が平ら)

後頭部の左右どちらか一方が平らになるタイプで、向き癖のある赤ちゃんに最も多くみられます。真上から見ると、頭が平行四辺形にゆがんで見えるのが特徴です。変形が進むと、平らな側の耳が前方にずれて耳の位置に左右差が出たり、額の突出に左右差が出たりすることがあります。
→ 詳しくは 斜頭症とは
短頭症(後頭部全体が平ら・いわゆる絶壁頭)

後頭部全体が平らになり、頭の前後の長さが短くなるタイプで、いわゆる「絶壁頭」にあたります。仰向けで過ごす時間が長い赤ちゃんに多くみられます。真上から見ると横幅が広く、後頭部の丸みが少ないのが特徴です。
→ 詳しくは 短頭症とは
長頭症(頭が前後に長い)

頭が前後に長く、横幅が狭くなるタイプです。横向きの姿勢が続く赤ちゃんに生じやすく、NICUで過ごした赤ちゃんに多くみられます。
→ 詳しくは 長頭症とは
タイプの見分け方(セルフチェックのポイント)
ご家庭では、次のポイントで大まかに確認できます。
- 真上から頭を見る:スマートフォンで頭を真上から撮影すると形を確認しやすくなります。平行四辺形に見える場合は斜頭症、横幅が広く後頭部が平らな場合は短頭症、前後に長い場合は長頭症の傾向があります。
- 耳の位置を見る:左右の耳の位置が前後にずれている場合は、斜頭症のサインのことがあります。
- 複数のタイプが合併することもあります:斜頭症と短頭症が同時にみられるケースも少なくありません。
スマートフォンで撮影した写真から、ご家庭で頭のかたちの傾向を簡易的にチェックできる赤ちゃんの頭のかたち簡易チェックもご利用いただけます。
ゆがみの程度は、CVAI(頭蓋非対称率)などの指標で数値化して評価します。指標と重症度の目安は頭のゆがみの重症度で解説しています。正確な評価は、医療機関の3Dスキャンなどによる計測で行われます。
頭のゆがみの発生率と自然経過
2022年の日本の研究では、生後1か月の赤ちゃんの約50%に頭のゆがみがあると報告されています(Miyabayashi H, et al. Journal of Clinical Medicine. 2022)。生後6か月ごろから減少に転じますが、減少はゆるやかです。
また、重度のゆがみは自然経過では改善しにくいことが報告されています(Noto T, et al. Journal of Clinical Medicine. 2021)。軽度のゆがみは自然に目立たなくなることもある一方、程度が強い場合は対処が検討されます。
頭の形が自然に治るか、受診すべきかの具体的な目安は赤ちゃんの頭の形は自然に治る?で解説しています。
頭のゆがみが与える影響
外力による変形の場合、脳の成長や精神発達に大きな影響を与えることは基本的にないとされています。一方で、次の2点で影響の可能性が指摘されています。
- 整容:将来的な見た目(頭や顔の左右差)への影響。
- 機能:頭蓋の変形が顔面の非対称を引き起こす場合、咀嚼・摂食・視覚に影響が出る可能性(American Association of Neurological Surgeons)。
頭のゆがみへの対処法
頭のゆがみへの対処には、理学療法(体位変換・タミータイム)とヘルメット治療があります。
月齢3か月未満で、体位変換やタミータイム(うつ伏せ運動)を適切に行うと、頭のゆがみが改善することがあります。赤ちゃんの頭のかたちは数か月で大きく変化するため、ゆがみに気づいたら早めに対応することが望ましいとされています。
体位変換やタミータイムの具体的なやり方は向き癖の原因と直し方で詳しく解説しています。
重度のゆがみは自然には整いにくいため、ヘルメット治療が選択肢になります。ヘルメット治療の仕組み・費用・効果・安全性はヘルメット治療をご覧ください。
受診の目安・相談のタイミング
頭のゆがみに気づいたら、早めに一度医療機関へ相談することをおすすめします。特に、ゆがみや左右差が強い、首の傾き(斜頸)があるといった場合は、早めの相談が望まれます。まずは相談だけでも受診できます。
よくある質問
代表的な質問をまとめています。より詳しい質問と回答はよくあるご質問(FAQ)をご覧ください。
Q. 頭のゆがみは自然に治りますか?
Q. 何か月まで様子を見てよいですか?
Q. 何科を受診すればよいですか?
参考文献
- Miyabayashi H, et al. Cranial Shape in Infants Aged One Month Can Predict the Severity of Deformational Plagiocephaly at the Age of Six Months. Journal of Clinical Medicine. 2022;11(7):1797. (PMID: 35407405)
- Noto T, et al. Natural-Course Evaluation of Infants with Positional Severe Plagiocephaly Using a Three-Dimensional Scanner in Japan. Journal of Clinical Medicine. 2021;10(16):3531. (PMID: 34441827)
- Positional Plagiocephaly. American Association of Neurological Surgeons (AANS).
- 「頭蓋骨縫合早期癒合症」一般社団法人日本形成外科学会/日本頭蓋顎顔面外科学会 日本形成外科学会HP 日本頭蓋顎顔面外科学会HP