公開日 2026/06/12

【医師監修】赤ちゃんの頭の形は自然に治る?受診の目安やエビデンスを医師に聞いてみた

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この記事の監修者

日本大学医学部小児科 主任教授

森岡 一朗 先生

神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野入局。兵庫県立こども病院周産期医療センター、米国スタンフォード大学新生児・発達部門留学、愛仁会千船病院、神戸大学医学部附属病院を経て、現在、日本大学医学部附属板橋病院にて勤務。

<資格>
医学博士。日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医・指導医。臨床研修指導医。
日本大学医学部医学科卒。

インタビュー記事はこちら

日本大学医学部小児科 准教授

長野 伸彦 先生

日本大学医学部附属板橋病院 専修指導医

加藤理佐 先生

「赤ちゃんの頭の形が少し気になる……。でも、様子を見ていれば自然に整ってくるのかな?」

多くのパパ・ママが、こんな迷いを抱えています。インターネットで調べてみると「自然に治る」という声もあれば「早めに受診を」という声もあり、どれが正しいのか判断しにくいですよね。

ベビーバンド編集部では、自然に整いやすいケースと整いにくいケース、おうちでできる予防法、受診の目安まで、赤ちゃんの頭のゆがみを長年研究してきた先生にまとめて聞いてみました。

頭の形が「自然に治る」は本当?

Q. まず聞かせてください。赤ちゃんの頭の形がゆがむことは、よくあることなのでしょうか?

A. はい、比較的よくあることです。

日本で行われた研究では、生後3か月の赤ちゃんのうち約56.8%、生後6か月でも約43.2%に頭のゆがみが見られたと報告されています[*1]。

私たちの別の研究でも、生後1か月の健康な赤ちゃんを3Dスキャンで調べたところ、約7%が重度のゆがみをもっているという結果が得られています[*2]。

Q. 「放っておけば自然に治る」という声をよく耳にします。先生方は研究もされていますが、実際のところどうなのでしょうか?

A. 正直にお伝えすると、「自然に治ります」という表現だけでは伝えきれていない部分があります。

私たちは生後1か月から生後6か月にかけての頭の形の変化を追った研究を行いました。その結果、生後3か月頃に頭のゆがみのピークを迎えますが、生後6か月頃には生後1か月頃と同程度まで改善することが明らかになりました[*1]。

頭のゆがみグラフ

この流れだけを見れば「自然に改善する」といえます。しかし、もうひとつ重要な事実があります。

生後4〜8か月頃に重度のゆがみがある場合、約3か月経過した後も約7割の方が重度のままでした[*1]。

Q. 「自然に整いやすい場合」と「整いにくい場合」がある、ということでしょうか?

A. そうです。ゆがみの程度によって、大きく変わります。

軽度のゆがみであれば、成長とともに自然と目立たなくなっていくことがあります。一方で、重度のゆがみは自然には整いにくいということが、研究データから示されています。

「うちの子はどの程度なのか」が気になる場合は、専門の医療機関で一度評価してもらうことをおすすめします。

頭のかたち測定会

赤ちゃんの頭がゆがむ原因

Q. 先ほど「ゆがみの程度によって整いやすさが変わる」とわかりました。そもそも、なぜ赤ちゃんの頭はゆがんでしまうのでしょうか?

A. 赤ちゃんの頭は、脳が急速に成長できるようやわらかい状態になっています。

そのため、胎内での姿勢や出産時の状況、出生後の体位や向き癖などにより頭の形がゆがんでしまうと考えられています。

特に日本は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防のためや伝統的な文化から仰向けで寝かせることが多い傾向があります。そのため、頭のゆがみがある赤ちゃんが多いと推測されています。

Q. ゆがみにも種類があると聞きました。代表的なタイプを教えてください。

A. 大きく3つに分類されます。

「斜頭症」は、後頭部の片側が平らになり、頭頂から見ると左右非対称に見える状態です。左右どちらかへの向き癖が強い場合に起こりやすく、重症化すると耳の位置のずれや顔の非対称につながることがあります。

斜頭症のイメージ

斜頭症のイメージ

「短頭症」は、後頭部全体が平らになり、頭の幅が左右方向に広がった状態です。仰向け寝の時間が長い場合に起こりやすく、「絶壁頭」や「ハチ張り」と呼ばれるケースがこれにあたることが多いです。

短頭症のイメージ

短頭症のイメージ

「長頭症」は、頭の左右方向への成長が抑えられ、前後方向に長くなった状態です。真横に寝ることが多い場合や、早産のお子さんに多い傾向があります。

長頭症のイメージ

長頭症のイメージ

これらのゆがみは、生後3か月頃までに発生するケースが多いとされています[*3]。

おうちでできる予防とケア

Q. 体位や向き癖が原因であれば、日常的にできることがありそうですね。どんな予防法があるのでしょうか?

A. 日常生活に取り入れやすい方法を3つご紹介します。

「体位変換」は、定期的に赤ちゃんの頭や体の向きを変えることです。授乳のときに左右交互に抱く、ベッドに寝かせる向きを変えるといった工夫が効果的です。タオルを頭から背中にかけて入れると、体幹ごと向きを変えやすくなります。

「タミータイム」は、赤ちゃんが起きている状態で保護者が見守りながら、うつぶせの姿勢で過ごす時間のことです。米国小児科学会は退院後すぐに始め、生後7週までに1日合計15〜30分を目安にすることを推奨しており、後頭部の扁平化予防と運動発達の促進に効果があるとされています[*4]。

枕を用いる方法も選択肢のひとつですが、使用する枕のやわらかさや大きさ、使い方によって効果はさまざまです。いずれの方法も「頭のへこんでしまった部分をできるだけ接地させない」という点が共通のポイントです。

なお、うつぶせ寝はSIDSのリスクがあるため、赤ちゃんや保護者が寝ている時は必ず仰向けの姿勢にしてください。

医療機関に相談する目安

Q. おうちでのケアを続けても不安が残る方も多いかと思います。受診を考える目安はあるのでしょうか?

A. 気になりはじめたら、いつ受診していただいても構いません。

多くの医療機関では、生後3〜4か月頃の相談をおすすめしています。頭の形の変形がピークにあたる時期で、この段階で評価を受けると、その後の対処がしやすくなります。

受診すると、専門医が以下の方法を組み合わせて重症度を評価します。

  • 視覚的評価:頭頂・正面から頭の形を確認
  • ノギスによる計測:頭の対角線の長さの差(CA値)や比率(CVAI値)で数値化
  • 3Dスキャンによる撮影:より精度の高いデータを取得

複数の方法を組み合わせた総合的な判断が必要なため、評価は専門医にゆだねるのが確実です。

とはいえ数値はあくまで目安。「うちの子の頭の形が気になる」というご家族の感覚そのものが、相談を考える大切なきっかけになります。

医療機関を探す

Q. ゆがみが重度のまま残った場合、どんな影響が出ることがありますか?

A. 主に整容的な影響があげられます。

大きくなったときに「顔に左右差がある」「帽子が脱げやすい」「ヘッドフォンの位置が合わない」「似合わない髪型がある」といったことが起こりえます。また、耳の位置のずれや歯並びの問題があげられることもあります。

発達への影響については、大部分の乳幼児では問題がないと報告されています。軽度〜中等度のゆがみでは3〜4歳頃には頭の形や発達の差が目立たなくなることが多く[*5]、学齢期にも学力・運動発達への影響は確認されにくいとされています。

一方、重度のゆがみがあった子どもは、学齢期の運動・認知・学力テストで対照群よりわずかに低めのスコアになる傾向があるという研究もあります[*6]。ただし、頭のゆがみが発達の差を直接引き起こしているのか、それとも別の要因が影響しているのかは、まだ結論が出ていません。

気になることがあれば、健診や予防接種の受診時に専門医に相談したり、保育園・幼稚園・自治体などの周囲のサポートを活用することを検討してください。

Q. 受診したら、必ずヘルメット治療になるのでしょうか?

A. 「治療ありき」ではありません。

ゆがみの程度や月齢に応じて、体位変換の指導で経過を観察するケースも多くあります。

重度のゆがみが認められる場合や、体位変換だけでは改善が難しいと判断された場合に、ヘルメット治療が提案されます。

ヘルメット治療とは、頭の平らな部分にヘルメットで空間をつくり、赤ちゃん自身の成長を原動力に、その方向へ頭が育つよう誘導していく方法です。国内外の論文で治療効果が多数報告されており、重度のゆがみにも対応できる治療法として認知されています。

医療機関ではメリットやデメリット、費用などについてしっかりと説明を受けることができます。ご家族でじっくり検討し、お子さんとご家族にとっての最善の選択を医師と一緒に考えていくことが大切です。

Q. 治療するか・しないか、まだ迷っている保護者へ、先生からひとことお願いします。

A. まずお伝えしたいのは、「急いで決める必要はない」ということです。

ヘルメット治療をしなくても改善するお子さんには、治療は不要です。変形のピークを見極めることが大事なので、迷うケースは存分に迷っていただきたいですし、決断を急ぐ必要はありません。

また、治療を選んでも、選ばなくても、どちらかが正解というわけではありません。大切なのは、ご家族がお子さまのためにしっかり考えて出された結論であること。まずは受診して、お子さんの状態を客観的に知ることが最初の一歩です。

頭の形が気になったら、まずは相談を

赤ちゃんの頭の形がゆがむことは珍しくなく、多くのケースで生後3か月頃がピーク、6か月頃に向けて改善傾向があることは研究データが示しています。

ただし、重度のゆがみは自然には整いにくいというのも、同じデータが示す事実です。「うちの子がどの程度なのか」を正確に判断できるのは、専門医だけです。

特に、目に見えて左右差や平らな部分がはっきりしている場合や、生後4か月以降になっても改善が見られない場合は、「様子を見る」のではなく、医療機関で一度評価を受けることが大切です。

早めに相談しておくことで、軽症であれば安心につながりますし、対処が必要な場合は最適な時期に始められます。少しでも気になることがあれば、一人で抱え込まず、まずは医療機関に相談してみてください。

よくあるご質問(Q&A)

Q. ベビーカーや抱っこ紐の使い方も、頭の形に影響しますか?

長時間ベビーシートやベビーカーに座らせたままにしていると、後頭部に圧力がかかり続けて短頭症(絶壁頭)になりやすいとされています。途中で抱っこに切り替えたり、抱っこ紐の向きを左右で入れ替えるなどの工夫を取り入れてみてください。

Q. 寝返りやハイハイが始まると、頭の形は整いやすくなりますか?

自分で姿勢を変えられるようになると、頭の同じ部分にずっと圧力がかかる状況が減っていきます。生後6か月頃を境に頭も次第に硬くなっていくため、それ以降に大きく悪化する可能性は低いと考えられています。すでに重度のゆがみが残っている場合は早めの相談をおすすめします。

Q. 健診で「経過観察」と言われたとき、家ではどう過ごせばよいですか?

体位変換とタミータイムを日常に取り入れてみてください。授乳の抱き方や寝かせる向きを左右で変える、起きている時間にうつぶせで遊ぶといった工夫が中心です。次の健診や予防接種のタイミングで再度確認し、気になるようなら専門の医療機関への相談も選択肢になります。

参考文献

[*1]: Miyabayashi H, Nagano N, Kato R, Noto T, Hashimoto S, Saito K, Morioka I. Cranial Shape in Infants Aged One Month Can Predict the Severity of Deformational Plagiocephaly at the Age of Six Months. Journal of Clinical Medicine. 2022; 11(7):1797. DOI: 10.3390/jcm11071797

[*2]: Miyabayashi H, et al. Reference Values for Cranial Morphology Based on Three-dimensional Scan Analysis in 1-month-old Healthy Infants in Japan. Neurologia Medico-Chirurgica. 2022; 62(5). J-STAGE

[*3]: American Academy of Pediatrics, Committee on Practice and Ambulatory Medicine, Section on Plastic Surgery and Section on Neurological Surgery. Prevention and management of positional skull deformities in infants. Pediatrics. 2011; 128(6):1236-1241. DOI: 10.1542/peds.2011-2220

[*4]: American Academy of Pediatrics. Positional Plagiocephaly: Prevention is Key. AAP Grand Rounds. 2014; 32(2):24. / Hewitt L, et al. Tummy Time and Infant Health Outcomes: A Systematic Review. Pediatrics. 2020; 145(6):e20192168. DOI: 10.1542/peds.2019-2168

[*5]: Hutchison BL, Stewart AW, Mitchell EA. Deformational plagiocephaly: a follow-up of head shape, parental concern and neurodevelopment at ages 3 and 4 years. Archives of Disease in Childhood. 2011; 96(1):85-90. PubMed

[*6]: Collett BR, Wallace ER, Kartin D, Cunningham ML, Speltz ML. Cognitive Outcomes and Positional Plagiocephaly. Pediatrics. 2019; 143(2):e20182373. DOI: 10.1542/peds.2018-2373