公開日 2024/03/25
【医師解説】黄昏泣き(コリック)はいつからいつまで続く?5つの対処方法と対策グッズを紹介
目次
清益 功浩 先生
「夕方になると泣き止まなくなるのはなぜ?」「黄昏泣きはいつまで続く?」「どう対処したらいい?」そんなお悩みを抱えてはいませんか。黄昏泣きは、夕方から夜にかけて赤ちゃんが理由もなく激しく泣き続ける状態のことです。何をしても泣き止まない赤ちゃんにストレスを感じるママやパパも多いでしょう。この記事では、黄昏泣きの対処方法やおすすめの対策グッズについて解説します。激しく泣き続ける赤ちゃんに悩んでいる人は、
ぜひ参考に、黄昏泣きを乗り越えてみてください。
黄昏泣き(コリック)とは
黄昏泣き(コリック)とは、明確な理由もなく、赤ちゃんが泣き続ける現象です。1週間に3日以上、または1日に3時間以上激しく泣き続けるケースも多いため、途方にくれてしまうママやパパもいるでしょう。
黄昏泣きは夜泣きよりも早い時期に始まり、赤ちゃんの約5分の1が経験するとされています。夜泣きは寝ている時に目が覚めて泣くのに対し、起きている時でも泣くのが黄昏泣き(コリック)です。
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個人差がありますが、一時的な生理現象であるため生後2〜3ヶ月にピークを迎え、成長とともに改善される傾向にあります。
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黄昏泣きとコリックの違い
「黄昏泣き」の別名を「コリック」といい、どちらもはっきりとした理由もなく赤ちゃんが泣き続ける状態を指します。
一般的には「黄昏泣き」が浸透していますが、医学的に疝痛(せんつう)という意味の「コリック」という名称を使う場合があります。呼び方に違いはあっても、意味合いは同じです。
黄昏泣き(コリック)はいつ終わる?
黄昏泣きは早いと生後2週間程度から始まり、生後2〜3ヶ月をピークに、生後5〜6ヶ月ごろに落ち着く傾向にあります。しかし、黄昏泣きの期間は個人差も大きく、生後7ヶ月ごろまで続く子がいるのも事実です。
また、「黄昏泣き」といわれますが、夕方から泣き出すとは限りません。午前中や夜に泣き出すケースも多く、同じような時間帯に激しく泣き始めれば、黄昏泣き(コリック)である可能性が高いでしょう。
黄昏泣き(コリック)の終わりは、次第に治まっていく子もいれば、ある日から突然泣かなくなる子とさまざまです。赤ちゃんの多くは、成長とともに落ち着いていくため、黄昏泣きが続いていても過度に心配する必要はありません。
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黄昏泣き(コリック)は原因不明!考えられる5つの理由
黄昏泣きのはっきりとした原因は判明していません。しかし、仮説として、以下の5つが原因ではないかと考えられています。
- 疲労感
- 不快感
- 不安感
- 空腹
- 刺激過多
黄昏泣きの原因を知ることで、激しく泣き続ける赤ちゃんにも対処しやすくなるでしょう。
1.疲労感
夕方は疲労のピークを迎えやすいため、1日の疲れが出て、泣き出してしまう場合があります。また、睡眠が足りていないと疲れやすくなるため、成長過程に応じた時間の昼寝をさせましょう。月齢別の睡眠時間と昼寝時間の目安は以下のとおりです。
月齢 | 睡眠時間 | 昼寝時間 |
---|---|---|
新生児期〜生後3ヶ月 | 16〜20時間 | 眠い時に寝るため、昼寝時間はなし |
生後3〜6ヶ月 | 14〜15時間 | 午前中:1時間 午後:2〜3時間 夕方:30分〜1時間 |
生後6〜12ヶ月 | 13〜14時間 | 午前中:30分 午後:2〜3時間 |
疲れて泣き出してしまう前に、早めに昼寝を促すのもよいでしょう。
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2.不快感
逆流した胃酸や溜まったガスが不快感をもたらすことも原因のひとつです。赤ちゃんは消化器官が未発達なため、胃酸の逆流を起こしやすい傾向にあります。また、うまくゲップができず、お腹にガスが溜まっている場合もあるでしょう。赤ちゃんが泣いている場合には体調に変化があり泣いているケースもあるため、普段と泣き方に違いがないか観察するのも重要です。
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3.不安感
以下のような理由で不安感を抱き、泣き出してしまう赤ちゃんもいます。
- 日中のスキンシップが不足している
- 夕方になって暗くなっていく様子に恐怖を感じる
- 朝と夜でリセットされる自律神経の変化についていけない
- なんとなく不安を感じる
抱っこをしながら「大丈夫だよ」「そばにいるよ」などと声をかけてあげるとよいでしょう。
4.空腹
成長期の赤ちゃんはエネルギーの消費が多く、夕方に空腹を感じやすい傾向にあります。多少時間が早かったとしても、授乳やミルクを与えるとよいでしょう。
また、母乳の出が悪くなり、空腹を感じやすくなっている可能性もあります。赤ちゃんの成長とともに必要な授乳量は増えていくため、夕方以外にも泣く頻度が上がっている場合、産婦人科や保健師などに相談してみましょう。
5.刺激過多
赤ちゃんは1日を通してみたもの全てを吸収して成長しているため、日中受けた刺激を処理しきれずに泣いてしまうこともあります。また、神経の発達も未熟なため、小さな刺激に対しても大きく反応してしまい、疲労を感じやすいのが特徴です。
刺激を処理しきれないストレスを泣いて発散しているとも考えられているので、無理に泣き止ませようとせずに、落ち着いた環境を整えてあげましょう。
黄昏泣き(コリック)はどうしたらいい?5つの対処方法
黄昏泣き(コリック)にはどのように対応するのがよいのでしょうか。赤ちゃんが泣き始めたら以下の対処方法を試してみるのがおすすめです。
- スキンシップを増やす
- ガス抜きをする
- 気を紛らわせる
- 夕方の刺激を減らす
- 授乳をする
黄昏泣きは、成長過程に起こる正常な反応です。泣いていない時に、機嫌よく元気に過ごせていれば、過度に心配する必要はないでしょう。
1.スキンシップを増やす
スキンシップが増えることによって、赤ちゃんの泣く頻度が減るという研究結果があります。抱っこするだけでなく、「大丈夫だよ」「一緒にいるよ」といった安心できるポジティブな声かけもしてあげましょう。抱き方は「横抱き」「縦抱き」のどちらでも問題はありませんが、背中を丸めた「横抱き」の方が安定しており基本の抱き方です。
また、「コリック抱き」もあります。以下の手順で「コリック抱き」を試してみるのもおすすめです。
- 赤ちゃんを片方の腕の上にうつ伏せに乗せる
- 肘の上で顔が上を向くようにする
- もう一方の手でお尻と背中をしっかりと支える
コリック抱きをすることによって、赤ちゃんが落ち着いて眠くなる傾向にあります。
そのほかに、おくるみやタオルを使用して「スウォドリング」するのもよいでしょう。「スウォドリング」とは、おくるみやタオルで手足が動かせないように包み込むことで、胎内環境を思い出して落ち着きやすくなります。
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2.ガス抜きをする
お腹にガスが溜まり、苦しくて泣いている赤ちゃんもいます。このような場合は、時計回りに円を描くようにお腹を大きくマッサージするのも有用です。マッサージの効果に加え、ママやパパの手の感触や温かさに安心して落ち着くこともあるでしょう。
また、赤ちゃんがお腹に届くほど足を上げている際は、ガスが溜まっている場合もあります。仰向けにした赤ちゃんの足を持って、自転車を漕ぐように動かしてあげましょう。左横に向けて寝かせるのもガスを抜きやすいとされています。
3.気を紛らわせる
黄昏泣き(コリック)は決まった時間帯に泣き出すことが多いため、その時間に合わせて散歩に行ったりおもちゃで遊んだりして気を紛らわせてあげるとよいでしょう。特に、外に出ると赤ちゃんの気が紛れやすくなります。ベビーカーの振動で落ち着く子もいるので、必ずしも抱っこで連れて行く必要はありません。
散歩やおもちゃを利用して気が紛れると、次第に泣き出す頻度が減っていくでしょう。
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4.夕方の刺激を減らす
夕方になる前に静かな環境を整えるのも重要です。自然の音や静かな音楽、ビニールのカサカサとした音のようなホワイトノイズを聞かせることで、落ち着きやすくなる赤ちゃんもいます。
また、お風呂に入れると身体もさっぱりするため、赤ちゃんの気分転換になるでしょう。
5.授乳をする
お腹が空いているようであれば、早めに授乳するのもおすすめです。授乳中は真っすぐに座らせて、空気を飲み込ませないようにしましょう。また、哺乳瓶や哺乳瓶の乳首が合っていないと、飲み込む空気の量が増えてしまいます。月齢に応じた適切なサイズの乳首を使用したり、哺乳瓶の種類を変えてみたりするのも重要です。授乳を終えたら、お腹が苦しくならないようにしっかりとゲップをさせましょう。
黄昏泣き(コリック)対策グッズのおすすめ5選
黄昏泣き(コリック)を乗り越えるには、以下のような対策グッズの使用がおすすめです。
- おくるみ
- ホワイトノイズマシン
- おしゃぶり
- バウンサー
- おんぶ紐
ママやパパの抱っこの負担を減らすためにも、上手にグッズを活用しましょう。
1.おくるみ
おくるみで手足の動きを抑えれば、お腹のなかにいるような安心感を与えられます。モロー反射を抑える効果もあるので、安眠しやすくなるでしょう。
基本的なおくるみの巻き方の手順は以下のとおりです。
- おくるみを床に広げ、上の角を真ん中に向けて三角に折る
- 三角に折った部分に赤ちゃんの肩がくるように仰向けに寝かせる
- 布の右側を身体の上に持ってきて包む
- 下の角を上に向けて折り曲げ、胸の辺りに入れ込む
- 布の左側を赤ちゃんに被せて包み込む
おくるみで巻く際は、以下の点にも留意してくださいね。
- おくるみでくるむ際に、赤ちゃんの脚を伸ばさない
- 肩までしっかりおくるみで包む
- 足が動かせるくらいのゆとりはもたせる
さまざまな素材のおくるみがあるため、季節に応じて数枚用意しておくとよいでしょう。
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2.ホワイトノイズマシン
テレビの砂嵐やビニールのカサカサした音などのホワイトノイズは、胎内音と似ていることから、赤ちゃんに安心感を与えられます。眠る前の不安を和らげるのにも効果的です。
ホワイトノイズマシンは自然の音などが出るグッズで、胎内音を搭載したぬいぐるみもあるので、赤ちゃんが気に入るような製品を探してみるとよいでしょう。
3.おしゃぶり
赤ちゃんは乳首を咥えることで、安心感を得られる傾向にあります。そのため、何をしても泣き止まない時に活用するとよいでしょう。おしゃぶりは不安感を軽減できるグッズである一方、歯並びが悪くなる可能性もあります。歯が徐々に生え揃っていく1歳半ごろまでには、おしゃぶりを使わない時間を伸ばしていくとよいでしょう。また、言葉を発するようになる1歳以降は発語の機会を減らさないためにも、おしゃぶり使用中の声かけや触れ合いも大切です。
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4.バウンサー
バウンサーのゆらゆらとした振動は、赤ちゃんを落ち着かせやすい傾向にあります。また、バウンサーを利用することで、ママの手が空くので家事もしやすくなるでしょう。ただし、首が反るような激しい揺れは「乳幼児揺さぶられ症候群」を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
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5.おんぶ紐
おんぶ紐の使用によって黄昏泣きが落ち着くこともあります。夕方の忙しい時間帯に抱っこを続けるのは難しいですが、首がすわっていればおんぶ紐を使いあやしながら家事ができます。また、ママやパパと密着できるので、安心感を得やすいでしょう。おんぶされていると赤ちゃんの視野が広がるため、気が紛れやすくもなります。
加えて、一般的に抱っこよりもおんぶの方がママやパパの身体への負担も少ないとされています。初めて赤ちゃんをおんぶする場合は、クッションやぬいぐるみなどで練習しておくと安心です。
黄昏泣き(コリック)がつらい時の相談先
何をしても泣き止まない黄昏泣き(コリック)が続くと、精神的に疲労を感じるママやパパも多いでしょう。辛い・しんどいと感じた時は、以下のような相談先も活用してみてくださいね。
- かかりつけの小児科医
- 子育て支援センター
- 友人や家族
かかりつけの小児科であれば、乳幼児健診や予防接種の際に気軽に相談ができます。万が一、黄昏泣きではなく体調面に問題があった場合、治療によって改善が期待できるでしょう。子育て支援センターでは、保健師さんに相談ができるだけでなく、必要に応じて、一時預かりの施設やファミリーサポートなどの支援サービスを紹介してもらえる可能性があります。
また、身近な友人や家族に黄昏泣きの辛さを話すのもよいでしょう。しんどさや悩みを共感してもらえるだけでも心が軽くなる傾向にあります。ただし、泣いている赤ちゃんに以下のような様子がみられた場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
- 顔色が悪い
- 発熱している
- 嘔吐している
- 食欲がない
- 尿や便に異変がある
赤ちゃんは泣くことで不調を訴えるため、普段の黄昏泣きと決めつけず、顔色や全身状態も確かめるのが重要です。
黄昏泣き(コリック)は家族で乗り越えましょう
赤ちゃんの黄昏泣き(コリック)は、成長過程における正常な反応です。生後2〜3ヶ月をピークに成長とともに落ち着き、生後5〜6ヶ月程度で治まる傾向にあります。黄昏泣きのはっきりとした原因は判明していませんが、不安感や腹部の不快感で泣いていることも多いため、抱っこやマッサージなどをすると泣き止む場合があります。
ママやパパの負担を減らすためにも、おしゃぶりやバウンサー、ホワイトノイズマシンなどのグッズも活用しましょう。黄昏泣きにストレスを感じる人は、かかりつけの小児科医や子育て支援センターに相談するのも1つの方法です。
赤ちゃんの黄昏泣きに悩んでいる人は、ぜひこの記事を参考に乗り越えていきましょう。