公開日 2024/03/18
【医師解説】首すわりってどんな状態?いつ首がすわるのか、確認のポイントや促す運動をご紹介
目次
清益 功浩 先生
赤ちゃんの首すわりとは、赤ちゃんが自分で自由に首を動かせる状態になることです。柔らかな赤ちゃんが成長し、生後3ヶ月~4ヶ月ごろによく見られます。
病院等での健診でも首がすわったか確認されますが、わが子の状態はママやパパ自身でも確認したいですよね。本記事では「首すわりの確認方法」や、事前に知っておきたい首すわり前にやってはいけない注意点などを解説します。
赤ちゃんの首すわりについて気になる方は、ぜひ読んでみてください。
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首すわりとはどんな状態のこと?確認する3つのポイント
「首すわり」とは、赤ちゃんが大人に支えられなくても頭を安定させられる状態のことです。多くの赤ちゃんが生後3ヶ月〜4ヶ月ごろに完了すると言われています。
健診でチェックされる首すわりですが、初めて育児をするママやパパは「赤ちゃんの首がすわっているか」の判断がつかないという人もいるでしょう。
ママやパパが確認する、3つのポイントを紹介します。
- 仰向けから両手を引き起こして頭がついてくる
- 大人が後頭部を支えなくても首が安定している
- うつ伏せから頭を上げられる
①仰向けから両手を引き起こして頭がついてくる
赤ちゃんの首がすわっているか確認する方法の1つめは「引き起こし反応」です。
以下の流れで確認します。
- 赤ちゃんを仰向けに寝かせる
- 大人の手で赤ちゃんの両手をやさしく握る
- 両手でゆっくりと引き起こす
引き起こしてくる際に、首や頭の位置がどのような状態になっているかを確認しましょう。赤ちゃんの頭が前や後ろに倒れていかずに、しっかりと上半身についてくるようであれば「首がすわっている」と判断できます。
反対に、頭が上半身についてこないようであれば、首すわりはまだ完了していないという判断になります。
②大人が後頭部を支えなくても首が安定している
2つめの確認方法は「縦抱き」するときに見ることができます。うまれてからまだ首がすわる前の赤ちゃんを縦抱きすると、重い頭を支えられず危険が伴います。そのため基本的には、頭を大人の腕で支える「横抱き」が推奨されているのです。
首がすわっている赤ちゃんは縦抱きの際にも首や頭が安定するため、大人が後頭部を支えなくてもぐらつくことなく抱っこできますよ。また、おんぶについても同様です。首がすわる前におんぶをすると赤ちゃんの首が不安定なため、首すわりが完了してからおこなうようにしましょう。
③うつ伏せから頭を上げられる
3つめの確認方法は「うつ伏せ」の状態で見ていきます。首がすわり始めた赤ちゃんはうつ伏せに寝かされると、自分の首の力で頭を上げようとすることがあります。
首と頭をぐっと持ち上げ、上がっている状態で自由に頭を動かすことができれば「首がすわっている」と判断できるでしょう。ただし、うつ伏せ寝は赤ちゃんのSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを高める恐れがあります。うつ伏せ寝をさせるときは、必ず大人が近くにいて目を離さず見守り、長時間おこなうのではなく5分など短い時間で実施することが大切です。
【月齢別】首がすわるのは生後いつから?
厚生労働省の「乳幼児身体発達調査」によると、赤ちゃんの首がすわる時期は生後3ヶ月~4ヶ月ごろが目安とされています。首すわりには個人差があるため、目安の時期を前後することもあるでしょう。ここからは月齢別に赤ちゃんの発達の様子について紹介します。
生後2ヶ月~生後3ヶ月
生後2ヶ月ごろの赤ちゃんは少しずつ表情が出てきたり、ベビーカーや抱っこで外を散歩し始めたりする時期です。早い赤ちゃんでは、生後2ヶ月のころから首すわりの兆候が見え始めます。うつ伏せあそびを始めると、赤ちゃんが横に寝たまま自分で見たい方向に顔を向けたり、首を持ち上げようと頑張ったりすることもあるでしょう。生後3ヶ月のころにはうつ伏せの姿勢から首を自分で持ち上げ、向きを変えられる赤ちゃんも見られます。頭を持ち上げる時間も長くなるでしょう。
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生後4ヶ月
生後4ヶ月ごろになると、首すわりが完了する赤ちゃんも多くいます。縦抱きの際にも安定感が増して、ママやパパの抱っこの負担も減ってくるでしょう。赤ちゃんはうまれてから「1ヶ月健診」や「3~4ヶ月健診」など定期的に健診を受け、首すわりの状態を確認されるのは生後3ヶ月~4ヶ月健診のときです。健診までに首すわりが完了していなくても心配しすぎず、気になることがあればあらかじめ整理しておいて健診の際に小児科医などへ相談するのもおすすめですよ。
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生後5ヶ月
生後5ヶ月ごろ、多くの赤ちゃんはしっかりと首がすわり、大人が後ろから腰を支えてあげると座れるようにもなる時期です。
ひとりで座れるようになると離乳食も開始できるようになりますよ。
ただし、厚生労働省の「乳幼児身体発達調査」では「生後5ヶ月で頭とともに引き起こされる」と記載されています。
仮に生後3〜4ヶ月を過ぎて首すわりが5ヶ月ごろにできるようになったとしても、決して遅すぎるわけではないでしょう。
首がすわる前にやってはいけないこととは?
赤ちゃんは、首がすわるまでは頭が重く自分だけでは支えられません。頭や首には大切な神経や血管が通っており、日常生活のなかでも最大限けがなどに注意したい部分です。首がすわる前の時期にやってはいけない注意点を解説します。
後頭部を支えずに抱っこする
赤ちゃんを抱っこする際に、後頭部を支えずに抱き上げるのは危険です。赤ちゃんは骨格と筋肉が未発達なので、頭がグラグラして全体のバランスを崩してしまいます。
大人がしっかりと後頭部を支えて安定させるようにしましょう。首すわり前の赤ちゃんを縦抱きで抱っこしたり授乳したりする場合は、必ず後頭部を支えるか、大人の体に赤ちゃんの体重がかかるようにします。
頭が前や後ろに倒れていかないように注意しましょう。首は血管や神経が通る場所です。一度や二度、首がかっくんとするだけではけがをする可能性は低いものの、赤ちゃんの体に負担を与えないようにしましょう。
激しく揺さぶる
赤ちゃんを激しく揺さぶってしまうのも危険な行為です。激しく揺さぶってしまうことで、首を通っている神経や血管が傷つき「揺さぶられ症候群」になる可能性があります。
「揺さぶられ症候群」は、赤ちゃんが激しく揺さぶられることで脳から出血したり、失明や脳性麻痺といった後遺症が残る可能性もあります。「激しく揺さぶる」というのは、誰の目で見ても心配になるほど赤ちゃんを揺さぶっている状況です。
あやすために抱っこしながらゆっくりとゆらゆらしたり、背中をトントンとすることがありますが、そういった程度では心配しすぎなくてよいでしょう。
椅子に座らせる
赤ちゃんの発達は、基本的には首がすわってから「おすわり」ができるようになっていきます。首がすわる前に赤ちゃん用の椅子に座らせると、頭が重く前や後ろに倒れこんでしまう可能性があり危険です。
また、赤ちゃん用の椅子は両足の間に仕切りがあるタイプのものが多く、前に倒れたとき仕切りにお腹がつっかえて苦しくなってしまう場合があります。赤ちゃんの体の筋肉が未発達な状態で、成長に見合わない姿勢をとらせることは赤ちゃんの負担になるため、椅子に座らせるのは首すわりが完了してからにしましょう。
首すわりを促す運動や方法はある?
基本的に首すわりは、赤ちゃんが自分のペースでできるようになるものですが、首がすわるように促す運動や方法もあります。赤ちゃんの負担にならないように、長時間やりすぎたり無理をさせたりしないようにおこないましょう。
また、周りに危険がないか確認して環境を整えて実施することが大切です。
うつ伏せあそび
1つめは「うつ伏せあそび」です。赤ちゃんをうつ伏せの状態に寝かせ、横や後ろなどさまざまな方向から声をかけましょう。おもちゃなどで音を鳴らして反応を促すのもおすすめです。赤ちゃんが声や音が気になって首を持ち上げ、動かすようなしぐさが見られるでしょう。
赤ちゃんは頭を持ち上げたり、ゆっくり下ろしたりするコントロールが不十分です。頭がぶつかってけがをしないように柔らかいマットの上でおこなうことが大切です。ほかにも、うつ伏せの際に口がふさがったままにならないように気を付けましょう。
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縦抱き
2つめは「縦抱き」です。ママやパパと顔を向き合わせるのではなく同じ方向を向かせて、赤ちゃんのおしりと胸のあたりをしっかりと抱えます。赤ちゃんの後頭部を大人の体にくっつけてもたれかからせるように抱っこすることで、首すわり前の赤ちゃんでも頭がぐらつかずに縦抱きをすることができます。密着感が赤ちゃんの安心にもつながりますよ。少しずつ体が安定してきたら、数秒ずつ大人の体と離すようにしてみてもよいでしょう。また、母乳育児の場合は縦抱きで授乳するのもおすすめです。
おもちゃあそび
3つめは「おもちゃあそび」です。赤ちゃんを仰向けの状態にして寝かせ、おもちゃを見せたり音を鳴らして赤ちゃんの気を引きましょう。赤ちゃんがおもちゃを意識したら、ゆっくりと横に移動させることでおもちゃを追いかけて見ようとするため、首を動かす運動になります。
首すわりに関するよくある質問
首がすわる時期は個人差があり、赤ちゃんによってさまざまです。わかってはいるものの、初めての子育てでは何かと気になったり不安になったりしますよね。
ここではよくある首すわりに関する質問と回答を紹介します。同じようなお悩みをお持ちの方はぜひ読んでみてください。
Q.生後4ヶ月過ぎで首がすわらないのは遅いのでしょうか?
首がすわる時期は、生後3ヶ月~4ヶ月ごろとされていますが、首すわりは個人差が大きく生後5ヶ月以降で完了する子も多くいます。ゆっくりだからといって発達に問題があるというわけではありません。
ほかの赤ちゃんと比べると心配になる気持ちもあるかもしれませんが、赤ちゃんの個性とも言えます。不安であれば専門機関に相談しながら、赤ちゃんのペースを見守ってあげるのもママやパパにできることの1つでしょう。
Q.生後1ヶ月で首がすわりそうなのですが早すぎるでしょうか?
赤ちゃんによっては首がすわる時期がとても早い場合もあります。首すわりの兆候が目安とされる時期よりも早く見られたり、進みが早かったりする場合にも心配しすぎることはありません。
ただし、月齢が早い時期から首がすわり始めたとしても、抱っこの際には念のため後頭部を支えるように手を添える方がいいでしょう。完全に首がしっかりとして赤ちゃんが自由に動かせるようになるまでは、万が一のことを考えてサポートすることが大切です。
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Q.首すわり前から使えるとされる抱っこ紐は本当に心配ないでしょうか?
抱っこ紐のなかには、専用のアタッチメントを付けて新生児から使用可能なものや「体重が○○kg以上」といったように条件付きで使用できるものもあります。そうはいっても、新生児期の小さな赤ちゃんを抱っこ紐で抱っこするのは、慣れるまで難しく感じるものです。
まずは短い時間から徐々に使う時間を伸ばしていったり、使うのに不安がなくなる時期までは使用を控えたりすることも検討するとよいでしょう。ママやパパが使い方をしっかりと確認し、正しい使用方法を守ることで安全に使うことができますよ。
首すわりは赤ちゃんのペースで大丈夫
「首すわり」は赤ちゃんの成長を感じられる、発達のステップです。首がすわると成長を感じられるだけでなく、抱っこやお風呂などお世話をするのも楽になってくるでしょう。
そのため、「早く首がすわってほしい」と考えるママやパパもいるかもしれませんが、基本的には赤ちゃんのペースですわっていくので見守るスタンスで大丈夫です。
もし目安の時期より遅くなったとしても、個性や個人差ととらえて心配しすぎないようにしましょう。遊びの一環として、負担のない範囲でうつ伏せあそびや縦抱きなど、首すわりを促す運動もおすすめです。
気になることや不安なことがあれば、かかりつけの小児科医や保健センターなどの専門機関に相談するのも1つの手ですよ。