公開日 2023/10/05

【医師解説】乳幼児健診はいつ受ける?乳児健診の目的や健診のスケジュールについて

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さの赤ちゃんこどもクリニック 院長

佐野 博之 先生

Q.乳幼児健康診査(乳児健診)とはどのようなものでしょうか。

A.乳児健康診査は、赤ちゃんが順調に健康に育っているか、成長や発達の上での心配事や病気はないかなどをチェックし、医師、保健師、助産師、栄養士など多くの専門家からそれぞれの赤ちゃんに合ったアドバイスをもらったり、悩み事や不安を相談したりする場です。乳児健診または乳幼児健診とも呼ばれます。乳児健診では、お子様の成長確認はもちろん、保護者の方の育児相談の場としても活用できるので、定期的に受診するようにしましょう。

健診の結果、病気やなんらかの異常の疑いがある場合は、無料で詳しい検査や専門医の診察が受けられる制度などもあります。

Q.必ず受けないといけないのでしょうか。

A.母子健康法により「1歳6カ月」と「3歳」の健診は法的義務とされています。それ以外の健診については義務ではありませんが、ほとんどの自治体で実施されています。他の健診時期については自治体に任せられているため、お住まいの地域によって乳幼児健診を行う時期が異なりますので、不安な場合はお住まいの自治体に確認してください。

Q.どのような方法で行われますか?

A.健診には二つの方法があります。一つは、地域の保健所や市町村保健センターなどに集まって行う「集団健診」です。もう一つは、市区町村から事前に配布された受診票を持って、かかりつけの小児科医の元で受ける「個別健診」です。自治体によって両方、またはどちらか一方の形で健診が行われていますので、お住まいの自治体からの情報を確認してください。わからない場合や転居した際は、保健所や市町村保健センター、市区町村役場などに問い合わせてみてください。

Q.乳児健診はいつ受ければいいのでしょうか。また、何をチェックするのでしょうか。

A.市区町村が実施している健診(公費負担)は基本は乳児期に1~2回と1歳6ヶ月児期、3歳児期です。公費負担でない時期の健診は、かかりつけの小児科医の元で受けることになります。最近は、生後2週間健診を行っている医療機関もあります。

1ヶ月健診

1ヶ月健診では、授乳の方法や状況(あげ方や量)、排泄状況などの日常の赤ちゃんの様子を伺います。また、へその乾き具合や黄疸が消えているか、発育性股関節形成不全があるかどうか、心雑音がないか、モロー反射の様子などを確認します。母乳の場合、ビタミンK欠乏性出血症による頭蓋内出血を予防するために、ビタミンK2シロップを投与することもあります。

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲)
  • 運動発達(手足をよく動かすか)
  • 精神の発達(視線・音や声への反応など)
  • 視覚や斜視に心配がないか
  • 聴覚(大きな音にびっくりするか)
    など

▶︎1ヶ月健診に関する詳しい解説はこちら

▶︎生後1ヶ月の赤ちゃんに関する詳しい解説はこちら

3,4ヶ月健診

首のすわり具合、音への反応、肌の状態、先天性の病気がないかなどを確認します。目でものを追うか・音に反応するか・あやすと笑うかどうかなどが、精神の発達具合を測る参考になりますので合わせてチェックします。

▶︎赤ちゃんの首座りに関する詳しい解説はこちら

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲)
  • 股関節(ひらきに制限や左右差がないか)
  • 運動発達(頚が座っているか、など)
  • 精神の発達(笑い声・発声・視線など)
  • 視覚(目つきや目の動き)
  • 聴覚(音や声かけへ反応するか)
    など

▶︎3,4ヶ月健診に関する詳しい内容はこちら

▶︎生後3ヶ月の赤ちゃんに関する詳しい解説はこちら

▶︎生後4ヶ月の赤ちゃんに関する詳しい解説はこちら

6,7ヶ月健診

寝返りやお座りができるか、離乳食の回数などの確認を行います。また、おもちゃへの反応や、人見知りがあるかどうかなど、精神的な発達も確認します。また生後6ヶ月頃になると、お母さんからもらった免疫が徐々に低下します。赤ちゃん自身の免疫力も未熟ですので、感染症についての指導が行われることもあります。

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲、歯)
  • 股関節(ひらきに制限や左右差がないか)
  • 運動発達(おすわりや、顔に被せたハンカチを手で払いのけられるか)
  • 精神の発達(笑い声・発声・視線など)
  • 視覚(動くものに対してしっかり目で追いかけているか)
  • 聴覚(音や声かけへ反応するか)
    など

▶︎6,7ヶ月健診に関する詳しい内容はこちら

▶︎生後6ヶ月の赤ちゃんに関する詳しい解説はこちら

▶︎赤ちゃんの寝返りに関する詳しい解説はこちら

9,10ヶ月健診

つかまり立ち、ハイハイなどの運動機能の発達、歯の生え具合、ダダ・バブバブなどの喃語(なんご)の発声、離乳食の様子などを確認します。また、体が倒れそうになった時に手を伸ばして自然と体を支えようとする「パラシュート反射」の確認や、予防接種の進み具合などもチェックします。この時期に、視覚や聴覚などの先天的な病気が見つかることもあります。

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲、歯)
  • 運動発達(ハイハイやお座り、指の動き)
  • 精神の発達(呼びかけへの反応・人見知りをするか・反復する言葉がでているかなど)
  • 視覚や反応(斜視はないか、瞳が白や緑黄色に見えないか)
  • 聴覚(小さな声への反応があるか)
  • など

1歳6ヶ月児健診

心音や腸の動き、皮膚の状態に異常がないか、視力・聴力などを確認します。ひとり歩きができるか、物を掴めるか、指さしができるか、名前を呼ばれると反応するかなど、言葉や音への反応もチェックします。また、歯の生え方や本数、虫歯がないかどうかなどもチェックし、場合によっては、歯の磨き方の指導などもあります。

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲、歯)
  • 運動発達(一人歩きの様子)
  • 精神の発達(赤ちゃんが意味を含んだ動作を理解し、使えているかどうか)
  • 視覚や反応(斜視はないか、瞳が白や緑黄色に見えないか)
  • 聴覚(名前を呼ばれると振り向くか)
  • 歯科健診(歯の生え具合いや、舌の動き、虫歯があるかどうか)
    など

3歳児健診

視力や聴力のテスト、生活習慣の確認、言語・精神・運動発達の確認、社会性の発達確認、歯の検査や尿検査などが行われます。例えば、自分の名前や年齢が言えるか、指定の数まで積み木を積めるか、指先で小さい物をつまめるかなどを確認します。

▼チェックする内容

  • からだの発育(身長、体重、胸囲、頭囲、歯)
  • 運動発達(一人歩きの様子)
  • 精神の発達(赤ちゃんが意味を含んだ動作を理解し、使えているかどうか)
  • 視覚や反応(斜視はないか、瞳が白や緑黄色に見えないか)
  • 聴覚(名前を呼ばれると振り向くか)
  • 歯科健診(歯の生え具合いや、舌の動き、虫歯があるかどうか)
    など

Q.乳児健診では頭の形のゆがみも診てもらえるのでしょうか。

A.乳児健診に頭の形のゆがみを診察する項目は含まれていません。(2023年10月現在)頭部の診察では、頭位の測定や、大泉門の閉じ具合を確認したりすることはありますが、頭のゆがみについては、特に指摘がないことがほとんどでしょう。もし、赤ちゃんの頭の方が気になる場合は、相談してみるのがよいでしょう。それでも心配という方は、頭の形の専門外来に行かれることをお勧めします。

▶︎絶壁や斜頭など赤ちゃんの頭のゆがみに関する詳しい解説はこちら

Q.健診にかかる費用について教えてください。

A.自治体で実施される乳幼児健診は、基本的にはすべて無料です。ただし、自治体から指定されている期間外に任意で乳幼児健診を受ける場合は、費用がかかるケースもあります。任意の乳幼児健診の費用については、医療機関によって異なりますが、5000円~1万円ほどがおおよその目安になります。薬の処方など保険診療を受けた場合は健診とは別に費用が発生することがありますので、保険証や乳幼児医療費受給者証がある場合は必ず持参してください。

Q.必要な持ち物を教えてください。

A.受診表・母子手帳・健康保健証・乳幼児医療費受給者証(子ども医療費受給資格証)などを必ず持参してください。受診表は、健診の通知とともに自治体から送付されますが、自治体によっては母子手帳交付の際に受診表の綴りをまとめた冊子を渡すこともあります。

その他にも、お子さまが水分補給できるものやおむつ、おしりふき、おもちゃなどがあると安心です。なお、自治体からの通知に健診に必要なものが記載されていますので、事前に確認しておきましょう。

お子さまのことで何か気になることがあれば、事前に母子手帳などにメモしておくことで、健診の際にスムーズに質問することができます。

Q.服装について教えてください。

A.診察や測定の際にはおむつ1枚になるので、着脱しやすい前開きタイプがおすすめです。普段着で特に問題ありません。また、おくるみが1枚あると、保温したり、日除けにもなるので便利です。

Q.健診に関しての注意事項があれば教えてください。

A.乳幼児健診は、専門家に相談できる貴重な機会です。事前に赤ちゃんの健康状態や発育・発達の状況を把握し、気になっていることがあれば相談してみましょう。他にも、お子さまの健康状態だけでなく、育児への不安などがあれば相談すると良いでしょう。

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