公開日 2023/09/14
【医師解説】3,4ヶ月健診は何をチェックする?内容や費用、注意点について
目次
さの赤ちゃんこどもクリニック 院長
佐野 博之 先生
Q.3,4ヶ月健診は必ず受診するものでしょうか。
A.生後3,4ヶ月頃の赤ちゃんが受ける発達や発育を確認する乳幼児健康診査(乳幼児健診)です。自治体が必要に応じて行っている健診ですので受診義務はありませんが、赤ちゃんにとって生後3ヶ月頃はからだの発達の大きな節目の時期なので、3,4ヶ月健診はぜひ受けておきたい健診です。赤ちゃんの成長確認のみならず、子育ての不安などを相談する場が設けられていますので、悩みや不安がある時は、医師や保健師、栄養士などの専門家に相談すると良いでしょう。
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Q.3,4ヶ月健診では何をチェックするのでしょうか?また、1ヶ月健診との違いを教えてください。
A.身体測定・からだの状態・股関節のひらき・頚(首)がすわっているか原始反射の様子・筋性斜頸や股関節脱臼の有無・笑い声・発声など・目つきや目の動き・音や声かけへ反応するかなどをチェックします。1ヶ月健診では、身体の発育を中心に見ますが、3,4ヶ月健診では発育に加え、発達面などもチェックします。
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身体測定
身体測定では、赤ちゃんの身長、体重、頭囲などを計測し、結果は、母子健康手帳に記載されます。
参考:生後3ヶ月 身長・体重の目安
■男の子/身長57.5~66.1cm 体重5.12~8.07kg
■女の子/身長56.0~64.5cm 体重4.84~7.53kg
参考:生後4ヶ月 身長・体重の目安
■男の子/身長59.9~68.5cm 体重5.67~8.72kg
■女の子/身長58.2~66.8cm 体重5.35~8.18kg
※厚生労働省 平成22年乳幼児身体発育調査報告書
股関節脱臼の有無や身体の動きの確認
赤ちゃんの股関節をやさしく開き、発育性股関節形成不全がないかどうかを確認します。股関節脱臼が発見されても、治療をすれば改善するので、後遺症が残ることはほとんどありません。
※発育性股関節形成不全とは:赤ちゃんの股関節は大腿骨の頭の部分である大腿骨頭とそれを覆う屋根の部分である臼蓋からできています。 大腿骨頭が完全に臼蓋から外れてしまうのが脱臼、はずれかかっているのが亜脱臼、骨頭の位置はよいが屋根 の被覆が悪いものを臼蓋形成不全といいます。最近では、赤ちゃんの股関節を開いて足を自由に動かせるような保育が行われるようになり、股関節を脱臼する割合は100人に2,3人だったのが、1000人に1,3人と減少しています。家族に発育性股関節形成不全の人がいる場合は発生率が少し高くなります。
首がどの程度すわっているのか
赤ちゃんをうつ伏せに寝かせて頭を上げられるか、仰向けに寝かせて、両手を持って引き起こすと頭がついてくるかどうかなどで、首のすわり具合を確認します。首のすわり具合を確認すると同時に筋力の発達具合もチェックしています。
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目の動きのチェック
赤ちゃんの目の動きや目つきを確認します。目の動きが自然であるかどうかや、眼球運動に異常はないか。斜視の有無などを判断します。
※斜視とは:物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態をいいます。片目が正常な位置にあるときに、もう片目が内側に向いている状態を内斜視、外側に向いている状態を外斜視、上側に向いてしいる状態を上斜視、下側に向いている状態を下斜視といいます。
赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いために、内斜視のようにみえることがありますが、見かけだけであり、本当に斜視があるわけではないのでこれを偽斜視といいます。成長に伴い顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなります。
耳の聞こえのチェック
赤ちゃんが音にどのように反応するかをチェックします。向き合うように抱っこした状態で、背後から音が鳴ったときの反応を見ることで、聴覚の異常が確認できます。
医師による心音や呼吸のチェック
赤ちゃんの胸やお腹、背中に聴診器を当てて心音や呼吸に乱れがないか、雑音がないかを確認します。
Q.持ち物を教えてください。
A.基本的に、必要なものは各医療機関から伝えられます。一般的には以下のものを持ってくるように指示されます。1ヶ月健診の際の持ち物と大きくは変わりません。
<健診を受けるために必要なもの>
母子健康手帳 / 健康保険証 / 乳幼児医療費受給者証 / 乳幼児健康診査受診票 / 診察券 / 問診票 / 健診の費用
<赤ちゃんに必要なもの>
着替え 1~2セット / 肌着1枚+ベビー服1枚で1セット / おむつ 最低でも3~5枚 / おしりふき / ビニール袋2~3枚 / ガーゼ 1~2枚 / おくるみ or 大きめのバスタオル / 授乳ケープ / 哺乳びん / 授乳用ミルク / 調乳用のお湯 など
Q.費用はかかるのでしょうか?
A.公費で行っている自治体がほとんどです。しかし、一部または全て自己負担となるケースもあります。自費で健診を受ける場合には、数千円程度かかるようです。細かい内容は自治体によって異なることもありますので、居住する自治体の公式ホームページ等で確認してみてください。
Q.赤ちゃんの服装はどのようなものが良いでしょうか?
A.診察や測定時にはおむつ1枚になるので、前開きタイプの着脱しやすい服装がおすすめです。また、おくるみが1枚あると、保温や、日除けの際に利用できるので便利です。
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Q.3,4ヶ月健診ではどのような相談が多いですか?
A.便秘や乳児湿疹、おむつかぶれなどの相談が増えてきます。他にも向き癖や頭のゆがみに関する相談もあります。特に向き癖や頭のゆがみに関しては、少し注意が必要です。3ヶ月~4ヶ月頃になってくると、動いてるものを頭を動かしながら追うことができるようになってきます。しかし、頭蓋変形が進んでいるとこの動きに制限がかかってしまうことがあります。左右の動きに明らかな違いがある場合は、頭蓋変形が原因の可能性がありますので、頭のゆがみが気になったら、専門の病院に相談することをおすすめいたします。