公開日 2024/11/28
【医師解説】新生児(赤ちゃん)が寝ないときは?昼間や夜中に寝ないときの原因や寝かしつけのポイント
目次
武田 賢大 先生
夜も寝ずに泣き続ける赤ちゃん。抱っこや授乳の後も、なかなか寝つかない日々が続くと、「このままで大丈夫?」と不安になり、疲れも溜まってしまいますよね。そんな夜泣きや寝かしつけの悩みは、多くのママ・パパが経験する課題です。この記事では、赤ちゃんが寝ない原因を生理的、環境的、心理的要因に分けて解説します。規則正しい生活リズムの確立や快適な睡眠環境づくりなど、寝かしつけのコツも詳しく説明していきます。
赤ちゃんの睡眠サイクルと発達:よくある特徴と改善のコツ
特に初めて子育てされるママ・パパにとっては赤ちゃんの睡眠はイメージがつかなかったり、いざ目の前にすると不安になることがたくさんあります。大人とは全く違う睡眠パターンであることをまずは知ることで、不安が軽減できると思います。ここでは新生児の生理的な睡眠の特徴を説明していきます。
新生児の睡眠サイクルとは?不規則な睡眠パターンの特徴とは
新生児の睡眠には、大人とは異なる特徴があります。新生児は、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を繰り返しますが、そのサイクルは短く不規則です。また、新生児の睡眠は浅いことが多く、外部の刺激に敏感に反応するため、頻繁に目を覚まします。新生児の睡眠パターンは個人差が大きいものの、多くの赤ちゃんが1日に16~18時間ほど眠ります。ただし、一度に長時間眠ることは少なく、2~3時間おきに授乳のために目覚めるのが一般的です。この睡眠サイクルは、新生児の成長に欠かせない重要な役割を果たしています。
新生児から生後6ヶ月頃までの赤ちゃんの睡眠リズムの変化
赤ちゃんの睡眠リズムは、月齢とともに徐々に変化していきます。新生児の睡眠リズムが大人のように昼夜で分かれるようになるまでには、一定の過程があります。生まれたばかりの赤ちゃんは、昼夜の区別なく断続的に眠ります。
生後2ヶ月頃になると、約25%の赤ちゃんが夜中に5時間ほど連続して眠れるようになります。この時期は、少しずつ夜間の睡眠時間が長くなっていく過渡期と言えるでしょう。
生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴は?ミルクの量、授乳間隔、睡眠時間について
生後4ヶ月を過ぎると、多くの赤ちゃんが昼夜の区別がつくようになり、夜間に8~10時間のまとまった睡眠をとることが増えてきます。ただし、この時期でも、まだ完全に昼夜のリズムが確立しているわけではありません。
生後3ヶ月の赤ちゃんの体重やミルクの量は?授乳間隔や睡眠時間についても解説
生後4ヶ月の赤ちゃんができることとは?体や心の成長・発達を解説
生後8ヶ月頃になると、赤ちゃんの睡眠リズムは大人に近づき、夜間の睡眠がより安定してきます。ただし、離乳食の開始や活動量の増加など、生活の変化に伴って一時的に睡眠リズムが乱れることもあります。
新生児が寝ない原因と具体的な対処法について
赤ちゃんが思った時間に寝てくれない、なんで寝てくれないんだろう、こんなに寝なくて大丈夫…?そんな悩みは子育てに関わる全ての人に共通する悩みです。赤ちゃんが寝つかない原因をしっかりと理解し、適切な対処法を知っておくことが、安心して子育てをするためのポイントです。ここでは、赤ちゃんが寝ない原因と対処法について、生理的要因、環境的要因、心理的要因、そして月齢別の特徴に分けて解説していきましょう。
【生理的要因】空腹や体の不快感が原因の場合
新生児が寝ない原因の中でも、最も多いのが生理的要因です。例えば、お腹が空いていると、赤ちゃんは不快感を感じて眠れなくなります。授乳量が十分でない場合は、ミルクを足してみましょう。また、おむつが汚れていると、不快感から寝つけないことがあるので、こまめにチェックして交換することが大切です。
体調不良も、寝ない原因の一つです。ゲップや便秘でお腹が張っていると、寝苦しさを感じることがあります。湿疹などで肌トラブルがある時は、かかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
さらに、日中のお昼寝が長すぎると、夜の睡眠に影響が出ることもあります。特に生後2ヶ月を過ぎたあたりから、昼夜のリズムを意識することが大切です。お昼寝の時間を調整し、朝の起床時間を一定に保つよう心がけましょう。赤ちゃんの体調変化に注意を払い、必要に応じて小児科医に相談するようにしましょう。
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【環境的要因】室温や湿度が原因?睡眠に快適な環境とは?
赤ちゃんの睡眠は、環境の影響を受けやすいものです。室温や湿度が快適でない、部屋が明るすぎる、騒音があるなどの環境的要因が、寝つきの悪さにつながることがあります。
理想の室温:
冬は20~22度、夏は26~28度を目安に設定します。赤ちゃんの肌は敏感なので、大人が快適に感じる温度よりもやや高めが適切です。エアコンやヒーターの使用を利用する場合は、直接風が当たらないように設置し、定期的に空気を循環させて部屋を適温に保ちましょう。
湿度の管理:
湿度は50~60%を保つのが理想です。乾燥しすぎると鼻や喉が不快になり、湿度が高すぎると蒸し暑く感じて眠りが浅くなることがあります。季節や部屋の状況に応じて、冬は加湿器を、梅雨や夏は除湿機を利用すると快適な環境が作れます。
照明の工夫:強い光は赤ちゃんの睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑えるため、夜間は暖色系の控えめな照明に切り替えましょう。また、外からの光を遮るカーテンを使うことで、昼寝の時間や早朝の光による目覚めを防げます。
【心理的要因】赤ちゃんの睡眠に影響する心理的要因
新生児の赤ちゃんは、日中の刺激に敏感です。テレビやスマートフォンの強い光、大きな音などで興奮してしまうと、寝つきが悪くなることがあります。また、環境の変化によるストレスや不安も、睡眠に影響を与えます。
日中の刺激をコントロール:中にお散歩や遊びで適度に体を動かすと、夜間の睡眠が深くなります。また、人混みや強い光、騒音の多い環境は避け、赤ちゃんのストレスを減しましょう。
寝る前の強い刺激を避けリラックスできる環境づくり:寝る1~2時間前からテレビやスマートフォンなどの光や音が強いものを避け、静かで穏やかな環境を作りましょう。絵本の読み聞かせや、赤ちゃんを優しく抱っこして語りかけるなどの静かな時間を持つことで、赤ちゃんが安心感を得られます。
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新生児~生後6ヶ月以降の赤ちゃんが寝ない原因と対処法【月齢別】
赤ちゃんの睡眠は、月齢によって特徴が異なります。
生後0~1ヶ月頃:生活リズムが整っておらず、頻繁に目覚めるのが普通です。この時期は、おむつ交換や授乳、温度調整などで、赤ちゃんの快適さを保つことが大切です。
生後2~3ヶ月頃:昼間の刺激で興奮して寝つけないことが増えてきます。お昼寝の時間を調整し、朝の起床時間を一定に保つことで、生活リズムを整えていきましょう。
生後4~5ヶ月頃:物音や光などの些細な刺激で目覚めやすい時期です。夜泣きが始まることもあるので、安定した睡眠環境を作り、リズムを整えることが重要です。
生後6ヶ月以降:離乳食の開始や活動量の増加により、睡眠リズムが変化しやすくなります。1日13~14時間の睡眠を確保し、お昼寝が夜の睡眠に影響しないよう、時間を調整していきましょう。
赤ちゃんが寝ないときは、焦らずに原因を考え、適切な対処を心がけましょう。
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新生児の寝かしつけ方法と快適な睡眠環境の整え方
赤ちゃんの寝かしつける時って何をしたらいいんだろう、反対に何に気を付けたらいいんだろう…?適切な寝かしつけを覚えて、赤ちゃんがスムーズに寝てくれるとご両親も落ち着ける時間ができますよね。ここでは、新生児の寝かしつけのコツと睡眠環境づくりについて、詳しく解説していきましょう。
新生児の生活リズムを整える3つのポイント
新生児の睡眠リズムは、大人とは大きく異なります。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ昼夜の区別がつかず、1日を通して断続的に眠ります。この時期の睡眠リズムを整えるには、規則正しい生活リズムを確立することが大切です。具体的には、朝は明るい光を取り入れ、日中は活発に過ごすようにします。一方、夕方以降は照明を落とし、徐々に静かな環境を作るようにしましょう。
就寝前のスマートフォンやテレビの使用は避けましょう。強い光が赤ちゃんの目を刺激し、寝付きを悪くする原因になるのです。代わりに絵本の読み聞かせやぬいぐるみ遊びなど、穏やかな時間を過ごすのがおすすめです。
また、リラックスできるようなルーティンを心がけましょう。例えば、毎晩同じ時間に授乳やおむつ交換を行い、その後は静かな音楽を流すなどして、眠りへの準備を整えます。こうした一連の流れを毎日繰り返すことで、赤ちゃんは次第に睡眠のサインを理解し、スムーズに眠れるようになっていくでしょう。
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赤ちゃんがぐっすり眠れる「入眠儀式」のすすめ
新生児の寝かしつけには、睡眠を誘発する入眠儀式を取り入れることも効果的です。入眠儀式とは、赤ちゃんが眠る直前に行う一連の行動のことを指します。例えば、ぬるめのお風呂に入れてリラックスさせた後、静かな部屋で授乳し、絵本を読み聞かせるといった流れが考えられます。入眠儀式で大切なのは、毎晩同じ順序で行動することです。赤ちゃんは繰り返しによって安心感を得ることができ、自然と眠りに誘われていきます。入眠儀式の最後には、部屋を暗くして静かな環境を作ることを忘れないようにしましょう。
ぐっすり眠れる快適な睡眠環境
新生児が安心して眠るためには、快適な睡眠環境を整えることも重要です。まず、室温や湿度に注意を払いましょう。赤ちゃんは大人よりも体温調節が苦手なため、部屋の温度は冬場で20度前後、夏場は28度前後に保つことが理想的とされています。湿度も50〜60%を目安に調整します。また、赤ちゃんの寝具にも気を配りましょう。肌触りの良い天然素材の布団やシーツを選び、適度な厚さのものを用意します。枕は使用せず、仰向けに寝かせるようにしてください。窒息のリスクを避けるため、ぬいぐるみなどの小物は避け、シンプルな寝床を心がけましょう。
睡眠前の赤ちゃんをリラックスさせるスキンシップ
赤ちゃんをリラックスさせ、眠りを誘うのに欠かせないのが、スキンシップです。肌と肌の触れ合いは、赤ちゃんに安心感を与え、心を落ち着かせる効果があります。寝かしつける前には、ゆっくりとした語りかけをしながら、やさしくマッサージをしてあげましょう。手足の先から体の中心に向かって、緩やかにさすっていきます。また、子守唄を歌ったり、一緒に布団に入って体を寄せ合ったりすることも、赤ちゃんの情緒を安定させるのに役立ちます。こうしたスキンシップを通して、赤ちゃんはママ・パパの愛情を感じ取り、心身ともにリラックスします。
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睡眠リズムの乱れを防ぐポイント
赤ちゃんの睡眠リズムを整えるためには、昼間と夜間のメリハリをつけることが大切です。そのためにも、日中はカーテンを開けて明るい環境を作り、外に散歩に行くなどして適度な刺激を与えましょう。
一方で夜は静かで暗い環境を心がけ、落ち着いて過ごせるようにします。お昼寝の時間が長すぎたり、夕方以降に眠ったりすると、夜の睡眠に影響が出やすくなります。午睡は午後3時までに終わらせ、それ以降は活動的に過ごすことを意識しましょう。
生活リズムを整えるためには、起床時間と就寝時間を一定に保つことが重要です。多少のズレは仕方ありませんが、できるだけ規則正しい生活を心がけることで、赤ちゃんの体内時計を整えることにつながります。
成長に伴い、睡眠リズムは少しずつ整っていきます。日中の活動量が増えたり、離乳食が始まったりと、生活の変化に合わせて柔軟に対応していくことが大切です。赤ちゃんのペースに合わせながら、焦らず上手に睡眠習慣を身につけていきましょう。
最後に、赤ちゃんの発達は個人差が大きいということを忘れないでください。周りの子と比べて悩むよりも、我が子の成長に合わせて柔軟に対応していくことが何より大切です。睡眠のリズムが整うまでには時間がかかることもありますが、ゆっくりと見守っていきましょう。
赤ちゃんの睡眠に関するよくある質問
赤ちゃんの睡眠に関して、よく寄せられる質問をまとめました。同じような悩みを抱えるママやパパの参考になるよう、具体的なアドバイスを交えてお答えします。赤ちゃんの成長には個人差がありますので、無理のない範囲で取り入れてみてください。
Q.赤ちゃんがなかなか寝てくれなかったり、寝てもすぐに起きてしまったりするのはなぜですか?
赤ちゃんが寝ないときは、主に次のような理由が考えられます。
- お腹が空いている、おむつが濡れている、お腹が張っているなど体の不快感
- お部屋が暑すぎたり寒すぎたり、明るすぎたり、周りがうるさかったり
- テレビの音や光で興奮している、環境の変化で不安を感じている
生まれたばかりの赤ちゃんは、大人と違って浅い眠りが多いので、ちょっとした刺激ですぐ目が覚めてしまうのは自然なことです。
Q.赤ちゃんを寝かせるコツはありますか?
寝かしつけのコツをいくつか紹介します。
- 毎日同じ流れで寝かしつける 例)お風呂→授乳→絵本を読んであげる
- 夜は部屋を少し暗めにして、静かな雰囲気を作る
- 快適な温度(冬は20度くらい、夏は28度くらい)を保つ
- 優しくマッサージしたり、抱っこしたりしてスキンシップをとる
- 昼間はカーテンを開けて明るく過ごし、夜との区別をつける
これらのコツを日々の生活に取り入れることで、赤ちゃんの眠りのリズムを整え、スムーズな寝かしつけすることができます。
Q.授乳中以外ずっと寝ているのですが、大丈夫でしょうか?
生まれたばかりの赤ちゃんは1日の大半を寝て過ごすのが普通です。2~3時間おきに起きて授乳し、また眠るというパターンを繰り返すのが一般的と言われています。赤ちゃんの体重が順調に増えているなら、それだけ熟睡できているという証拠です。赤ちゃんによって睡眠時間には差があるので、無理に起こす必要はありません。
Q.赤ちゃんがなかなか寝てくれなくて心配です。
赤ちゃんが寝てくれないと子育てをしているパパ、ママも大変ですよね。赤ちゃんの睡眠時間は月齢によって多少変わりますが、新生児期は14−18時間、1歳前後で12−15時間程度と言われていますが、お子さんによってかなり個人差があります。お子さんが健やかに発育しているようであれば、それはがそのお子さんの睡眠であり、問題がないと考えていただいて大丈夫です。
Q.赤ちゃんが寝ているときに、ビクッとすることがあります。大丈夫でしょうか?
赤ちゃんの寝ている姿も心配になることがありますよね。赤ちゃんが時折ビクッとなることがありますが、ミオクローヌスと呼ばれる動きです。多くの場合、赤ちゃんの睡眠覚醒リズムを司る部分の未熟さから生じる動きで、成長とともに改善してきます。お子さんの発達に影響するものでもありません。心配な場合には動画で赤ちゃんを撮影し小児科医にチェックしてもらうと安心です。
Q.添い寝してもいいですか?
日本の住宅環境や文化的に、添い寝で寝かしつける方もいると思いますが、新生児や乳児のお子さんとの添い寝は窒息死のリスクから推奨されません。添い寝が可能になる年齢には個人差がありますが、お子さんが1人で起き上がったり、重たいものを払いのけることができるようになるまでは、専用のベビーベッドに寝かせるようにしましょう。寝かしつけに添い寝が必要な場合には、寝入ったあとはベビーベッドに移動させてあげましょう。
赤ちゃんがよく眠れる環境を整え、規則正しい生活リズムをつくろう
赤ちゃんが寝てくれないときは、空腹やおむつ、体調の不快感、室温や湿度、光や音などの環境、そして興奮や不安などが影響しているかもしれません。赤ちゃんの月齢やその日の様子に合わせて原因を探りながら、できる範囲で対応していきましょう。生活リズムを整えたり、寝る前の落ち着いた時間を作ったり、快適な環境やスキンシップで安心感を与えることが助けになります。赤ちゃんの成長には個人差があるので、「少しずつ慣れていけばいい」という気持ちで大丈夫です。焦らず、赤ちゃんのペースに寄り添いながら、一緒に心地よい眠りの習慣を作っていきましょう。