公開日 2023/11/06

【医師解説】赤ちゃんの寄り目(斜視)の原因や偽斜視との見分け方について医師に聞いてみました。

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さの赤ちゃんこどもクリニック 院長

佐野 博之 先生

Q.斜視とはどのような症状でしょうか。

A.通常、ものを見る時には右目、左目の両方の目が見ようとしているものの方向に向きます。斜視の場合は、片目が見ようとしているものを見ているのにもかかわらず、もう片方の目が見ようとしているものと違う方向を向くことがあり、これを斜視といいます。こどものおよそ2%程度に見られる病気です。

Q.赤ちゃんの視力の発達の目安を教えてください。

A.赤ちゃん視覚の発達は個人差がありますので、あくまで目安の一つとして考えてください。

1ヶ月頃:見えている範囲は、20~30cm程度とされ、この頃から、1箇所をじっと見つめる「固視」がみられるようになります。

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2ヶ月頃:両目でものを見ることができる様になり、首も動かせるようになるにつれ、視野も広がります。この時期から、動くものを目で追う「追視」ができるようになってきます。

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3ヶ月頃:0.05ぐらいの視力があるとされ、30cm以上離れたところにある物も見えるようになります。二次元だった視野が、三次元になります。

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6ヶ月頃:物をじっと見つめるようになります。また、顔を覗き込むと、目線をしっかりと合わせて見つめ返すことができるようになるのもこの時期です。

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1歳頃:0.2~0.3程度の視力があるとされます。この時期から視機能は急激に発達し、発達のピークは1歳6ヶ月頃であると考えられています。その後も8歳ごろまでゆるやかに発達していくとされています。

3歳頃:3歳では約半数、3歳6ヶ月では約8割の子どもが1.0の視力に達するとされています。

Q.生後3ヶ月になる赤ちゃんの寄り目が気になります。斜視でないか心配です。

A.生後間もない赤ちゃんは、鼻の付け根が広くて低く、両目が離れており、上まぶたの内側が目にかぶさっていることがよくあります。その結果、白目の内側の部分が見えないため、時折内斜視のように見えることがあります。実際には両眼の視線がそろっていれば「偽内斜視(ぎないしゃし)」といい、赤ちゃんが成長するにつれて、ほとんどの場合は目立たなくなりますので、安心してください。

Q.内斜視と偽斜視の違いを教えてください。

A.見かけ上は視線がずれていて斜視のようにみえますが、実際には両眼の視線がそろっている状態を「偽斜視」といいます。

「偽斜視」の場合は、赤ちゃんの成長とともに改善されていくことがほとんどです。

「内斜視(ないしゃし)」の場合、自然に治ることはなく、治療をしないと、視力が発達しない恐れがあります。また内斜視は先天的なものと後天的なものの2種類あります。

乳児(先天)内斜視

生後6ヶ月以内に発生する寄り目で、「乳児内斜視(にゅうじないしゃし)」と呼ばれています。生後1ヶ月以降に発症することが多く、右眼や左眼が交互に寄り目になることがあります。原因として、筋肉や神経系の異常が考えられていますが、詳細な原因はまだ完全に解明されていません。赤ちゃんが生後6ヶ月を過ぎても寄り目が改善しない場合、小児科医や眼科に相談することをお勧めします。

後天内斜視

生後6ヶ月以降に発症する寄り目です。後天内斜視は、大きく3種類に分けられます。

基礎型内斜視

このタイプの内斜視は、斜視の角度が最初は比較的小さく、次第に大きくなります。遠くと近くでの眼位ずれはほぼ同程度で、眼鏡の装着によっても改善しにくい性質です。

調節性内斜視

1歳6ヶ月から3歳の幼児期に発症しやすいです。原因として、元々遠視がある場合、物を鮮明に見ようとして調節(ピント合わせ)が過剰に反応し、内斜視が発生します。調節が作動する際、寄り目をする機能(輻輳)も同時に活性化されるためです。遠視が強いほど、ピント合わせのために過剰な輻輳が発生し、それが内斜視につながります。初期段階では通常の視力と内斜視の状態が交互に現れ、特に近くを見るときに内斜視がよく見られ、次第に遠くを見る際にも内斜視が顕著になる傾向があります。

周期内斜視

3~4歳ごろから発症し、周期的に現れます。斜視のない日はほとんどが正常または軽度の内斜視で、双眼視が確認されます。しかし、斜視の日には常に内斜視の状態となり、双眼視が困難になります。このパターンは1日から2日おきに繰り返されます。

Q.内斜視と偽斜視の見分け方を教えてください。

A.生後間もない赤ちゃんは、視力が弱く視線が定まらないため、目の向きの見分け方は4ヶ月以降に行うのが良いでしょう。

生後2~3ヶ月頃から、両目で物を立体的にとらえる機能(立体視)が発達し、この時期に顕性化してくるのが乳児内斜視になります。 正常な乳児では生後4か月で約 85%、生後6か月になると 95%以上が正位になります。

赤ちゃんの目と目の間の皮膚をつまんで見る方法と、顔の正面からフラッシュ撮影をする2つの方法で確認することができます。黒目が目の中心にあるかどうか、黒目に映るフラッシュの反射が左右同じ位置にあるかどうかをチェックすることで、内斜視があるか、偽斜視かどうかをチェックすることができます

偽斜視の場合、鼻の付け根が高くなり、目を適切に動かす筋肉が発達するにつれ、この症状は1歳くらいまでに自然に改善されます。斜視ではないため、治療の必要はありません。ただし、このために子供の内斜視は自然に治るとそのままにされる傾向もあり、治療が手遅れになるケースもあることは注意しておきましょう。気になる場合は、眼科医に診察してもらうことをお勧めします。眼球を制御する筋肉の不均衡や麻痺が存在すると、物が重なって見えたり、他にも、目の神経や視力障害が隠れていることがあります。

Q.斜視の場合どのような治療をするのでしょうか。

A.斜視の種類によって治療法が異なりますが、基本的には眼球の位置の矯正と両眼で見る機能の獲得が主になります。

生後6ヶ月未満の赤ちゃんで明らかな内斜視がある場合は先天的なもので、弱視を伴うことが多いため、手術で治療を行います。眼球を動かす筋肉は上下左右に6つあり、この筋肉がアンバランスになっていることが多いため、その位置を手術でつけかえたり、筋肉の長さを調節したりします。

ほかのタイプの斜視でも、症状が重度で眼球の位置が動きにくい場合には早い時期に手術をすることになることが多いです。また、症状が軽度の場合は3歳くらいになってから、詳しく検査して治療法を決めます。手術をする場合には小学校に入る前に終えるほうがいいこともあります。手術は複数回行われることもあります。

調節性内斜視の症状は早くても8ヶ月以降、通常は1歳ごろに出てきます。調節麻痺薬などを利用し、眼球の調節機能を止めて検査を行います。遠視の程度に合った眼鏡やコンタクトレンズで矯正治療を行います。治療方針が決まるまでに何度も受診するケースも多く、治療にも時間がかかります

後天的に生じた斜視は、眼の筋肉の麻痺、脳腫瘍なども考えられるので原因を調べて治療します。重大な原因がないと分かれば、自然に治ることも多いので、すぐには手術をせず、半年程度様子を見ることがほとんどです。

参考:

公益社団法人 日本眼科医会「園医のための眼科健診マニュアル」

改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル

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