公開日 2026/05/26

【医師解説】吸引分娩は赤ちゃんの頭の形に影響する?吸引分娩によるゆがみの特徴

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この記事の監修者

さの赤ちゃんこどもクリニック 院長

佐野 博之 先生

<経歴>
大阪大学医学部卒。大阪大学医学部附属病院入局。りんくう総合医療センター、大阪大学医学部附属病院、大阪母子医療センター、愛染橋病院、淀川キリスト教病院 小児科 主任部長/母子センター長を経て、2020年より現職。

<資格>
日本小児科学会小児科専門医・指導医
日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医・指導医
地域総合小児医療認定医、子どもの心の相談医

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吸引分娩によるゆがみの特徴

赤ちゃんの頭の形のゆがみの原因は、骨の病気である頭蓋骨縫合早期癒合症による変形と、外からの外力による変形の2つが上げられますが、ほとんどの場合は外力による変形です。遺伝のせいですか?と聞かれるご両親がいらっしゃいます。

ある程度ご両親に似た形になる可能性はありますが、気にされる程の変形が遺伝によるということは、前述の頭蓋骨早期癒合症等の疾患によるものでありかなり稀です。ですので遺伝が原因の場合はかなり稀と言ってよいと思います。今回は外力による変形にしぼってお話します。

外力が加わるタイミングとして大きく産前と産後に分けることができますが、産前の場合、お母さんのお腹の中で赤ちゃんが通常と異なる向きを向くことで骨盤から圧力を受けたり、双子などの多胎妊娠の場合には狭い空間で通常よりも圧力が加わりやすくなります。また、鉗子分娩吸引分娩の場合にも頭部に圧力が加わり、ゆがむ原因となり得ます。

ただし、これら産前〜出生時の影響はそれほど大きくなく、ほとんどの場合は産後に同じ向きで寝ていることが原因だと言われています。

頭のゆがみ

筋性斜頸等の場合には頭を自由に動かすことができず、同じ向きで寝てしまうことでゆがみが大きくなることがありますが、正常児の場合でも「向き癖」と呼ばれ、同じ方向で寝てしまう赤ちゃんは多く存在します。

こうした特定の方向で長い時間寝ている場合には、頭蓋骨にかかる圧力が偏ってしまうため、頭のゆがみが発生します。左右どちらかを向いている場合には斜頭、真上を向いている場合には短頭(絶壁)になりやすいと考えられています。

逆に言えば、同じ向きで寝ないように向きを変えてあげたり、うつ伏せで運動したりすることで、ゆがみを軽減することができます。(後述のタミータイムもですが、決してうつ伏せ寝を推奨するものではありません)ゆがみが軽度であれば、適切な体勢や運動を継続的に行うことで、多くの場合頭蓋骨の形は改善していきます。

ただし、重度の変形の場合には、こうした対応をしていても改善が難しい場合があります。月齢3ヶ月をすぎてもゆがみが気になるようであれば、一度専門の医療機関を受診するのが良いと思います。ゆがみが中等度以上の場合には、自由診療となりますが、ヘルメット矯正治療という選択肢もあります。

ゆがみが改善しない場合の原因

吸引分娩による一時的な変形は、多くの場合、産後しばらく経つと落ち着いてくることがあります。向き癖などが重なった軽度なゆがみは、体位変換やタミータイムで改善が期待できる場合があります。

ただし、1ヶ月以上経過しても変形が残っている場合は、向き癖が重なって位置的変形に移行している可能性があります。生後1ヶ月健診で医師に確認し、変形が続く場合は医療機関への相談しましょう。

頭の形測定会

遺伝・体質の影響と、外力変形との違い

「頭の形が遺伝しているのでは」と感じる保護者は少なくありません。親子で頭の形が似ているケースはありますが、気になるほどの変形が遺伝だけで生じることはまれとされています。


遺伝的な骨格構造と外力による位置的変形は区別できます。遺伝が原因の場合は体位変換などのケアで改善しませんが、外からの力による変形は適切なケアで対処できます。


ただし、変形が著しい場合は、頭蓋骨縫合早期癒合症などまれな疾患が背景にあることもあるため、医師に相談することが大切です。

頭の形が気になったら、医療機関でご相談を。測定だけでも可能です

吸引分娩による頭の変形は、多くの場合一時的なものですが、向き癖が重なることで斜頭症へと移行するケースがあります。


「遺伝で頭の形が似ている」と感じる場合も、気になるほどの変形が遺伝のみで生じることはまれで、外力による変形が背景にあることが多いとされています。いずれの場合も、生後1ヶ月以降に変形が続く場合は、原因を見極めるためにも医師に相談することが大切です。


頭の形のゆがみは、成長とともに自然に改善するケースもありますが、すべてがそうとは限りません。早めに相談することで、対処の選択肢が広がります。「少し様子を見よう」と思いながら月齢が進んでしまうこともあるため、まずは測定だけでも医療機関で相談してみましょう。


吸引分娩後の頭の形に関するよくあるご質問

Q. 吸引分娩後の頭の形は自然に治りますか?

A. 吸引分娩による一時的な変形は、多くの場合、産後しばらく経つと落ち着いてくることがあります。

ただし、1ヶ月以上経過しても変形が残っている場合は、向き癖が重なって位置的変形に移行している可能性があります。

Q. 健診では頭の形を確認してもらえますか?

A. 乳児健診では、頭囲の測定や大泉門(頭頂部の骨の継ぎ目)の触診を通じて、頭部の発育を確認することができます。

ただし、頭の形のゆがみ(斜頭症など)は乳児健診の必須確認項目には含まれていないため、医師から特に指摘されないこともあります。気になる場合は、健診の際に保護者から医師に伝えることが大切です。

また、健診で経過観察と言われた場合でも、月齢が進むと対応の選択肢が狭まることがあります。気になる場合は、頭の形を専門に扱う医療機関での測定も検討してみましょう。