公開日 2025/06/25

【医師解説】ブライダルチェックとは?どこで受けるか費用はどれくらいか気になる疑問を解説!

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久保田産婦人科病院

西野 枝里菜 先生

結婚を控えたカップルにとって、「ブライダルチェック」という言葉を耳にしたことはありませんか?将来の妊娠や出産に向けて、自分たちの健康状態を確認しておきたいという方も多いでしょう。しかし、具体的にどんな検査をするのか、どこで受けられるのか、費用はどれくらいかかるのかなど、疑問に思うことがたくさんあるはずです。この記事では、婦人科医の立場から、ブライダルチェックの基本情報から実践的な内容まで、皆さんの疑問にお答えします。


ブライダルチェックとは?

ブライダルチェックとは、主に将来の妊娠・出産に備えた健康チェックや、お互いの性感染症の有無を確認することを目的とした検査のことです。

チェック表


ブライダルチェックの目的

ブライダルチェックの第一の目的は、将来の妊娠・出産に影響を与える可能性のある健康上の問題を早期に発見することです。女性の場合は子宮や卵巣の状態、ホルモンバランスなどを、男性の場合は精子の状態などを調べます。早期発見により、必要な対策を講じることができ、将来の妊娠計画にも役立ちます。


男女で受けるメリットとは?

ブライダルチェックをカップルで受けることには大きなメリットがあります。お互いの健康状態を知ることで、将来の妊娠・出産への不安を軽減できるだけでなく、性感染症の有無も確認できるため、安心して新婚生活をスタートすることができます。また、何か問題が見つかった場合も、結婚前であれば心の準備や対策を十分に考える時間を持つことができます。


ブライダルチェックの理想的なタイミング

ブライダルチェックを受ける理想的なタイミングは、結婚の3〜6ヶ月前と言われています。なぜなら、万が一何か問題が見つかった場合に、追加検査や治療のための時間を確保できるからです。ただ、ブライダルチェックは結婚の有無や予定に関わらず、いつでも誰でも受けることができます。受けたいと思ったら、なるべく早めの受診が推奨されます。


ブライダルチェックの主な検査項目は?

ブライダルチェックでは、男女それぞれに必要な検査項目があります。基本的な健康チェックから妊娠・出産に関わる専門的な検査まで、様々な項目が含まれています。


女性の検査項目について

女性のブライダルチェックでは、まず基本的な婦人科検診として内診や超音波検査が行われます。これにより子宮や卵巣の状態を確認します。次に血液検査で風疹抗体検査や性感染症の有無を調べます。風疹は妊娠中に感染すると胎児に先天異常を引き起こす可能性があるため、抗体の有無は重要なチェックポイントです。

また、ホルモン検査では卵巣機能を評価するためにFSH、LH、エストラジオールなどのホルモン値を測定します。これにより排卵の状態や早発閉経のリスクなどを知ることができます。子宮頸がん検診やクラミジア・淋菌などの性感染症検査も含まれることが多いです。


男性の検査項目について

男性のブライダルチェックでは、主に精液検査と性感染症検査が中心となります。精液検査では精子の数や運動率、形態などを調べ、妊娠のしやすさに関わる情報を得ることができます。また血液検査では、梅毒・HIV・B型肝炎などの性感染症の有無を確認します。

さらに、泌尿器科的な基本検査として尿検査や超音波検査が行われることもあります。これらの検査により、前立腺や精巣の状態を確認し、将来の妊娠・出産に影響する可能性のある問題を早期に発見することができます。


オプション検査について

基本的な検査項目以外にも、様々なオプション検査があります。例えば、遺伝子検査では特定の遺伝性疾患のキャリア(保因者)かどうかを調べることができます。これは家族歴に特定の疾患がある場合や、特定の民族背景を持つ場合に特に重要となることがあります。

また、抗ミューラー管ホルモン(AMH)検査は女性の卵巣予備能(残された卵子の数の目安)を知るための検査で、将来の妊娠計画を立てる際に参考になります。こうしたオプション検査は、医師との相談の上で、必要に応じて追加することができます。

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ブライダルチェックの受診場所と選び方

ブライダルチェックはどこで受けられるのか、またどのような基準で医療機関を選べばよいのかについて解説します。


ブライダルチェックが受けられる病院はどこ?

ブライダルチェックは主に婦人科クリニック、産婦人科病院、不妊治療専門クリニック、総合病院の産婦人科などで受けることができます。最近では「ブライダルチェック」として専門のパッケージを用意している病院も増えています。女性は婦人科、男性は泌尿器科や男性不妊外来で検査を受けるのが一般的ですが、カップルで同時に受けられるクリニックもあります。

また、一部の人間ドックセンターや検診センターでもブライダルチェックのコースを設けているところがあります。これらの施設では一度に多くの検査を効率よく受けられるメリットがあります。


病院選びのポイント

病院を選ぶ際のポイントとしては、まず男女ともに受診できるかどうかを確認しましょう。別々の病院で受けるよりも、同じ施設で受けられれば時間的にも効率的です。また、検査項目が充実しているか、オプション検査の種類が豊富かといった点も重要です。

さらに、医師の専門性や経験も選択基準の一つです。特に不妊治療や生殖医療に詳しい医師がいる医療機関であれば、検査結果の解釈や今後のアドバイスも的確に受けられるでしょう。口コミや評判、通院のしやすさなども考慮して選ぶとよいでしょう。


予約方法と事前準備

ブライダルチェックを受ける際は、まず電話やインターネットで予約を取ります。その際、「ブライダルチェックを希望している」と伝えると、適切な案内を受けられます。予約時には、生理周期を確認されることがあるので、直近の生理開始日を把握しておくとよいでしょう。

予約前に確認しておくべきこととして、検査内容と費用、必要な時間、パートナーも同時に受診できるかどうか、などがあります。また、保険証や診察券(再診の場合)、現金やクレジットカードなどの支払い手段も忘れずに準備しましょう。女性の場合は生理中を避けて予約するのが一般的です。


ブライダルチェックの費用

ブライダルチェックにかかる費用や保険適用の有無は、多くの方が気になるポイントです。ここでは具体的な費用相場や支払い方法について解説します。


一般的な費用相場

ブライダルチェックの費用は医療機関や検査項目によって大きく異なりますが、一般的な相場としては、女性が10,000円〜30,000円、男性が5,000円〜20,000円程度です。基本的な項目だけであれば比較的リーズナブルですが、オプション検査を追加すると費用は上がります。

特に詳細な検査を希望する場合や、不妊治療専門クリニックのプレミアムコースなどを選ぶと、カップルで合計50,000円〜100,000円程度かかることもあります。また、地域や医療機関の規模によっても費用は変動しますので、事前に確認することをおすすめします。


保険適用の可否について

ブライダルチェックは一般的に「健康診断」に分類されるため、基本的には自費(保険適用外)となります。ただし、検査の結果、何らかの疾患が疑われて治療や追加検査が必要になった場合は、その部分については保険適用となることがあります。

例えば、最初のブライダルチェックで子宮筋腫が見つかり、さらに詳しい検査や治療が必要になった場合、その後の診療は保険適用になる可能性が高いです。保険適用の詳細については、受診する医療機関に直接確認するのが確実です。


費用を抑えるための方法

費用を抑えるためには、まず複数の医療機関の料金プランを比較することが大切です。同じ検査内容でも医療機関によって費用が異なることがあります。また、カップルで同時に受診できる医療機関を選ぶと、セット割引が適用される場合もあります。

さらに、自治体によっては婚前検診や特定の検査項目(子宮頸がん検診など)に対する助成制度を設けていることがあります。お住まいの自治体の保健センターや市区町村窓口で確認してみましょう。また、不要なオプション検査は避け、本当に必要な検査に絞ることも費用削減につながります。

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ブライダルチェックの流れと検査当日の注意点

ブライダルチェックを受ける際の一般的な流れと、検査当日に気をつけるべきポイントについて解説します。

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検査前の準備と注意事項

検査前の準備としては、女性の場合は生理中を避けて予約することが重要です。多くの婦人科検査は生理中には実施できないか、結果に影響が出ることがあります。また、ホルモン検査を正確に行うためには、生理開始から3〜5日目や、排卵期など適切な時期に受ける必要がある場合もあります。

男性の場合、精液検査があるときは、検査前に2〜5日間の禁欲期間が必要なことがあります。医療機関から指示があった場合は、それに従いましょう。また、検査前日は激しい運動や飲酒、睡眠不足を避け、体調を整えておくことも大切です。


検査当日の流れ

検査当日は、まず受付で問診票の記入や保険証の提示を行います。その後、女性は婦人科医による診察(内診や超音波検査など)、男性は泌尿器科医による診察が行われます。基本的な診察の後、血液検査や尿検査などが実施されます。

検査全体にかかる時間は医療機関や検査項目によって異なりますが、一般的には1〜2時間程度です。ただし、精液検査がある場合は、検査室で採取するためのプライバシーが確保された部屋が用意されていることが多いです。すべての検査が終わると、結果が出るまでの期間や次回の予約について説明があります。


検査結果が出たらどうする?

検査結果は通常、1週間〜2週間程度で出ます。医療機関によっては郵送で結果を送ってくれるところもありますが、多くの場合は再来院して医師から直接説明を受けます。この時、検査結果の意味や今後必要な対応についても詳しく説明してもらえます。

結果を受け取る際は、分からないことや不安なことは遠慮せずに医師に質問することが大切です。また、何らかの異常が見つかった場合でも、多くは治療や生活習慣の改善で対応可能です。医師のアドバイスに従い、必要であれば追加検査や治療を受けましょう。


検査結果の活用方法と今後の対策

ブライダルチェックの結果をどのように活用し、何か問題があった場合にどう対応すべきかについて解説します。


正常結果だった場合

検査結果に異常がなかった場合でも、定期的な健康チェックを続けることが重要です。特に女性は子宮頸がん検診と乳がん検診を2年に1回受けることが推奨されています。また、男性も定期的な健康診断を受けることで、将来的な健康リスクを早期に発見できます。

正常結果だったからといって安心しきるのではなく、結婚後も健康管理を継続することが、長期的な健康維持と将来の妊娠・出産に向けた準備につながります。特に年齢とともに健康状態は変化するため、定期的なチェックが欠かせません。


要精密検査や治療が必要な場合

検査の結果、何らかの異常や問題が見つかった場合は、医師の指示に従って追加検査や治療を受けることが大切です。例えば、子宮筋腫や子宮内膜症が見つかった女性は、その程度によって手術が必要になる場合もありますが、多くは経過観察や薬物療法で対応可能です。

男性の場合、精子の状態に問題があれば、生活習慣の改善や薬物療法が提案されることがあります。性感染症が発見された場合は、パートナーも含めた適切な治療が必要です。いずれの場合も、早期発見・早期治療が重要なので、医師のアドバイスを真摯に受け止めましょう。


将来の妊娠に向けた結果の活用法

ブライダルチェックの結果は、将来の妊娠計画を立てる上での貴重な情報となります。例えば、女性のAMH値(卵巣予備能の指標)が低めだった場合、比較的早い時期に妊娠を計画したほうがよいというアドバイスを受けるかもしれません。

また、ライフスタイルの改善点が指摘されることもあります。喫煙、過度の飲酒、肥満、過度のストレスなどは妊孕性(妊娠のしやすさ)に影響するため、医師から具体的な改善策を提案されたら、カップルで協力して取り組むことが大切です。検査結果を単なる「良い・悪い」の判定だけでなく、将来の健康と妊娠のための具体的なアクションプランとして活用しましょう。


ブライダルチェックに関するよくある質問と回答

ブライダルチェックについて、多くのカップルが共通して抱く疑問にお答えします。検査を受ける前に知っておくと安心できる情報をまとめました。


Q.生理周期のタイミングで検査結果に影響はありますか?

A.はい、特にホルモン検査や内診系の検査では生理周期によって結果が変動することがあります。エストロゲンやプロゲステロンなどの性ホルモンは周期によって大きく変動するため、正確な評価には適切な時期での検査が重要です。例えば、FSHやLHなどの排卵に関わるホルモン検査は月経開始から3〜5日目に行うことが多いです。

また、子宮内膜の状態も周期によって変化するため、超音波検査の結果解釈にも影響します。ただし、血液型検査や感染症検査など多くの項目は生理周期に関係なく受けられますので、医師の指示に従って適切な時期に検査を受けましょう。


Q.ブライダルチェックの結果はいつまで有効ですか?定期的に受けるべきですか?

A.ブライダルチェックの結果は一般的に1年程度有効と考えられていますが、検査項目によって異なります。例えば、性感染症検査は検査後の新たな感染リスクがあるため、一度陰性でも永続的な安心は保証されません。

また、子宮筋腫や卵巣嚢腫などは時間経過とともに変化する可能性があります。年齢が上がるにつれて健康状態も変化するため、特に35歳以上の女性や、何らかのリスク因子がある場合は、1年ごとの再検査がおすすめです。また、妊娠を希望するタイミングが当初の予定から大きくずれる場合も、改めて検査を受けることで最新の健康状態を把握できます。


Q.検査当日の服装や持参すべきものはありますか?

A.検査当日は内診や採血があることを考慮して、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。特にワンピースよりもセパレートタイプの服装の方が便利です。下着は清潔なものを着用し、女性の場合はスカートだと内診時に着替えの手間が省けることもあります。持参すべきものとしては、保険証、身分証明書、診察券(再診の場合)、支払い用の現金またはクレジットカードが基本です。

また、女性は直近の生理開始日や生理周期がわかるメモや手帳、基礎体温表をつけている場合はそれも持参すると医師の診察に役立ちます。予約時に医療機関から特別な指示があった場合は、それに従いましょう。


二人の未来のためにブライダルチェックを活用しよう

ブライダルチェックは、結婚前に将来の妊娠・出産に向けた健康状態を確認する大切な機会です。このチェックを通じて、自分自身の健康状態を知り、パートナーとともに将来の計画を立てる基礎情報を得ることができます。

検査は主に婦人科クリニックや不妊治療専門クリニックで受けることができ、費用は男女合わせて15,000円〜50,000円程度が一般的です。ただし、オプション検査を追加すると費用は増加します。検査の時期としては結婚の3〜6ヶ月前が理想的で、女性は生理周期を考慮した予約が必要です。

検査結果は単なる「異常の有無」を知るだけでなく、将来の妊娠計画や健康管理に活かすことが重要です。何か問題が見つかった場合でも早期発見できることで、適切な対応が可能になります。将来の健やかな結婚生活と家族計画のために、ブライダルチェックを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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