公開日 2026/02/23

【医師解説】短頭症や長頭症などの赤ちゃんの頭のゆがみの種類と見分け方について

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この記事の監修者

日本大学医学部小児科 准教授

長野 伸彦 先生

日本大学医学部小児科学系小児科学分野入局。日本大学医学部附属板橋病院、駿河台日本大学病院にて後期臨床研修、都立墨東病院、国立甲府病院、埼玉医科大学総合医療センターなどを経て、現在、日本大学医学部附属板橋病院にて勤務。

<資格>
医学博士。日本小児科学会専門医、指導医。日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医、指導医。臨床研修指導医。
日本大学医学部医学科卒。
日本大学医学部附属板橋病院にて初期臨床研修。

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赤ちゃんの頭のゆがみの種類と特徴

赤ちゃんの頭のゆがみには様々な種類がありますが、ゆがみの形に応じて大きく3つに分けられます。

「斜頭症」「短頭症(絶壁)」「長頭症」です。それぞれ次のような特徴があります。

斜頭症

後頭部の片側の成長が抑えられることで、後頭部の頭の形が左右非対称になる状態をいいます。

斜頭症

短頭症(絶壁)

後頭部の成長が抑えられることで、頭の形が左右方向に広がった状態をいいます。

短頭症

長頭症

頭の左右方向への成長が抑えられることで、頭の形が前後方向に伸びた状態をいいます。

長頭症

これらのゆがみは、生後3か月未満までに発生するケースが多いです。

ゆがみが軽度のものであれば、成長とともに自然と改善されることもありますが、ゆがみが重度の場合は、自然に改善しづらいといわれています。

頭の形測定会

参考:

斜頭症の原因と重症度の分類

まだ自分で動くことができない生後3か月未満の時期に、同じ方向を向いて寝ることで、後頭部の片側に圧力がかかってしまうことが、主な原因になります。

その他、過去に関連が指摘されている原因の一部をご紹介します。

・胎内での向き癖:
多胎妊娠など子宮内のスペースが限られている場合に、妊娠中の赤ちゃんの向き が頭の形に影響を与えることがあります。

・斜頚:
首の筋肉の緊張が原因で、赤ちゃんが右か左ばかり向くようになることがあります。ごく稀に、骨の病気である頭蓋骨縫合早期癒合症が原因といった場合もあります。

また、斜頭は以下に分類することができます。

タイプ1:片側の後頭部が平らになる

タイプ2:平らになった側の耳の位置が前方にずれる

タイプ3:平らになった側の前頭部が前方に突出し、前頭部が左右非対称になる

タイプ4:平らになった側の顔の頬骨が前方に突出する

タイプ5:後頭部が垂直になり、左右方向に頭が拡大

斜頭症重症度
斜頭症重症度

参考:

短頭症(絶壁)の原因と重症度の分類

A.まだ自分で動くことができない生後3か月未満の時期に、仰向け寝の時間が長い赤ちゃんによく見られます。長時間ベビーシートやベビーカーで座らせたままにしていると、後頭部に圧力がかかって短頭症になる可能性があります。「絶壁」やいわゆる「ハチ張り」といわれる頭も短頭症の場合があります。

斜頭症と同様に、ごく稀に、骨の病気である頭蓋骨縫合早期癒合症が原因といった場合もあります。

また、短頭は以下に分類することができます。

タイプ1:後頭部中心部が平らになる

タイプ2:後頭部の平らな部分が左右に拡大

タイプ3:後頭部の平らな部分が頭頂方向に拡大、左右方向にもさらに拡大

短頭症重症度
短頭症重症度

参考:

長頭症の原因と注意点

A.短頭症が進行すると、上記のタイプ2やタイプ3のように後頭部が左右方向に拡大します。

頭頂から頭のかたちをみると、台形や三角形のような形にみえるため、後頭部の角の部分を指して、ハチが張っていると言われることがあります。

Q.赤ちゃんの頭が長く見えます。長頭症の原因を教えてください。

まだ自分で動くことができない生後3か月未満の時期に、真横に寝ることが多い赤ちゃんは長頭傾向になります。

長頭症の場合、頭蓋骨縫合早期癒合症の一種である、矢状縫合早期癒合症に現れる頭のかたちに似ているため注意が必要です。

また、早産児(在胎37週未満)は正期産児と比較して、時間経過と共に改善していきますが、長頭傾向であることが知られています。

参考:

頭のゆがみが気になる場合の対処法

生後3か月くらいまでであれば、タミータイムや体位変換を積極的に行っていくことでゆがみが改善することがあります。しかし、生後3か月以降も重度のゆがみがある場合は、ヘルメット治療も選択肢の一つとして、考えていく必要があります。

頭のゆがみが気になる場合は、頭のかたち外来を設置している医療機関に相談することをおすすめします。頭のかたち外来では、頭のゆがみの原因を特定します。必要に応じて、レントゲンやCT検査、エコー検査を実施することもあります。

その後、赤ちゃんの月齢や症状に合わせて、理学療法やヘルメット療法などの治療法が提案されます。治療の期間は、症状の程度によって異なりますが、早期に治療を開始した方が効果的とされています。

医師に聞く、診療現場で起きていること

頭のゆがみの種類や見分け方を理解した上で、実際の診療現場ではどのように判断され、どのタイミングで相談すべきなのでしょうか。

現場で診療を行っている医師の視点から、診療の実際と相談のポイントについてご紹介します。

診療現場での評価と判断

診療現場では、赤ちゃんの頭のゆがみを評価する際、まず視診によって斜頭症、短頭症、長頭症などのタイプを見分け、その後ノギスや3D撮影装置を用いて客観的な測定を行います。

数値化することで、軽度・中等度・重度といった重症度を正確に把握し、それぞれのお子さんに適した対応を検討します。

診療では「治療ありき」という考え方ではなく、まず現在の状態を正確に評価することから始めます。

軽度から中等度のケースでは体位変換やタミータイムの指導を行い、経過を観察することが多くあります。

重度のゆがみが確認された場合や、月齢が進んでいる場合には、ご家族と相談しながらヘルメット治療などの選択肢についてもご説明しています。

重要なのは、それぞれのお子さんの状態や月齢、ご家族の希望を総合的に考慮して、最善の方針を一緒に決めていくことです。

「ご来院されたらまず、視診にて『ここが気になるなんですね』と簡易に重症度の評価を行った上で、3Dカメラでの撮影を実施します。3Dカメラによる結果は、当日中にお示しします。具体的な数値をもとにした重症評価をもとに、受診された時点での月齢なども考慮して方向性を決めていきます。」(森岡 一朗先生 板橋セントラルクリニック)

推奨される相談のタイミング

診療現場では、近年、頭の形に関する相談が大幅に増えており、早期に受診されるケースが多くなっています。

以前は生後6〜7か月での受診が中心でしたが、最近では生後3〜4か月の段階で相談にいらっしゃる方が増えています。

推奨される相談タイミングは生後3〜4か月頃です。研究データによると、この時期は頭の形の変形がピークにあたり、適切な評価と対処を行うことで改善の可能性が高まります。

ただし、ご家族が心配されている場合は、早期でも気軽に受診していただいて構いません。

軽症の方でも相談窓口として活用していただくことで、予防指導や早期発見につながります。

月齢

相談のポイント

診療現場での対応

生後1〜2か月

向き癖や寝る姿勢が気になる

体位変換・タミータイムの指導で予防

生後3〜4か月

頭の形の変形がピークの時期

評価・診察、必要に応じて治療方針を検討

生後6か月以降

自然改善傾向も見られる時期

重症度に応じて経過観察または治療を提案

「ここ4〜5年で相談は非常に増えています。集団健診に出向く際、保護者の質問欄に『頭の形』という相談が増えていることを実感しています。2020年に外来を立ち上げた当初、受診する患者さんの月齢は6〜7か月が多かったのですが、近年は3~4か月の段階で紹介されるケースが増えています。」(長野 伸彦先生 日本大学医学部附属板橋病院)

診療の具体的な流れ

赤ちゃんの頭の形に関する診療は、小児科、形成外科、脳神経外科などの「頭の形外来」や「頭蓋変形外来」で受けることができます。多くの医療機関では予約制となっており、専門的な評価と丁寧な説明を受けることができます。

初診時の診療は以下のような流れで進みます。

1)問診・視診

いつ頃から気になり始めたか、寝る姿勢の癖などを詳しくお伺いします。

視診で斜頭症、短頭症、長頭症などのタイプを確認し、頭蓋骨縫合早期癒合症などの疾患の可能性もチェックします。

2)測定・撮影

ノギスや3D撮影装置を使用して頭の形状を客観的に測定します。

多くの医療機関では当日中に結果をお伝えし、数値データをもとに重症度を説明します。

3)結果説明・相談

測定結果と月齢、赤ちゃんの成長具合を総合的に判断し、体位変換による経過観察やヘルメット治療など、適切な対応方法についてご説明します。

治療方針は急いで決める必要はなく、ご家族でじっくり検討していただけます。

診療では、結果だけでなく、診療の過程についても丁寧に説明することを心がけています。

軽症の方でも気軽に相談していただくことで、隠れた病気の早期発見や適切な予防指導につながることがあります。

「もちろん、軽症の方も気軽に来ていただければと思っています。小児科医が頭蓋変形外来を行う意味はそこにあります。発達に関する相談を受けることもありますし、軽症の患者さんであっても隠れた病気に気づけることがあります。そのため、軽症でも相談していただくのは大いに意味があると思います。」(長野 伸彦先生 日本大学医学部附属板橋病院)

頭のゆがみが気になったら、まずは相談を

赤ちゃんの頭の形について少しでも気になることがあれば、まずは専門の医療機関に相談してみることをおすすめします。

斜頭症、短頭症、長頭症といったゆがみのタイプを正しく見分け、現在の重症度を客観的に知ることで、適切な対処方法を選択することができます。

軽症であっても、重症であっても、まずは現在の状態を正確に把握することが大切です。

早期に相談することで、体位変換などの簡単な予防法で改善できる可能性も高まります。後悔が残らない選択をするために、専門医に相談して適切なアドバイスを受けましょう。

よくあるご質問(Q&A)

Q. 赤ちゃんの頭のゆがみにはどんな種類がありますか?

A. 大きく3つに分けられます。「斜頭症」(後頭部が左右非対称)、「短頭症」(後頭部が平らで左右に広がる、いわゆる絶壁)、「長頭症」(頭が前後に長い形)です。これらは生後3か月未満に発生するケースが多いです。

Q. 斜頭症の原因は何ですか?

A. 生後3か月未満に同じ方向を向いて寝ることで、後頭部の片側に圧力がかかることが主な原因です。その他、胎内での向き癖や斜頚(首の筋肉の緊張)が関係することもあります。

Q. 短頭症(絶壁)の原因は何ですか?

A. 仰向け寝の時間が長いことが主な原因です。長時間ベビーシートやベビーカーで座らせたままにしていると、後頭部に圧力がかかり短頭症になる可能性があります。

Q. 短頭症とハチ張りはどういう関係がありますか?

A. 短頭症が進行すると後頭部が左右方向に拡大し、頭頂から見ると台形や三角形のような形になります。この後頭部の角の部分が「ハチ張り」と呼ばれる状態です。

Q. 長頭症の原因は何ですか?

A. 生後3か月未満に真横に寝ることが多い場合に起こりやすいです。早産児は正期産児と比較して長頭傾向があることも知られています。頭蓋骨縫合早期癒合症との区別が必要な場合があります。

Q. 頭のゆがみが気になる場合はどうすればいいですか?

A. 生後3か月くらいまでならタミータイムや体位変換で改善することがあります。生後3か月以降も重度のゆがみがある場合は、頭のかたち外来がある医療機関への相談をおすすめします。