公開日 2025/05/29
【医師解説】妊娠7ヶ月(24〜27週)|お腹が大きくなる時期!後期つわりと過ごし方ガイド

目次

久保田産婦人科病院
西野 枝里菜 先生
妊娠7ヶ月に入ると、お腹がぐっと目立つようになり、赤ちゃんの胎動も活発に感じられるようになります。妊娠中期の最後にあたるこの時期は、赤ちゃんの成長が著しく、ママの体にもさまざまな変化が訪れます。子宮の拡大により内臓が圧迫され、新たな不快症状が現れることもありますが、出産に向けての準備も本格的に始まる大切な時期です。この記事では、妊娠24週から27週までの赤ちゃんの発育状況やママの体の変化、快適に過ごすためのアドバイスについて詳しくご紹介します。
妊娠7ヶ月目【妊娠24〜27週】の赤ちゃんはどんな成長をする?
妊娠7ヶ月(24週~27週)は、赤ちゃんの成長が目覚ましい時期です。五感の発達が進み、外の世界と徐々につながりを持ち始めます。この時期の週ごとの変化を詳しく見ていきましょう。
妊娠24週の赤ちゃんの様子
妊娠24週の赤ちゃんは、体重が約460g~860g程度、身長は約30cmほどに成長しています。この時期の赤ちゃんは、自由に体の向きを変えることができるので、頭が下を向いたり(頭位)、お尻が下を向いたり(骨盤位)と、様々な姿勢をとります。
目の発達も進み、まぶたが完成してパチパチと瞬きができるようになります。また、羊水の中を活発に動き回り、ママはその動きをはっきりと感じられるようになるでしょう。
肺の発達も進んでいますが、この時期に生まれてしまうと、まだ肺が未熟なため呼吸が難しく、医療的なサポートが必要になります。
妊娠25週の赤ちゃんの様子
妊娠25週になると、赤ちゃんの体重は約550g~1,000g程度になります。この時期の大きな特徴は、聴覚の発達がほぼ完成に近づくことです。赤ちゃんはママの声のリズムや抑揚のパターンを記憶し始めます。
赤ちゃんは特に高音の音が聞き取りやすいようで、ママやパパの声かけに反応することも増えてきます。この時期から積極的に話しかけることで、生まれた後の赤ちゃんとの絆づくりにもつながります。
また、眼球の活動が始まり、薄暗い羊水の中でものを見る能力も発達し始めます。さらに鼻の穴が開き、羊水を吸ったり吐いたりする「呼吸様運動」を始めることで、生まれた後の呼吸に備えるトレーニングを始めています。
妊娠26週の赤ちゃんの様子
妊娠26週の赤ちゃんは、体重が約640g~1,150g程度に増加します。この時期は味覚と嗅覚が発達し、羊水の味を感じ取れるようになります。研究によると、赤ちゃんはすでに甘味と苦味の区別ができ、甘いものを好み、苦いものを避ける傾向があります。
脳の発達も著しく進み、耳や目からの情報を処理できるようになります。また、全身の動きをコントロールする能力も高まり、指しゃぶりなどの複雑な動作ができるようになります。
皮膚の下には脂肪がつき始め、赤ちゃんらしいふっくらとした見た目になってきます。この脂肪は体温調節や生まれた後のエネルギー源として重要な役割を果たします。
妊娠27週の赤ちゃんの様子
妊娠27週の赤ちゃんは、体重が約740g~1,300g(平均約1000g)、身長が約35cm、頭の幅が約7cmになります。視覚がさらに発達し、明るさと暗さの区別ができるようになります。
顔のパーツがほぼ完成し、まつ毛や眉毛、頭髪も生え始めるため、赤ちゃんらしい外見になってきます。また、睡眠と覚醒のリズムが形成され、20分程度の間隔で眠ったり起きたりを繰り返すようになります。
この時期は、もし早産になった場合でも医療技術の進歩により約95%の赤ちゃんが生存できるようになっていますが、やはり正期産まで子宮内で過ごすことが最も安全です。
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妊娠7ヶ月のママにきる症状は?|お腹の張り・腰痛・むくみの原因と対処法
妊娠7ヶ月に入ると、お腹が目立つようになり、体型の変化に伴いさまざまな身体的不調が現れることがあります。この時期のママの体の変化と症状について詳しく見ていきましょう。

妊娠7ヶ月目のおなかと体型の変化
妊娠7ヶ月になると、子宮底長(恥骨結合上縁から子宮底までの距離)は22~26cmほどになり、おへその上まで達します。お腹が前方に突き出し、重心が変わるため姿勢がそり気味になりやすくなります。
増大したお腹のために足元が見えにくくなり、バランスを崩しやすくなるので、階段の上り下りや歩行の際には注意が必要です。また、妊娠による体重増加の目安は、この時期までに4~6kg程度が理想とされています。
乳房も引き続き大きくなり、乳首や乳輪の色が濃くなる変化も続きます。出産後の授乳に備えて、乳腺が発達しているためです。
子宮が大きくなることで起こる圧迫症状
拡大した子宮が内臓を圧迫することで、様々な不快症状が現れます。特に胃が圧迫されるため、一度に食べられる量が減少し、少量でも満腹感を覚えるようになります。
また、腸が圧迫されることで便秘になりやすくなり、これに伴って痔になる方も多くいます。便秘対策としては、水分摂取や食物繊維の多い食品の摂取が大切です。
さらに膀胱も圧迫されるため、トイレの回数が増えることも。就寝中にも何度もトイレに起きることがあり、睡眠の質に影響することもあります。
睡眠にまつわる症状
妊娠7ヶ月になると、大きくなったお腹のためにうつぶせやあお向けの姿勢で寝ることが難しくなります。特にあお向け(仰臥位)で寝ると、子宮が下大静脈を圧迫して血流が悪くなる「仰臥位低血圧症候群」が起こることがあります。
また、この時期はママの心拍数がピークになることが多く、動悸を感じて眠りにくくなることもあります。胎動も活発になり、赤ちゃんの動きで目が覚めることも増えるでしょう。
快適な睡眠のためには、左側を下にした横向き(シムスの体位)で寝ることがおすすめです。お腹やひざの下にクッションを挟むと、さらに楽な姿勢で眠れます。
腰痛や下半身のしびれの症状
お腹の重みによる姿勢の変化から、腰への負担が増し、腰痛を感じる方が多くなります。特にお尻や背中の下部、太ももにかけて痛みやしびれを感じる「坐骨神経痛」の症状が現れることもあります。
これは妊娠によって分泌されるリラキシンというホルモンの影響で、骨盤周りの関節やじん帯が緩むことも原因の一つです。骨盤ベルトを使用したり、正しい姿勢を心がけることで症状が軽減することがあります。
無理な姿勢や長時間の同じ姿勢は避け、こまめに休憩を取りながら過ごすことが大切です。症状がひどい場合は医師に相談しましょう。
不規則な子宮痛みや収縮やおなかの張り
妊娠7ヶ月頃から、下腹部が突然硬くなり、軽い痛みを感じることがあります。これは本格的な陣痛の前に起こる子宮の練習収縮です。
この収縮は不規則で、姿勢を変えたり歩いたりすると和らぐことが多いのが特徴です。一方、本物の陣痛は規則的に来て、徐々に間隔が短くなり強くなっていきます。
心配な場合や、収縮が規則的になる、出血を伴う、強い痛みがあるなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
むくみや足の静脈瘤
妊娠中は血液量が増加し、子宮による圧迫で下半身の血液循環が悪くなることがあります。その結果、足にむくみが生じやすくなります。特に夕方になるとむくみが目立つことが多いです。
また、静脈の壁が弱くなることで、足に静脈瘤ができやすくなります。これは青紫色に浮き出た血管として見え、痛みを伴うこともあります。
むくみ対策としては、長時間同じ姿勢を避ける、足を少し高くして休む、軽いマッサージを行うなどが効果的です。ただし、急激なむくみや血圧上昇を伴う場合は、妊娠高血圧症候群の可能性もあるため注意が必要です。
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妊娠7ヶ月を健康に過ごすためのポイント|体重管理と食事のコツ
妊娠7ヶ月は体の変化が著しく、不快な症状も増えてくる時期です。しかし、適切なケアと生活習慣の工夫で、より快適に過ごすことができます。この時期を元気に乗り切るためのポイントをご紹介します。
妊娠中期から後期に移行するこの時期は、出産に向けた体力づくりと心の準備を始める大切な時間です。無理をせず、赤ちゃんとの新しい生活に備えましょう。

適切な体重管理で健康管理を
妊娠中の適切な体重増加は、ママと赤ちゃんの健康を守るために重要です。妊娠前のBMIが標準(18.5~25未満)の場合、妊娠全期間を通じての理想的な体重増加は10〜13 7~12kg程度とされています。
突然の急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを高める可能性があります。また、出産時のトラブルや産後の肥満にもつながりやすいため注意が必要です。
「食べたら動く」を基本として、適度な運動と栄養バランスの良い食事を心がけましょう。健診ごとに体重をチェックし、増加ペースが速すぎる場合は医師に相談してください。
バランスの良い食事は赤ちゃんの発育にも重要
妊娠7ヶ月は、妊娠前より1日あたり約50kcal多くのエネルギーが必要とされています。しかし、子宮が胃を圧迫するため一度に食べられる量が減少するので、少量ずつ回数を分けて食べるとよいでしょう。
タンパク質は赤ちゃんの発育に不可欠です。肉、魚、卵、大豆製品などから積極的に摂取しましょう。カルシウムも骨や歯の形成に重要なので、乳製品や小魚、緑黄色野菜から十分に取りましょう。
鉄分は妊娠後期に特に必要量が増えます。レバーや赤身肉、ほうれん草などから摂取し、ビタミンCと一緒に取ると吸収率が上がります。サプリメントについては、医師と相談した上で適切に利用しましょう。
適度な運動によってむくみや便秘を改善
妊娠7ヶ月でも、医師から制限がない限り適度な運動を続けることが推奨されています。適切な運動は血行を促進し、むくみの軽減や便秘の改善、気分転換にもなります。
おすすめの運動としては、マタニティヨガやピラティス、水中ウォーキングなどがあります。また、日常生活の中での早足ウォーキングも効果的です。ただし、お腹が大きくなってバランスを崩しやすくなるため、転倒に注意しましょう。
運動中は水分補給をこまめにし、疲れを感じたらすぐに休憩を取ることが大切です。腹部の張りや痛み、めまい、息切れなど異常を感じた場合はすぐに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
快適な睡眠を取るためのポイント
妊娠7ヶ月は良質な睡眠を取ることが難しくなる時期です。左側を下にした横向き(シムスの体位)で寝ることで、子宮による大静脈の圧迫を避け、赤ちゃんへの血流も確保できます。
妊婦用の抱き枕やクッションを使うと、お腹やひざ、腰をサポートできて快適に眠れることが多いです。就寝前のリラックスタイムを設け、温かいミルクを飲んだり、軽いストレッチをしたりするのも効果的です。
寝室は適切な温度と湿度を保ち、静かな環境を整えましょう。また、夕方以降のカフェインやスマートフォンの使用は控えめにすると、入眠しやすくなります。
一度できると消えにくい妊娠線の予防
妊娠7ヶ月はお腹が急速に大きくなる時期で、皮膚が引き伸ばされることにより妊娠線ができやすくなります。妊娠線は一度できると完全には消えにくいため、予防が大切です。
保湿効果の高いクリームやオイルをお腹、太もも、お尻、胸などに定期的に塗ることで、皮膚の弾力性を保ち、妊娠線を予防する効果が期待できます。1日2回以上、入浴後などに塗るとより効果的です。
また、急激な体重増加は妊娠線のリスクを高めるため、適切な体重管理も重要です。水分をしっかり摂り、皮膚の内側から潤いを保ちましょう。
妊娠7ヶ月からの出産準備|入院バッグに入れるものリストも
妊娠7ヶ月は、出産に向けた準備を本格的に始める時期です。身体的な準備だけでなく、精神的な準備や環境整備も大切です。この時期に取り組んでおくといいことをご紹介します。
少しずつ計画的に準備を進めていくことで、出産直前の慌ただしさを軽減できます。無理のないペースで、赤ちゃんを迎える準備を整えていきましょう。
定期的な妊婦健診
妊娠24週から35週までは、おおよそ2週間に1回の間隔で健診があります。この時期は切迫早産のリスクが高まるため、子宮頸管長の測定や子宮収縮の有無などをチェックします。
また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクも高まる時期なので、血圧測定や尿検査、血糖検査なども重要です。医師からの注意事項や生活指導をしっかりと聞き、日常生活に取り入れましょう。
体調の変化や気になる症状があれば、健診の際に必ず相談してください。些細なことでも医師に伝えることで、早期に対応できることがあります。
マタニティクラスへの参加
多くの病院や自治体では、出産準備教室やマタニティクラスを開催しています。これらのクラスでは、出産の流れや呼吸法、産後の赤ちゃんのケアなど、出産・育児に関する基本的な知識を学ぶことができます。
パートナーと一緒に参加できるコースもあり、夫婦で協力して出産・育児に臨む心構えを作ることができます。また、同じ時期に出産を控えた仲間と知り合う機会にもなります。
今はオンラインでのクラスも増えていますので、外出が難しい場合でも参加できる形式を探してみるとよいでしょう。
出産・入院の準備
出産時に病院へ持っていく入院セットの準備を始める時期です。出産予定の病院が指定する入院セットがある場合はそれを購入し、なければ必要なものをリストアップして揃えていきましょう。
基本的には、
- 母子手帳
- 保険証
- 入院中に使う衣類や洗面用具
- 産後の赤ちゃんの衣類
などが必要です。また、緊急時のために、入院セットはいつでも持ち出せるように準備しておくとよいでしょう。
退院後すぐに必要になるベビー用品(ベビーベッド、チャイルドシート、授乳クッションなど)も、この時期に揃えておくと安心です。
仕事と育児の計画
働いているママは、産休・育休の具体的なスケジュールを確認し、会社との調整を進める時期です。産前休業は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。
また、保育園への入所を考えている場合は、自治体の申込時期や必要書類を確認しておきましょう。人気の保育園は競争率が高いこともあるため、早めの情報収集が大切です。
出産後の生活についてパートナーと話し合い、家事や育児の分担について具体的なプランを立てておくことも重要です。サポート体制を整えることで、産後の生活をスムーズに始められます。
Q&A:妊娠7ヶ月のよくある質問と回答
妊娠7ヶ月にもなると、お腹の赤ちゃんやママの体調について、さまざまな疑問や不安が出てくるものです。ここでは、この時期によくある質問とその回答をまとめました。
Q.妊娠7ヶ月でお腹がカチカチに張るのはなぜでしょうか?
A.これは子宮が不規則に収縮する現象で、本格的な陣痛に備えて子宮が練習しているようなものと考えられています。
この収縮は通常、不規則で短時間(30秒~2分程度)続き、姿勢を変えたり、水分を摂ったり、少し休むことで和らぐことが多いです。痛みがなかったり、軽度だったりするのが特徴です。
ただし、収縮が規則的になる(10分間隔など)、強い痛みを伴う、出血がある、破水の兆候があるなどの場合は、早産の可能性もあるため、すぐに医療機関に連絡してください。また、1時間に4回以上の収縮がある場合も医師に相談するべきです。
Q.妊娠7ヶ月の赤ちゃんはどのくらい成長しているのでしょうか?
A.妊娠7ヶ月(24週~27週)の赤ちゃんは、体重が約500g~1300g、身長が約30cm~35cm程度に成長しています。この時期の赤ちゃんは、すでに目を開けることができ、まつげや眉毛、頭髪も生え始めています。
肺の発達も進み、羊水を吸ったり吐いたりする「呼吸様運動」を始めています。また、脳の発達も著しく、指しゃぶりなどの複雑な動作ができるようになっています。
この時期に生まれた場合、医療技術の進歩により生存率は大幅に向上していますが、やはり正期産まで子宮内で過ごすことが最適です。
Q.妊娠7ヶ月の過ごし方で気をつけることはありますか?
A.まず、急な体重増加を避けるため、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。ただし、激しい運動や長時間の立ち仕事は避けるべきです。
体位も重要で、長時間のあお向け(仰臥位)は避け、左側を下にした横向き(シムスの体位)で休むことが推奨されています。また、水分をこまめに摂取し、むくみの予防に努めましょう。
また、お腹の張りや痛み、出血、破水感、胎動の減少など異常を感じたらすぐに医療機関に連絡してください。
妊娠7ヶ月は赤ちゃんとママ、両方にとって大切な成長です
妊娠7ヶ月(24週~27週)は、赤ちゃんの成長が著しく、ママの体にも様々な変化が訪れる重要な時期です。赤ちゃんは五感の発達が進み、外の世界とつながりを持ち始めます。体重も約1kgに達し、人間らしい姿に近づいていきます。
一方、ママは子宮の拡大による様々な不快症状を経験することがあります。内臓の圧迫による消化器症状、腰痛や坐骨神経痛、睡眠の問題などが現れやすくなりますが、適切なケアと生活習慣の工夫で快適に過ごすことができます。
妊娠7ヶ月はまだ安定期ではありますが、体の変化に敏感になり、無理をしないことが大切です。赤ちゃんとの対話を楽しみながら、この特別な時間を大切に過ごしてください。
