公開日 2026/06/25
【医師解説】ヘルメット治療はいつから?ベストな開始タイミングと治療期間の目安

この記事の監修者

日本大学医学部小児科 准教授
長野 伸彦 先生
日本大学医学部小児科学系小児科学分野入局。日本大学医学部附属板橋病院、駿河台日本大学病院にて後期臨床研修、都立墨東病院、国立甲府病院、埼玉医科大学総合医療センターなどを経て、現在、日本大学医学部附属板橋病院にて勤務。
<資格>
医学博士。日本小児科学会専門医、指導医。日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医、指導医。臨床研修指導医。
日本大学医学部医学科卒。
日本大学医学部附属板橋病院にて初期臨床研修。
ヘルメット治療が最も推奨されるのは生後3〜6か月、対象月齢は生後3〜12か月とされています。
とはいえ、「まだ生後2か月だけど検討は早すぎる?」「自然に整うかなと様子を見ているうちに、もう7か月。今からでは遅すぎる?」と、開始時期で気持ちが揺れる方も多いのではないでしょうか。
当記事では、ヘルメット治療のベストな開始タイミングと治療期間の目安について、監修医師にまとめて聞いてみました。
ベストは生後3〜6か月
Q. はじめに、なぜ生後3〜6か月が推奨されるのでしょうか?
A. この時期は赤ちゃんの頭蓋骨がまだ柔らかく、成長スピードも非常に速いためです。
ヘルメット治療は、赤ちゃん自身の頭蓋成長を原動力に形を整えていく方法です。頭の平らな部分には成長を促す空間を作り、すでに丸くなっている部分には成長を待機させる仕組みになっています。
そのため、頭蓋骨が柔らかく成長が速い生後3〜6か月の時期は、効果が出やすいとされています。
Q. 反対に、生後6か月を過ぎるとどう変わるのでしょうか?
A. 生後6か月を過ぎると頭の成長がゆるやかになり、整うペースもゆるやかになる傾向があるとされています [*1]。
これは効果がなくなるという意味ではなく、あくまで成長スピードが変わるため、治療にかかる時間も変わってくる、という話です。
対象は生後3〜12か月
Q. 実際に治療を始められる月齢の範囲は、どこからどこまでですか?
A. 生後3か月以降が始められる目安とされています。なかでも生後6か月までの開始が推奨されています。
Q. うちはまだ生後3か月未満です。何から始めればよいですか?
A. 生後3か月未満の時期は、体位変換やタミータイムなどおうちでできるケアもありますが[*2]、気になる場合は早めに医療機関に相談してみてください 。
月齢が早いうちに医療機関で受診しておくと、今後の選択肢や見通しがわかって安心です。
12か月までなら間に合う
Q. 反対に、もう生後7か月を過ぎています。今からでは遅すぎるのでしょうか?
A. 対象月齢である生後12か月までの範囲なら、一度医療機関で確認する価値があります。
この時期は頭囲の成長が緩やかになるため、治療期間が通常より長くなったり、治療目標に達しない場合があるとされています。とはいえ選択肢がなくなるわけではないため、開始時期が遅くなる場合は、医療機関で進み方の見通しを確認しておくと安心です。
Q. 7か月以降でも改善が見込めるという根拠はありますか?
A. 研究では、生後7か月以降に開始した場合でも一定の改善が確認されています(CVAIで約4%改善) [*3]。
これは中等症〜最重症の赤ちゃんを対象とした研究結果であり、すべての赤ちゃんに同じ結果があてはまるわけではありませんが、判断材料のひとつになると考えられています。
受診から装着までの流れ
Q. 受診から卒業までは、どんなステップで進みますか?
A. おおむね下記のステップで進みます。

①受診 (小児科、脳外科など)
②ゆがみの原因・程度を診断し、治療するか決める〜3D撮影・ヘルメット作成
③装着開始、月1回の経過観察
④卒業(治療終了)
診断の結果を確認したうえで、治療するかどうかを保護者が決める流れになっています。治療する場合、ベビーバンドの場合は約1〜1.5週間でヘルメットを作成し、装着を開始できます。
Q. 治療期間の目安はどのくらいですか?
A. 1日23時間装着を目標に、約2〜6か月間続けるのが目安です。平均すると約3〜4か月程度で卒業に至るとされています。

自分の子の月齢に合った次の一歩を、医療機関で確かめよう
ヘルメット治療の対象月齢は生後3〜12か月で、ベストタイミングは生後3〜6か月。とはいえ、ベストタイミングを逃しても、できることはあります。
「うちの子は今できることがあるのか」と気持ちが揺れているなら、医療機関で月齢に合ったアクションを確かめておくと安心です。
「いつも同じ向きを向く」「後頭部の片側が平らに見える」サインに気づいたときも、はっきりした症状がなく「念のため聞いておきたい」くらいの気持ちのときも、相談して構いません。
迷ったときは、健診の機会なども使いながら早めに医療機関で相談してみてください。

よくある質問(Q&A)
Q. 受診したら、その日にすぐ治療開始を決める必要がありますか?
すぐに決める必要はありません。受診ではまず診断と適応の判断が行われ、治療を始めるかどうかは保護者ご自身で選べます。説明を聞いたうえで、ご家庭で検討してから判断して構いません。
Q. 健診で「様子を見ましょう」と言われましたが、専門外来に相談してもよいですか?
気になることがあれば、いつでも専門外来に相談して構いません。早めに相談しておくと選択肢が広がりやすく、月齢に合った対応を確認できます。様子見の指示後でも相談は問題ありません。
Q. 早産で生まれた場合、開始時期は変わりますか?
対象月齢は、正期産で生まれた赤ちゃんを基準にしたものです。早産の場合は修正月齢をもとに考えるため、開始時期が変わることがあります。専門の医師に相談して確かめましょう。
参考文献
[*1]: Wen J, Qian J, Zhang L, Ji C, Guo X, Chi X, Tong M. Effect of helmet therapy in the treatment of positional head deformity. Journal of Paediatrics and Child Health. 2020; 56(5):735-741. DOI: 10.1111/jpc.14717
[*2]: Laughlin J, Luerssen TG, Dias MS; Committee on Practice and Ambulatory Medicine, Section on Neurological Surgery. Prevention and Management of Positional Skull Deformities in Infants. Pediatrics. 2011; 128(6):1236-1241. DOI: 10.1542/peds.2011-2220
[*3]: Nagano N, et al. Therapeutic Effectiveness of a Novel Cranial Remolding Helmet (baby band2) for Positional Plagiocephaly: A Multicenter Clinical Observational Study. Journal of Clinical Medicine. 2024; 13(19):5952. DOI: 10.3390/jcm13195952



