公開日 2025/05/19
【医師解説】妊娠4ヶ月(12〜15週)|つわりが楽になる!体調の変化と過ごし方

目次

久保田産婦人科病院
西野 枝里菜 先生
妊娠4ヶ月は、初期から中期へと移行する大切な時期です。つわりが和らぎ始め、体調が改善する方も多くいらっしゃいます。妊娠4ヶ月の赤ちゃんは急速に発達し、様々な器官が形成されていきます。ママの体にも変化が表れ始め、おなかがふっくらとしてくる頃です。この記事では、妊娠4ヶ月(12〜15週)の赤ちゃんの成長やママの体の変化、気をつけたいポイントについて詳しくご紹介します。
妊娠4ヶ月目【妊娠12〜15週】の赤ちゃんはどのように成長する?
妊娠4ヶ月は、胎児の成長が著しく進む時期です。この時期の胎児は、人間らしい形に整い、各器官の機能も徐々に発達していきます。週ごとに見ていきましょう。
妊娠12週目の赤ちゃんの変化
妊娠12週になると、胎児の頭殿長は約5~6cm、体重は約25gになります。この頃には、主要な器官がほぼ形成され、これからは成長と機能の発達に重点が移ります。
脳を左右に分ける「ミッドライン」が超音波検査で確認できるようになり、心臓の4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)も見えるようになります。また、手の指が完成し、外性器も形成されて性別の区別がつくようになってきますが、超音波ではまだ確認できません。
妊娠13週目の赤ちゃんの変化
妊娠13週では、胎児の体重は約35gに増加します。小腸の発達が急速に進み、消化器系の基盤が整ってきます。手の指が完全に形成され、親指をなめたり握りこぶしを作ったりといった、より人間らしい動きができるようになります。
この頃には、胎児の骨が硬くなり始め、骨格系の発達も進んでいます。また、皮膚はまだ薄く透けていますが、少しずつ厚みを増していきます。胎児は羊水の中で自由に泳ぐように動き回りますが、ママがその動きを感じることはほとんどありません。
妊娠14週目の赤ちゃんの変化
妊娠14週になると、胎児の体重は約60gに増加します。
妊娠14週になると胎児は頭殿長約9〜10 cm、体重は約60 gまで成長します。手首や足首の関節が動きやすくなり、手を握る・伸ばす、足で軽く蹴るなどの細かな動きも見られるように。嗅覚や味覚の受容体が分化し始め、皮膚表面には産毛の芽が現れ、外見がいっそうヒトらしく整ってくる時期です。胎盤は完成に向けて発達を続けながらも、すでに酸素・栄養の供給と老廃物の除去、ホルモン分泌といった重要な機能を十分に果たしています。子宮が恥骨の陰から上へとせり上がるため、下腹部のふくらみが周囲からも気づかれやすくなり、マタニティウェアが必要になる人も増えてきます。
妊娠15週目の赤ちゃんの変化
妊娠15週では、胎児の体重は約85g、頭の幅は約3cmになります。皮膚は赤みを増して不透明になってきますが、まだ血管が透けて見える程度です。
顔にはうっすらとうぶ毛が生え、羊水を飲み込む練習をし、おしっこもしています。この時期は早い人では胎動を感じ始めることもあります。
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妊娠4ヶ月のママに起きる変化は?
胎児が成長するにつれて、ママの体にも様々な変化が現れます。妊娠4ヶ月は特に、つわりが収まり始め、安定期へと移行する重要な時期です。この時期には、どのような変化が起こるのか見ていきましょう。

子宮とおなかの変化
子宮は徐々に大きくなり、妊娠15週末には新生児の頭ぐらい(直径約10cm)の大きさになります。おなかがふっくらしてきます。
子宮が恥骨の陰に収まりきらなくなり、おへその下あたりまで上がってきます。この変化により、下着やズボンがきつく感じるようになることも多いです。マタニティウェアへの切り替えを検討する良い時期かもしれません。
つわりの軽減と体調の変化
妊娠4ヶ月になると、多くの方はつわりが収まり始めます。一般的には妊娠12〜13週、長くても15〜16週にはつわりの症状が和らぎます。基礎体温が下がり、分娩まで平熱が続くようになります。
食欲が戻り始め、栄養バランスの良い食事を摂ることができるようになります。また、超音波検査は経腟法から経腹法に変わるため、検査の際の負担も軽減されます。
乳房の変化
乳腺が発達し、乳房のサイズが大きくなります。チクチクとした痛みを感じることがあります。
乳輪の色が濃くなり、透明な液体が出ることもあります。これは初乳ではなく、ホルモンの影響によるものです。ブラジャーのサイズが合わなくなることも多いので、マタニティブラへの切り替えも検討してみましょう。
妊娠4ヶ月目のよくある症状と対処法は?
妊娠4ヶ月には、つわりが収まる一方で、新たな症状が現れることもあります。ここでは、代表的な症状とその対処法についてご紹介します。
食べ物の好き嫌いの変化
特定の食べ物を無性に食べたくなる「食べ物の嗜好の変化」が現れることがあります。これは妊娠ホルモンの影響と言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。無理のない範囲で対応し、極端な偏食にならないよう気をつけましょう。
また、特定の食べ物や匂いが苦手になることもあります。これらの変化は一時的なものなので、あまり心配する必要はありません。ただし、土や石鹸などの食べ物ではないものを食べたくなる場合は、「異食症」の可能性があるため、医師に相談しましょう。
下腹部の痛みと不快感
下腹部に痛みや違和感を感じることがありますが、これは子宮を支える円靭帯が伸びることによるものです。特に急に立ち上がったり、姿勢を変えたりするときに感じやすいです。ゆっくりと動作を行い、無理をしないようにしましょう。
ただし、激しい痛みや出血を伴う場合は、流産などの可能性もあるため、すぐに医師に相談してください。また、発熱や排尿時の痛みがある場合は、尿路感染症の可能性があるため、こちらも医師の診察を受けましょう。
便秘とその対処法
妊娠ホルモンの影響で腸の運動が緩慢になり、便秘に悩まされる方も多いです。便秘は痔や腹部の張りの原因になることもあるため、早めに対処することが大切です。
食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物など)を積極的に摂り、水分をこまめに取るようにしましょう。適度な運動も腸の動きを促進するのに効果的です。それでも改善しない場合は、医師に相談して妊婦さんに安全な便秘薬を処方してもらうことも検討してください。
妊娠4ヶ月目の過ごし方は?
つわりが落ち着き始める妊娠4ヶ月は、妊娠生活を見直し、これからの出産に向けて準備を始める良い時期です。健康管理や情報収集など、この時期にしておきたいことをご紹介します。

妊娠4ヶ月目の健康管理のポイント
つわりが落ち着いたら、歯科を受診しましょう。妊娠中はホルモンの影響で歯茎が腫れやすく、歯周病になりやすい傾向があります。歯周病は早産や低体重児のリスクを高める可能性があるため、早めのケアが大切です。
栄養バランスのよい食事を心がけ、鉄分、カルシウム、葉酸などの栄養素をしっかり摂りましょう。医師から許可が出れば、適度な運動を始めるのもおすすめです。妊婦体操やウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かすことで、血行が良くなり、気分転換にもなります。
妊娠4ヶ月目から始める出産に向けた準備
母親学級や両親学級に参加して、妊娠・出産に関する知識を深めましょう。出産場所をまだ決めていない場合は、希望の施設が満員になることもあるため、早めに決めておくと安心です。
また、出生前検査の選択肢について医師に相談するのもこの時期です。検査には様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。夫婦でよく話し合い、自分たちに合った選択をしましょう。
妊娠生活と仕事の両立のポイント
仕事をしている方は、産休について考え始める時期です。いつから取得するか、どのように業務の引き継ぎをするかなど、計画を立てておくと安心です。職場への妊娠報告をまだしていない場合は、この時期に報告するのが良いでしょう。
仕事中は無理をせず、適度に休憩を取りましょう。長時間同じ姿勢でいることを避け、定期的に軽い運動や姿勢の変更をすることで、むくみや腰痛の予防になります。また、職場の状況に応じて、必要であれば業務内容の調整を依頼することも検討してください。
妊娠4ヶ月のよくある質問
妊娠4ヶ月(12〜15週)は初期から安定期へと移行する重要な時期です。つわりが落ち着き始めるこの時期には、様々な疑問や不安が生まれることも。ここでは、多くのママから寄せられる質問とその回答をご紹介します。妊娠生活をより安心して過ごすための参考にしてください。
Q. 妊娠4ヶ月目に胎動を感じることはありますか?
A. 妊娠4ヶ月、特に妊娠15週頃から胎動を感じる方もいますが、初めての妊娠の場合は気づきにくいことが多いです。初産婦さんの場合、多くは妊娠20週(6ヶ月)頃から胎動を自覚するようになります。
経産婦の方は経験があるため、早い段階で胎動に気づくことが多いようです。ただし、胎動を感じる時期には個人差がありますので、まだ感じなくても心配する必要はありません。
Q. 妊娠4ヶ月目におすすめの食事や栄養素は何ですか?
A. 妊娠4ヶ月目は、つわりが収まり始め、食事がとりやすくなる時期です。この時期にはバランスの良い食事を心がけ、特に以下の栄養素を意識して摂取するとよいでしょう。
葉酸は、神経管閉鎖障害のリスクを減らすために重要な栄養素です。ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、レバーなどに多く含まれています。鉄分は、貧血予防のために必要で、レバー、赤身肉、ほうれん草、レンズ豆などに豊富です。カルシウムは胎児の骨や歯の形成に不可欠で、乳製品、小魚、海藻、緑黄色野菜などから摂取できます。また、良質なタンパク質も胎児の発育に大切です。肉、魚、卵、大豆製品などをバランスよく食べましょう。
【妊娠4ヶ月まとめ】安定期への移行期を健やかに過ごすポイント
妊娠4ヶ月(12〜15週)は、つわりが和らぎ体調が改善し、おなかも少しずつ目立ってくるため、妊娠を実感しやすい時期でもあります。つわりが落ち着いたら、バランスの良い食事を心がけ、必要な栄養素をしっかり摂取しましょう。また、出産に向けた準備や情報収集も始めるとよいでしょう。
人によっては胎動を感じ始める時期でもありますが、個人差も大きいため、まだ胎動を感じない方も心配する必要はありません。不安なことや気になる症状があれば、遠慮なく医師に相談し、自分に合ったペースで妊娠生活を過ごしてください。
