公開日2025年6月3日

「その子とご家族にとって最善の医療を」ひつじBaby&Kids Clinicが始めたヘルメット治療という選択肢

ひつじBaby&Kids Clinic
野村 志保先生
「ひつじBaby&Kids Clinic」は羊のようにやさしく、群れで集うような心あたたまる場所を目指し、地域の子育て世帯の健康を守っています。院長の野村先生は、大学病院のNICUなどで新生児医療の経験豊富な赤ちゃんのスペシャリストです。そんな野村先生に、開院のきっかけや診療への思いに加え、ヘルメット治療について詳しくお話を伺いました。

先生のこれまでのご経歴について、簡単にお聞かせいただけますか。

大阪市立大学(現・大阪公立大学)を卒業後、研修を経て淀川キリスト教病院に勤務し、周産期・新生児医療に携わってきました。大学院では博士課程を修了し、NICUに10数年間勤務しました。第一子出産後は職場復帰したものの、子どもと向き合いたい気持ちが強くなり、小児科・新生児の専門医資格取得、博士号取得という節目を経て大学を退職しました。クリニック勤務を経て、総合病院で新生児医療に携わるか、自分のクリニックを立ち上げてみたいと思うようになり、偶然見つけた今の場所に縁を感じて「ひつじBaby&Kids Clinic」を開業しました。


医師として大切にされている価値観や原点について教えてください。

NICU時代には、命を救えなかった赤ちゃんとそのご家族に向き合うことの重みを痛感しました。そのときお世話になった先生の「医師の一人前とは病気を治せるようになることではなく、病気か治らない子やそのご家族に寄り添うことこそが、医師として本当に大切な役割なんだよ」という言葉に支えられ、今でも医師としての原点になっています。

開業医となった今も、一人ひとりの背景やご家族の想いを大切に、「その子とご家族にとって最善の医療」を心がけています。


診察の際に心がけておられることはございますか?

診察では、子どもが安心できるよう怖がらせないように最大限配慮しております。嫌がっている場合は無理に診察室に入れず、声をかけたり、扉を開けたままお母さんとしばらく話したりして、自発的に入ってきてもらえるよう工夫しています。

また、保護者の方に対しては、ここに来ることで不安が少しでも軽くなり、自信を持っていただけるような診療を常に心がけています。否定せず前向きな声かけを心がけ、不安や迷いを少しでも軽くして帰っていただけるよう努めています。


どのようなクリニックにしたいという思いをお持ちですか?

クリニックのキャッチフレーズは「We want to be a warmful community for your loved ones」で、これは「あなたたちの大切な人たちにとって、あたたかいコミュニティでありたい」という思いを込めたものです。

クリニック名も子どもたちにとって覚えやすく親しみのある「ひつじ」という名前にし、羊のようにやさしく、群れで集うような、心あたたまる場所を目指しています。コロナ禍で孤独を感じる方が増える中、病気でなくても立ち寄れる場として、育児イベント「ひつじっこclub」も実施しています。お友達を見つけに来るような感覚で訪れていただけると嬉しいです。


ヘルメット治療を取り入れてみようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

「新生児の専門性を生かしつつ、外来でできることは何か」と考えたとき、ちょうどヘルメット治療という選択肢を思い出しました。ベビーバンドを扱っている先生に相談して実際に見学もさせていただき、診療の様子を拝見して、始めてみようと思いました。


ヘルメット治療を始めてみて、どのような印象をお持ちになりましたか?

実際にヘルメット治療を始めてみると、その効果に驚きました。以前は「寝返りすれば自然と整う」と考えていましたが、そうでない場合も多く、早期に適切な介入を行うことで大きく改善することを実感しました。頭の形の悩みは命に関わる問題ではありませんが、成長後の自尊心や自己肯定感に影響を与える可能性があることを踏まえ、治療の選択肢としてご案内できるよう心がけています。


頭の形に関する診療の流れについて教えてください。

当院では、毎週火曜日と木曜日の午後2時から3時に感染症の患者さんとは時間を分けた「赤ちゃん外来」を設けており、頭の形に関する診療もこの外来で行っています。

ウェブ問診で事前にご家庭の悩みやご希望を把握し、来院後はノギスによる頭の測定を実施。必要に応じてヘルメット治療をご提案します。治療の決定はすぐに行わず、資料をお持ち帰りいただき、ご家族でゆっくりご検討いただいています。

ヘルメットは頭を無理に矯正するのではなく、自然な成長の方向を調整する考え方に基づいた治療です。卒業時には「卒業証書」をお渡ししており、ご家族の思い出のひとつとなれば嬉しく思います。ご卒業の際には「綺麗になって本当に良かった」とのお声を多くいただいています。


保護者のみなさまからよくあるご質問はなんでしょうか?

多くいただくご質問は、「赤ちゃんがヘルメットを嫌がらないか、つけ続けられるのか」というものです。赤ちゃんはとても適応能力が高い存在ですので、ご安心いただければと思います。初めのうちは「ちょっと戸惑っているかな」と見えることもありますが、多くの赤ちゃんは自然に受け入れて、機嫌良く過ごしてくれています。

一方で、ヘルメット治療ではお肌に少なからず負担がかかることがあります。そのため、診察や経過観察の際には皮膚の状態を丁寧に確認し、わかりやすくご説明したうえで、状況に応じて対処策をご提案しています。


読者の方へのメッセージ

赤ちゃんの頭の形に関して、不安に感じたり、悩んだりすることは決して珍しいことではありません。特に毎日そばにいるお母さんにとっては、小さな変化が気になり、情報を調べれば調べるほど不安が大きくなることもありますが、ネット上の情報は実際のお子さまの頭の形を診た上でのアドバイスではありません。迷われている場合には一度実際に頭の形を診て判断してくれる医療機関でのご相談をおすすめいたします。

専門的な視点から見た意見を一度聞いてみるだけでも、気持ちが軽くなるかもしれません。治療を「する」「しない」、どちらも正解です。何より大切なのは、ご家族がお子さまのためにしっかり考えて出された結論であることです。「この子のためにどうすれば良いか」を一生懸命考えて出された答えに、自信を持っていただければと思います。


ヘルメット治療について

治療の流れ

ウェブ問診で事前にご家庭の悩みやご希望を把握し、 来院後はノギスによる頭の測定を実施。 必要に応じてヘルメット治療をご提案します。

費用

38.5万円(税込)

診察日時

毎週火曜日・金曜日

予約

WEB・お電話にてご予約を受け付けております。

相談窓口

06-6606-1243

アクセス

電車・バスでお越しの方: 阪堺上町線 帝塚山3丁目駅から徒歩8分 大阪メトロ御堂筋線 西田辺駅から徒歩14分 天王寺駅から大阪シティバス:「あべの橋(天王寺駅前)」より乗車し、「万代東2丁目」で下車徒歩2分。

お車でお越しの方

公開日2025年6月3日

「その子とご家族にとって最善の医療を」ひつじBaby&Kids Clinicが始めたヘルメット治療という選択肢

ひつじBaby&Kids Clinic
野村 志保先生
「ひつじBaby&Kids Clinic」は羊のようにやさしく、群れで集うような心あたたまる場所を目指し、地域の子育て世帯の健康を守っています。院長の野村先生は、大学病院のNICUなどで新生児医療の経験豊富な赤ちゃんのスペシャリストです。そんな野村先生に、開院のきっかけや診療への思いに加え、ヘルメット治療について詳しくお話を伺いました。

先生のこれまでのご経歴について、簡単にお聞かせいただけますか。

大阪市立大学(現・大阪公立大学)を卒業後、研修を経て淀川キリスト教病院に勤務し、周産期・新生児医療に携わってきました。大学院では博士課程を修了し、NICUに10数年間勤務しました。第一子出産後は職場復帰したものの、子どもと向き合いたい気持ちが強くなり、小児科・新生児の専門医資格取得、博士号取得という節目を経て大学を退職しました。クリニック勤務を経て、総合病院で新生児医療に携わるか、自分のクリニックを立ち上げてみたいと思うようになり、偶然見つけた今の場所に縁を感じて「ひつじBaby&Kids Clinic」を開業しました。


医師として大切にされている価値観や原点について教えてください。

NICU時代には、命を救えなかった赤ちゃんとそのご家族に向き合うことの重みを痛感しました。そのときお世話になった先生の「医師の一人前とは病気を治せるようになることではなく、病気か治らない子やそのご家族に寄り添うことこそが、医師として本当に大切な役割なんだよ」という言葉に支えられ、今でも医師としての原点になっています。

開業医となった今も、一人ひとりの背景やご家族の想いを大切に、「その子とご家族にとって最善の医療」を心がけています。


診察の際に心がけておられることはございますか?

診察では、子どもが安心できるよう怖がらせないように最大限配慮しております。嫌がっている場合は無理に診察室に入れず、声をかけたり、扉を開けたままお母さんとしばらく話したりして、自発的に入ってきてもらえるよう工夫しています。

また、保護者の方に対しては、ここに来ることで不安が少しでも軽くなり、自信を持っていただけるような診療を常に心がけています。否定せず前向きな声かけを心がけ、不安や迷いを少しでも軽くして帰っていただけるよう努めています。


どのようなクリニックにしたいという思いをお持ちですか?

クリニックのキャッチフレーズは「We want to be a warmful community for your loved ones」で、これは「あなたたちの大切な人たちにとって、あたたかいコミュニティでありたい」という思いを込めたものです。

クリニック名も子どもたちにとって覚えやすく親しみのある「ひつじ」という名前にし、羊のようにやさしく、群れで集うような、心あたたまる場所を目指しています。コロナ禍で孤独を感じる方が増える中、病気でなくても立ち寄れる場として、育児イベント「ひつじっこclub」も実施しています。お友達を見つけに来るような感覚で訪れていただけると嬉しいです。


ヘルメット治療を取り入れてみようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

「新生児の専門性を生かしつつ、外来でできることは何か」と考えたとき、ちょうどヘルメット治療という選択肢を思い出しました。ベビーバンドを扱っている先生に相談して実際に見学もさせていただき、診療の様子を拝見して、始めてみようと思いました。


ヘルメット治療を始めてみて、どのような印象をお持ちになりましたか?

実際にヘルメット治療を始めてみると、その効果に驚きました。以前は「寝返りすれば自然と整う」と考えていましたが、そうでない場合も多く、早期に適切な介入を行うことで大きく改善することを実感しました。頭の形の悩みは命に関わる問題ではありませんが、成長後の自尊心や自己肯定感に影響を与える可能性があることを踏まえ、治療の選択肢としてご案内できるよう心がけています。


頭の形に関する診療の流れについて教えてください。

当院では、毎週火曜日と木曜日の午後2時から3時に感染症の患者さんとは時間を分けた「赤ちゃん外来」を設けており、頭の形に関する診療もこの外来で行っています。

ウェブ問診で事前にご家庭の悩みやご希望を把握し、来院後はノギスによる頭の測定を実施。必要に応じてヘルメット治療をご提案します。治療の決定はすぐに行わず、資料をお持ち帰りいただき、ご家族でゆっくりご検討いただいています。

ヘルメットは頭を無理に矯正するのではなく、自然な成長の方向を調整する考え方に基づいた治療です。卒業時には「卒業証書」をお渡ししており、ご家族の思い出のひとつとなれば嬉しく思います。ご卒業の際には「綺麗になって本当に良かった」とのお声を多くいただいています。


保護者のみなさまからよくあるご質問はなんでしょうか?

多くいただくご質問は、「赤ちゃんがヘルメットを嫌がらないか、つけ続けられるのか」というものです。赤ちゃんはとても適応能力が高い存在ですので、ご安心いただければと思います。初めのうちは「ちょっと戸惑っているかな」と見えることもありますが、多くの赤ちゃんは自然に受け入れて、機嫌良く過ごしてくれています。

一方で、ヘルメット治療ではお肌に少なからず負担がかかることがあります。そのため、診察や経過観察の際には皮膚の状態を丁寧に確認し、わかりやすくご説明したうえで、状況に応じて対処策をご提案しています。


読者の方へのメッセージ

赤ちゃんの頭の形に関して、不安に感じたり、悩んだりすることは決して珍しいことではありません。特に毎日そばにいるお母さんにとっては、小さな変化が気になり、情報を調べれば調べるほど不安が大きくなることもありますが、ネット上の情報は実際のお子さまの頭の形を診た上でのアドバイスではありません。迷われている場合には一度実際に頭の形を診て判断してくれる医療機関でのご相談をおすすめいたします。

専門的な視点から見た意見を一度聞いてみるだけでも、気持ちが軽くなるかもしれません。治療を「する」「しない」、どちらも正解です。何より大切なのは、ご家族がお子さまのためにしっかり考えて出された結論であることです。「この子のためにどうすれば良いか」を一生懸命考えて出された答えに、自信を持っていただければと思います。


ヘルメット治療について

治療の流れ

ウェブ問診で事前にご家庭の悩みやご希望を把握し、 来院後はノギスによる頭の測定を実施。 必要に応じてヘルメット治療をご提案します。

費用

38.5万円(税込)

診察日時

毎週火曜日・金曜日

予約

WEB・お電話にてご予約を受け付けております。

相談窓口

06-6606-1243

アクセス

電車・バスでお越しの方: 阪堺上町線 帝塚山3丁目駅から徒歩8分 大阪メトロ御堂筋線 西田辺駅から徒歩14分 天王寺駅から大阪シティバス:「あべの橋(天王寺駅前)」より乗車し、「万代東2丁目」で下車徒歩2分。

お車でお越しの方