公開日2025年6月9日
子育て支援からヘルメット治療まで、太田こどもとアレルギークリニック太田先生の親子に寄り添う医療

先生のこれまでのご経歴について簡単にお聞かせいただけますか。
順天堂大学卒業後、日本大学付属練馬光が丘病院で初期研修を2年間行いました。その後、自分の地元である新潟に戻って地方医療に貢献したいと考えるようになりました。
新潟大学の小児科に入局後は、新潟県内や山形県の病院で勤務し、大学院に進学しました。国内留学先の群馬大学でも約2年間、アレルギーや基礎研究にも携わる機会をいただきました。そして40歳の時に、長岡にある実家のクリニックに入職しました。
医師を目指されたきっかけについても教えていただけますか?
両親から「人の役に立つ仕事に就きなさい」と言われて育ちました。どんな仕事でも誰かの役に立ちますが、医師として働く父の姿を身近に見ていたことで、自然と医療の道に関心を持つようになりました。こどもの頃から手に職をつけたいという思いもあり、それが医師という選択につながったのだと思います。
小児科を選ばれたのはなぜですか?
小児科を目指したのは、こどもと接する機会が多かったことが背景にあります。小さなお子さんが自然に声をかけてくれることが多く、こどもたちとのコミュニケーションが得意だったんです。
また、初期研修のときに赤ちゃんの診察をしていた際、診察や検査を通じて病気を突き止められた経験が印象的で、「言葉が話せない子どもたちの気持ちを汲み取れる」ことに魅力を感じました。特にこどもたちは、病気が治れば将来の可能性が大きく広がります。その未来を守りたい、そして、こどもたちの伝えられない思いに耳を傾けたいという気持ちが強くなり、小児科を選びました。
どのようなクリニックを目指していらっしゃいますか?
当クリニックは2021年にリニューアルしました。大切にしているのは「安心」と「安全」、そして「患者さんの気持ちに寄り添うこと」です。
発熱や体調不良などの症状だけでなく、アレルギーなど、どう対応すればよいか分からず不安を抱えている親御さんも多くいらっしゃいます。来院された際に少しでも気持ちが楽になって帰っていただけるようなクリニックを目指しています。
クリニックの設備面での工夫、特徴についても詳しくお聞かせいただけますか?
小児科とはいえ、長く付き合う必要のある疾患もあり、成人になっても継続して診ていきたいと考えています。そのため、こどもたちも楽しめて、大人の方も気兼ねなく来られる空間を意識しています。
院内感染予防のため、胃腸炎や風邪症状がある患者さんは「もりの待合室」、それ以外の患者さんは「うみの待合室」でお待ちいただき、できるだけ患者さん同士が接触しないような動線を確保しています。その他、ご家族全員が体調を崩してしまった場合に一緒に点滴を受けられるような、4人ほどが横になれるスペースを設けています。
また、雪や寒さ対策として、当院では靴を脱いでいただくスタイルにしています。小さなお子さんはスリッパを口に入れてしまうことがあるので、衛生面を考え待合室は床暖房を使用し、スリッパを使わず過ごせるように配慮しています。
医療機関としての機能以外にも、地域との関わりを重視されていると伺いました。
医療と併せて、地域の子育て支援にも力を入れています。ベビーマッサージや育児相談会、保護者向けの勉強会などを開催しています。病気になったときだけ行く場所ではなく、子育ての悩みを抱えた時などに気軽に立ち寄ってもらえる場所として地域に根付くことを目指しています。
診察の際に心がけていることについて教えてください。
まず何よりも笑顔です。診察の冒頭には必ず笑顔でご挨拶し、お子さんの目をしっかり見て話すことを心がけています。
話せないお子さんの場合、親御さんとお話しすることももちろんありますが、できるだけお子さん自身の様子を直接観察し、表情や仕草、目の動きなど、非言語のサインにも注意を払って、何を感じているかを汲み取りたいと思っています。
ヘルメット治療に取り組まれたきっかけについて教えてください。
数年前に県外にいる友人が自分のこどもにヘルメット療法を行っていて、その写真を送ってくれたことで初めて知り、興味を持ちました。
当初は他院に紹介する形を取っていましたが、徐々にこの治療を希望されるご家族も増え、当院で提供できれば、多くの患者さんに治療を受けてもらえるのではと思うようになりました。
「頭のかたち」についてのご相談は多いのでしょうか?
かなり多いですね。ヘルメット療法で改善が見られたときは本当に良かったと感じます。ただ、治療が必要ないほどきれいな頭のかたちでも、不安を感じて来院される親御さんもいらっしゃいます。問題ありませんとお伝えすることで、安心して帰られる姿が印象的です。中には「寝かせ方が悪かったのでは」と自分を責めるお母さんもおられ、そうした不安を解消できること自体にも大きな意味があると感じています。
ヘルメット療法を始めてから、何か感じられたことがあれば教えてください。
これまでの経験から強く感じたのは、親御さんたちはとても多くのことで悩んでいるということです。小児科では、発熱や感染症の診察は日常的ですが、見た目や発達に関する悩みなど、病気とは言えないけれど不安に感じることもたくさんある。
そういった不安に丁寧に耳を傾け、選択肢や情報を提供する場があることは、非常に重要だと改めて感じました。
頭のかたち外来の初診の流れをお教えいただけますでしょうか?
初診では、まず出生時の状況や生活習慣、寝かせ方などを確認します。
その後、お子さんの頭部の形状を実際に確認し、必要があれば3D撮影などを通じて評価を行います。ヘルメットが適応となるかを判断し、ご希望に応じて治療に進みます。
予約方法について教えてください。
基本的には初診はネット予約で受け付けています。再診の場合は診療の中で予約を取っています。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いいたします。
当院の頭のかたち外来では、ヘルメット治療に限らず頭部全体の相談に対応しています。相談できる場所があるということが大切だと思っています。
その他、アレルギー外来やおねしょ外来、便秘外来、など幅広いお悩みにも対応しています。女性医師も在籍していますので、何かご不安があればお気軽にお越しください。
また、子育て支援の一環として「周年祭」というイベントを毎年開催しています。今年は9月14日に開催予定です。イベントでは、こどもたちが楽しめる縁日遊びやキッチンカーの出店のほか、小さなお子さん向けに白衣を着て、医師なりきり体験のようなアクティビティも用意しています。楽しい体験を通して、少しでも「病院=怖い場所」という印象を払拭できればと思っています。遊びに来るような感覚で気軽に足を運んでいただけたら嬉しいですね。
ヘルメット治療について
治療の流れ
出生時の状況や生活習慣、寝かせ方などを確認します。 その後、頭部の形状を確認し、 必要があれば3D撮影などを通じて評価を行います。 ヘルメット適応の場合、ご希望に応じて治療に進みます。
費用
35万円(税込)
診察日時
火・水曜日(完全予約制)
予約
ネット予約を受け付けております。
相談窓口

アクセス
電車・バスでお越しの方: バス:昭和通りより徒歩3分
お車でお越しの方: 長岡バイパス/国道8号より11分