公開日2026年2月26日
千葉県千葉市の頭のかたち外来|まなこどもクリニック

この記事では、先生が日々の診療で大切にしている考え方を中心にご紹介します。
赤ちゃんの頭の形やヘルメット治療に関する基本的な情報は、別記事でご覧いただけます。
先生のご経歴を教えていただけますか
悠先生:
山梨大学医学部を卒業後、山梨で初期研修を修了しました。当初から小児科志望だったため、後期研修は地元千葉に戻り、千葉市内の病院で数年勤務しました。その間にNICUでの経験も積み、集中治療や基礎疾患を持つ子どもたちの診療について学びました。
さらに、感染症科で、主に院内感染制御、具体的には入院患児への外部からの感染持ち込み防止や、病棟内での感染症の流行防止に取り組みました。また、コンサルテーション業務として、基礎疾患を持つ入院患児が感染症にかかった場合の対応、入院・外来を含め発熱や風邪症状を呈した児の対応、予防接種に関する相談にも応じていました。
実は、この頃の勤務医時代よりずっと前の後期研修を始める頃から、母が経営する「まなこどもクリニック」は、いずれは自分が継ぐものだと考えていました。一次診療の現場でより多くの経験を積むことが重要だと感じたため、複数の病院での勤務を経て、現在は一次診療の現場に移り、診療にあたっています。
小児科を選んだ理由は、「すべて」を診られることに魅力を感じたからです。当初は総合診療を検討しましたが、総合診療では高齢者が中心となり、子どもを診る機会が小児科と比較して限られてしまいます。私は、特に「その人の成長」を見たかったので、子どもの成長発達を総合的に見ることができる小児科を選びました。
小児科の魅力は、赤ちゃんから中学生・高校生くらいまでの発達全体を診られる守備範囲の広さにあります。夜泣きに困っていた時期から、中学生になって、高校受験に合格するまで、その子の成長を一緒に追いかけ、関わり続けられることが大きな魅力です。
また、予防接種(ワクチン)は小児科の最も得意とする分野であり、子どもの命を助けられる頻度が大きく変わる、予防医療への貢献度が高いことも魅力の一つです。
開業したきっかけは何だったのでしょうか?
真名先生:
息子(現在の副院長)が小学校に入学したのを機に、約10年間勤務した帝京大学ちば総合医療センター(旧:帝京大学市原病院)を退職し、開業しました。
背景には、二つの大きな理由があります。
まず、大学病院での勤務は子育てとの両立が難しく、地元で子育てをしながら、身近な地域の子どもたちの診療にあたりたいという思いがありました。
そして、 もう一つは私自身が白血病を患い、骨髄バンクから骨髄提供を受けて命を救われた経験があります。これはお会いしたこともない方の、全く無償の行為によるものであり、その恩返しとして地域社会に貢献したいという強い気持ちがありました。
「自分が救っていただいた命を、地域の子どもたちを育てることに役立てたい。それが自分にできる使命だ」という思いが、開業の最大の動機となりました。
大学病院勤務時代、息子(現在の副院長)が周囲の多くの人々に支えられ育てられた経験から、開業する際には病児保育を必ず併設しようと決めていました。
開院して時が経ち、当時通院していた患者さんが今はお母さんとなり、ご自身のお子さんを連れてきてくれるケースも見られるようになりました。最初は不安そうに赤ちゃんを連れてきたお母さんが、やがて二人目の赤ちゃんを連れてくるようになり、最初に連れてきた子は元気に走り回るように成長します。やがて兄弟でいたずらをしていた子が、小学校に入ると立派に挨拶をするようになるなど、家族全体の成長を見守ることができていると実感しています。単に病気を診るだけでなく、子どもたちやご家族の成長そのものを支え、見守ることができている喜びを感じています。
悠先生:
当クリニックは、開院当初から長年にわたる地域密着型の実績を最大の強みとしています。
理念としては、「地域に寄り添う」ことを最優先とし、地域内の複数の学校や保育園の園医を務めています。また、求められる医療には可能な限り対応するという方針のもと、頭のかたちのヘルメット治療なども導入し、断らない医療を追求しています。
ミッションとしては、「子育てに寄り添い、子どもがすくすく育つ地域をつくる」を掲げ、地域全体に働きかけクリニックの在るおゆみ野から千葉市を良くしていくことを目標としています。
診療においては、地域に根ざしたプライマリーケアとして予防接種に特に注力しており、スタッフ全員が子どものワクチン接種歴を把握し即座に対応できる体制です。また、注射の痛みが少なくなるような工夫や鼻からスプレーするタイプのワクチンの導入、不要な検査・処置を避けるなど、「子どもにとって痛みや恐怖の少ない優しい診療」を心がけており、子どもに負担をかけずに、かつ重症な病気を見逃さないようにしています。
さらに、医学の常識は常に変化するため、食物アレルギーや気管支喘息、アトピー性皮膚炎、頭のかたちなど、最新の情報を常に学び取り入れ、保護者の方々のお話を丁寧に聞き、その真の悩みを一緒に見つけ解決策を探る「保護者への寄り添い」を大切にしています。
頭のかたち外来開設した経緯を教えてください
真名先生:
赤ちゃんの頭のかたちに関するご相談は非常に多く、特に生後4ヶ月頃のお子さんについて多く寄せられます。ご相談に対し、様々なアドバイスをしますが、「右ばかり向いてしまう」「いくら直しても同じ方向を向く」といった保護者の方のお話を聞くたびに、私のアドバイスがなかなか実を結ばないという歯がゆさを感じていました。
SIDS(乳幼児突然死症候群)予防のため、ベッドに枕を置かない、うつ伏せにしないなど、安全な寝かせ方を守る必要があります。そのため、安全性を遵守しつつ、頭のかたちを良くするための効果的なアドバイスが不足していることが、長年の課題でした。
そんな中、学会やセミナーで頭のかたちの矯正用ヘルメットの存在を知り、実際にヘルメット治療を行っている患者さんの様子を見て、本人がそれほどストレスを感じていないことを確認し、治療の選択肢として検討するようになりました。
実際にヘルメット治療を始めてみて、改めて痛感したのは、生後4ヶ月以降の治療は、ある意味「対症療法」や「二次的な対応」であるということです。最も重要で大切だと感じるのは、頭のかたちが歪むのを未然に防ぐための、それ以前の段階での診療、アドバイス、そして支援であるということです。
この経験から、頭のかたち外来を運営する中で、赤ちゃんの寝かせ方や抱き方といった「姿勢」に関する指導の重要性を、改めて強く認識しています。
実際に頭のかたち外来を始めてみていかがですか
悠先生:
頭のかたちに関する相談は数多く寄せられていますが、全員がヘルメット治療に進むわけではありません。体位変換などのアドバイスのみで改善されるケース、保護者の方が気にされていても実際には心配のないケースなど様々です。相談先が少ないことが背景にあると感じています。
ご相談の大半は「大丈夫なのか安心したい」というものです。特に重要視しているのは頭蓋骨早期癒合症の否定です。一般的に発生頻度は低いですが、頭の変形があるお子さんでは、その可能性が若干高くなるというデータもあります。そのため、見逃さないように、3Dスキャンを行う前に必ず脳神経外科の受診をお願いしています。大きな病院と連携し、精査後に当クリニックに戻ってきていただくスムーズな流れを確立しています。
初診時には、頭の歪みの原因となっている、筋骨格系の左右のアンバランスを特定し、ご説明します。診察を通じて、お子さんの体の使い方からくる「好きな向き」の理由を一緒に探し、特定できた場合は、それを改善するための体操指導をまず行います。
そのため、3Dスキャンを行うまでに2週間から1ヶ月程度かかる場合がありますが、その前段階でできることがたくさんあります。
例えば、推奨月齢に達していない生後3ヶ月のお子さんのご相談でも、当クリニックではスキャン以前に、抱っこの仕方や普段の過ごし方についてもしっかり指導します。その上で改善が見られず、かつ脳神経外科での精査も済んでいる場合に3Dスキャンに進みます。
3Dスキャンは、いわば「最後の答え合わせ」です。その前に、保護者の方とじっくり話し合い、測定結果を予測してお伝えしています。「軽症」「中等症」「重症」「最重症」といった重症度の分類や、耳の位置や前頭部の左右差によるクラス分類(クラス1~4)について、「おそらくクラス1でしょう」「短頭は軽症、斜頭は重症かもしれません」といった予測を立ててからスキャンを行います。そして、「やはり予測通りでしたね」と確認する流れです。
測定結果については、事前に十分な説明を行っているため、保護者の方の納得感は高いと感じています。
ヘルメット治療に対してどのように考えていますか?
悠先生:
ヘルメット治療は実際頭のかたちしか治せないのですが、その背景にある左右のアンバランスさは、お家でできる育児体操で改善することが、頭のかたち外来を始めてから顕著にわかってきました。
ヘルメット治療期間は1ヶ月ごとに経過観察をするので、その時の状況を診て丁寧に発達フォローができます。しっかり筋骨格系の発達について話し合い、遅れがあれば頭のかたちだけではなく、トータルで体の使い方も一緒に診ていくスタイルです。
真名先生:
私も同じです。きっかけは頭の歪みの相談だったかもしれないけれど、トータルにお子さんの発達に関することを全て見ていくことが大切だと思っています。
当クリニックでは、頭のかたちの診察の前に、まず姿勢や抱き方、筋緊張など、全身の診察をするので、ちょっと驚かれることがあります。ヘルメット治療目的で来たけれども、それ以前にやれることはないかというところをしっかり診るクリニックなので、そのギャップがあるかもしれません。
ヘルメット治療だけではなく、まずやることは他にあるということを知っていただくのはとても大切なことだと思います。
費用や治療期間について教えてください
真名先生:
ヘルメット治療の費用は33万円(税込)です。
単に安ければ良い、ヘルメット治療をすれば解決するというものではなく、ある程度の経過観察や積み重ねの中で、最終的にヘルメット治療が必要という合意がご家族と私たちの間でできて初めて、この費用となるとの認識です。
頭のかたちの歪みの原因のフォローアップこそが非常に重要であり、それは地域の小児科医こそがやるべきことだと確信しています。
治療開始時期は幅広く設定しており、7か月を超えて9か月ころまでは治療を開始することもありますが、その月齢を超えると行っていません。月齢が大きくなると、お子さんが嫌がり始めることもあります。
治療期間はお子さんによって異なりますので、治療開始時にご相談ください。重症度によっては早期に治療が終了するケースもあります。
読者の方へのメッセージをお願いします
真名先生:
頭のかたち外来は、お子様の発達全体を診て、頭のかたちだけでなく、体の姿勢や動かし方なども含めて総合的にフォローいたします。気になることがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
悠先生:
頭のかたちの歪みに関する重要な点として、3D画像で重症度が高く出ることがありますが、人が実際に見る視点(正面や横)と、データ上の数値には違いがあることをお伝えしています。
3Dスキャンでは全方向から撮影するため、特に後頭部だけのへこみなどは、検査上「重症」と判定されることがあります。しかし、日常生活で上から頭を見下ろすことはないため、前から見ても横から見ても歪みが気にならない場合は、「重症ではない」と判断します。
人間同士のコミュニケーションにおいて、基本的には前から見るため、「見た目」を重視することが大切です。データは正直ですが、人が見ている箇所と数値が示す箇所は異なるということを、データの見方として理解していただいています。
ヘルメット治療は数ある選択肢の一つです。ヘルメット治療以外にもできることがあるということを知っていただきたいと考えています。
少しでも気になる場合は、一度ご相談ください。生後1〜2ヶ月の早い時期から、うつ伏せ運動(タミータイム)などを試すことで良い変化が見られる可能性があります。早めにご来院いただければ、歪みがひどくならないための予防法や指導も可能です。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診時には筋骨格系の左右のアンバランスを特定し、ご説明します。 診察を通じて、お子さんの体の使い方からくる「好きな向き」の理由を一緒に探し、特定できた場合は、 それを改善するための体操指導をまず行います。
費用
33万円
診察日時
月・火・水・金 9:00~12:00、15:30~17:00 土 9:00~12:00
予約
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