公開日2025年1月23日

赤ちゃんの頭の形に悩む親御さんへ:宮林先生が教える予防と治療

春日部市立医療センター
宮林 寛先生
春日部市立医療センターは地域医療の中核を担っています。宮林先生は、赤ちゃんの健やかな成長を見守る中で、頭の形の変形に着目し、予防から治療まで、きめ細やかなケアを実践されています。NICUでの診療経験から始まった「頭のかたち外来」の取り組みについて、豊富な経験と研究に基づいたお話を伺いました。

先生の経歴についてお聞かせください。

日本大学医学部を卒業後、国立甲府病院や埼玉県立小児医療センターで新生児医療に従事してきました。その後、当院の部長として着任し、現在に至ります。

小児科医を目指されたきっかけを教えていただけますか?

医学部で学ぶ中で、子どもたちを元気にしてあげたいという思いが芽生え、小児科医の道を選びました。特に、未熟児の赤ちゃんたちが元気に成長していく姿を見るのが私の喜びです。現在は、かつて治療した子どもたちの成長を見守ることができ、それも大きな楽しみの一つとなっています。

春日部市立医療センターの特徴を教えていただけますか?

当院は春日部地域の中核として、新生児医療に力を入れています。特にNICU(新生児集中治療室)での治療や、その後のフォローアップまで一貫して行っています。春日部は人口も多く、医療ニーズの高い地域ですので、様々な症例に対応しています。特に重症度の高い症例や在宅医療が必要なお子さんのケアまで、幅広く対応しています。

診療する上で心がけていることを教えてください。

A:新生児のケアにおいて最も大切にしているのは、赤ちゃんの快適さです。できるだけ優しいケアを心がけ、赤ちゃんが不快な思いをしないよう細心の注意を払っています。ディベロップメンタルケアと呼ばれる、できる限り本来赤ちゃんが過ごすべき胎内に近い環境にするべく光や音による刺激を調整しています。赤ちゃんの健やかな発育と発達には、様々なストレスから赤ちゃんを守り発達段階にあわせて、環境を整えてあげることが必要です。

頭のかたち外来を開設しようと思ったきっかけを教えてください。

以前から、NICUに入院する赤ちゃんの頭の形が気になっていました。特に超低出生体重児や脳性麻痺のお子さんは、長期間同じ姿勢で過ごすことが多いため、頭や顔の形に大きな変形が生じることがあります。何とか治療できないかと考えていた時、ヘルメット治療に辿り着きました。修正月齢4、5か月と、生後かなり時間が経っていましたが、一度ヘルメット治療を試してみようと考え、ヘルメット治療を行っている病院を紹介しました。その結果、赤ちゃんの頭の形が驚くほど改善しました。この経験をきっかけに、当院で頭の形外来を開設し、研究にも携わるようになりました。

赤ちゃんの頭の形に関する治療について、どのような取り組みをされていますか?

治療の前に予防を重視しています。新生児期から適切なケアを行うことで、頭の形の歪みを防ぐことができます。実際、当院で出産された赤ちゃんの中で、重度の頭の形の歪みになるケースは少なくなっていると感じています。

予防のためのアドバイスをいただけますか?

最も大切なのは、常に同じ向きで寝かせることを避け、様々な姿勢を取り入れることです。これによって頭の形の歪みを予防できます。抱っこの時間を増やしてあげることも重要です。

当院では予防的なケアの指導を行っており、そのための説明用パンフレットも用意しています。早期からの適切なケアにより、重症化を防ぐことができます。

頭の形が気になる場合、いつ頃受診するのがよいでしょうか?

生後3〜4か月頃に気になり始めたら、お近くの小児科を受診することをお勧めします。必要に応じて紹介状を書いてもらい、平日の小児科外来に受診いただく流れです。紹介状がない場合は、選定療養費がかかりますので、お気をつけください。ただし繰り返しになりますが、より早期の生後1か月という段階からケアを始めることで、予防効果が高まります。我々の研究でも実際、生後1か月程度でも頭の歪みが出始めることがわかっています。出生直後から頭の形に関する意識を持っていただくことが大切です。

治療の流れについて詳しく教えていただけますか?

初診では、まず問診と頭の形の測定を行います。診察時間は20〜30分程度で、必要に応じて写真撮影やレントゲン検査を行うこともあります。

生後6か月までまだ時間がある場合は、まず予防的なケアの指導を行い、経過観察をします。特に生後3〜4か月の赤ちゃんの場合は、まず家庭でのケアを中心に様子を見ていきます。

生後6か月まで時間があまりない場合でも、ご家族によく説明し、約2週間の検討期間を設けています。この間、指導したケアを実践していただき、その後の方針を決めていきます。

ヘルメット治療の効果について教えてください。

ヘルメット治療の平均的な治療期間は3.5か月程度です。ヘルメットによる治療効果は十分にあると感じております。ただし、自然な発育を利用して本来の発育に戻していく治療になりますので、完全に丸い形になるとは限らないことには留意が必要です。

親御さんへのメッセージをお願いします。

治療の前に予防が何より大切ということです。頭の形の変形を予防するために、同一方向に寝かさないことが重要で、ときには抱っこの時間を増やしてあげることも必要です。

もし頭の形が気になりはじめたら、早めにご相談ください。早い段階での適切な予防的対応により、多くの場合は改善が期待できます。必要に応じて、それぞれのお子さんに合った具体的な指導や治療法をご提案させていただきます。

ヘルメット治療について

治療の流れ

まず問診と頭の形の測定を行います。 必要に応じて写真撮影やレントゲン検査を行うこともあります。 生後6か月まで時間がある場合は、まず予防的なケアの指導を行い、経過観察をします。

費用

スタッフにお尋ねください。

診察日時

月曜日~金曜日

予約

完全予約制。紹介状をお持ちの上お越しください。

相談窓口

048-735-1261

アクセス

電車・バスでお越しの方: 電車でお越しの方 東武スカイツリーラインまたはアーバンパークライン『春日部駅』西口下車、徒歩約10分。タクシー約5分。 バスでお越しの方 朝日バス(いずれの行先でも)一つ目の停留所下車。徒歩2分。 春バス(いずれの行先でも)三つ目の停留所「市立医療センター」下車。

お車でお越しの方: 199台/うち 障がい者用5台 駐車料金 一般来院の方 1時間まで100円(以後1時間までごとに100円) 診療等で受診の方 5時間まで100円(以後1時間までごとに100円)

公開日2025年1月23日

赤ちゃんの頭の形に悩む親御さんへ:宮林先生が教える予防と治療

春日部市立医療センター
宮林 寛先生
春日部市立医療センターは地域医療の中核を担っています。宮林先生は、赤ちゃんの健やかな成長を見守る中で、頭の形の変形に着目し、予防から治療まで、きめ細やかなケアを実践されています。NICUでの診療経験から始まった「頭のかたち外来」の取り組みについて、豊富な経験と研究に基づいたお話を伺いました。

先生の経歴についてお聞かせください。

日本大学医学部を卒業後、国立甲府病院や埼玉県立小児医療センターで新生児医療に従事してきました。その後、当院の部長として着任し、現在に至ります。

小児科医を目指されたきっかけを教えていただけますか?

医学部で学ぶ中で、子どもたちを元気にしてあげたいという思いが芽生え、小児科医の道を選びました。特に、未熟児の赤ちゃんたちが元気に成長していく姿を見るのが私の喜びです。現在は、かつて治療した子どもたちの成長を見守ることができ、それも大きな楽しみの一つとなっています。

春日部市立医療センターの特徴を教えていただけますか?

当院は春日部地域の中核として、新生児医療に力を入れています。特にNICU(新生児集中治療室)での治療や、その後のフォローアップまで一貫して行っています。春日部は人口も多く、医療ニーズの高い地域ですので、様々な症例に対応しています。特に重症度の高い症例や在宅医療が必要なお子さんのケアまで、幅広く対応しています。

診療する上で心がけていることを教えてください。

A:新生児のケアにおいて最も大切にしているのは、赤ちゃんの快適さです。できるだけ優しいケアを心がけ、赤ちゃんが不快な思いをしないよう細心の注意を払っています。ディベロップメンタルケアと呼ばれる、できる限り本来赤ちゃんが過ごすべき胎内に近い環境にするべく光や音による刺激を調整しています。赤ちゃんの健やかな発育と発達には、様々なストレスから赤ちゃんを守り発達段階にあわせて、環境を整えてあげることが必要です。

頭のかたち外来を開設しようと思ったきっかけを教えてください。

以前から、NICUに入院する赤ちゃんの頭の形が気になっていました。特に超低出生体重児や脳性麻痺のお子さんは、長期間同じ姿勢で過ごすことが多いため、頭や顔の形に大きな変形が生じることがあります。何とか治療できないかと考えていた時、ヘルメット治療に辿り着きました。修正月齢4、5か月と、生後かなり時間が経っていましたが、一度ヘルメット治療を試してみようと考え、ヘルメット治療を行っている病院を紹介しました。その結果、赤ちゃんの頭の形が驚くほど改善しました。この経験をきっかけに、当院で頭の形外来を開設し、研究にも携わるようになりました。

赤ちゃんの頭の形に関する治療について、どのような取り組みをされていますか?

治療の前に予防を重視しています。新生児期から適切なケアを行うことで、頭の形の歪みを防ぐことができます。実際、当院で出産された赤ちゃんの中で、重度の頭の形の歪みになるケースは少なくなっていると感じています。

予防のためのアドバイスをいただけますか?

最も大切なのは、常に同じ向きで寝かせることを避け、様々な姿勢を取り入れることです。これによって頭の形の歪みを予防できます。抱っこの時間を増やしてあげることも重要です。

当院では予防的なケアの指導を行っており、そのための説明用パンフレットも用意しています。早期からの適切なケアにより、重症化を防ぐことができます。

頭の形が気になる場合、いつ頃受診するのがよいでしょうか?

生後3〜4か月頃に気になり始めたら、お近くの小児科を受診することをお勧めします。必要に応じて紹介状を書いてもらい、平日の小児科外来に受診いただく流れです。紹介状がない場合は、選定療養費がかかりますので、お気をつけください。ただし繰り返しになりますが、より早期の生後1か月という段階からケアを始めることで、予防効果が高まります。我々の研究でも実際、生後1か月程度でも頭の歪みが出始めることがわかっています。出生直後から頭の形に関する意識を持っていただくことが大切です。

治療の流れについて詳しく教えていただけますか?

初診では、まず問診と頭の形の測定を行います。診察時間は20〜30分程度で、必要に応じて写真撮影やレントゲン検査を行うこともあります。

生後6か月までまだ時間がある場合は、まず予防的なケアの指導を行い、経過観察をします。特に生後3〜4か月の赤ちゃんの場合は、まず家庭でのケアを中心に様子を見ていきます。

生後6か月まで時間があまりない場合でも、ご家族によく説明し、約2週間の検討期間を設けています。この間、指導したケアを実践していただき、その後の方針を決めていきます。

ヘルメット治療の効果について教えてください。

ヘルメット治療の平均的な治療期間は3.5か月程度です。ヘルメットによる治療効果は十分にあると感じております。ただし、自然な発育を利用して本来の発育に戻していく治療になりますので、完全に丸い形になるとは限らないことには留意が必要です。

親御さんへのメッセージをお願いします。

治療の前に予防が何より大切ということです。頭の形の変形を予防するために、同一方向に寝かさないことが重要で、ときには抱っこの時間を増やしてあげることも必要です。

もし頭の形が気になりはじめたら、早めにご相談ください。早い段階での適切な予防的対応により、多くの場合は改善が期待できます。必要に応じて、それぞれのお子さんに合った具体的な指導や治療法をご提案させていただきます。

ヘルメット治療について

治療の流れ

まず問診と頭の形の測定を行います。 必要に応じて写真撮影やレントゲン検査を行うこともあります。 生後6か月まで時間がある場合は、まず予防的なケアの指導を行い、経過観察をします。

費用

スタッフにお尋ねください。

診察日時

月曜日~金曜日

予約

完全予約制。紹介状をお持ちの上お越しください。

相談窓口

048-735-1261

アクセス

電車・バスでお越しの方: 電車でお越しの方 東武スカイツリーラインまたはアーバンパークライン『春日部駅』西口下車、徒歩約10分。タクシー約5分。 バスでお越しの方 朝日バス(いずれの行先でも)一つ目の停留所下車。徒歩2分。 春バス(いずれの行先でも)三つ目の停留所「市立医療センター」下車。

お車でお越しの方: 199台/うち 障がい者用5台 駐車料金 一般来院の方 1時間まで100円(以後1時間までごとに100円) 診療等で受診の方 5時間まで100円(以後1時間までごとに100円)