公開日2025年8月18日
「子どもの声を聞く」診療を心掛ける三菱京都病院で始まった頭の形外来への取り組み

はじめに先生のご経歴を教えてください
兵庫県出身で中高は大阪の学校まで通っていました。 奈良県立医科大学を卒業後、京都大学小児科に入局 して研修医として大学で1年間学びました。その後は倉敷中央病院に3年間勤務しNICUや小児 科診療について幅広く研修を積み、そして大阪母子医 療センター新生児科でレジデントとして1年間研鑽した後に京大へ戻りました。 以降20年余りにわたり京大に在籍し、新生児科医としてNICUやフォローアップ外来での診療、学生や研修医への教育、そして新生児内分泌の研究に携わりまし た。その間の2012年からの2年間はERATO情動情報 プロジェクトに参加し、また2020年からはエコチル調査にも関わっていました。 2024年4月から三菱京都病院に赴任し、現在に至ります。
医師を目指したきっかけは何でしょうか
これといったはっきりしたきっかけがあるわけではないのですが、医学部へ進んだ兄の影響は受けたと思います。 両親から特に勧められたことはありませんでした。中高生の頃に通院・入院を経験したことで病院に多少馴染みができたのかもしれませんし、あるいは理系に進む中で、やはり医学に一番興味を覚えたということだったのかと思います。
小児科を選んだ理由はありますか
6回生になっても進む道があまり決まっていなかったというのが正直なところです。 当時は今と違って、医師になる時に最初から科を決めないといけませんでした。まずは外科系ではないと思い内科系で考えましたが、臓器別に細分化されていない総合内科に進みたいと思い、老年科と小児科へ見学に行きました。他の大学にも見学に行きましたが、 教授や病棟医長をはじめとした先生方の雰囲気など を総合的に判断して、京大の小児科を選びました。教室内の雰囲気が明るく、また学生の私への対応も 良かったんです。子どもは好きでしたし、小児科なら幅広く総合的に診ることができると思いました。
診療時に心がけていることはありますか
先ほどもお話ししたとおり、中高時代に患者であった ことがありましたが、その時に感じたのは、小児科では親と先生が話していることが多く、子ども自身の話を聞いてもらえないことがあるということでした。 勿論、子どもの普段の様子や変化は親が一番わかっていますから、親からの情報収集は非常に大事なのですが、私自身が小児患者であった時、私は置いてきぼりにされている感じがしていました。 私が思っていることと違うことを親が言っていても、先生はそれで話を進めてしまう。時間も限られているので仕方ない部分もありますが。そういう経験があり、診療の場では子どもから話を聞くこと、子どもを置いてきぼりにしないことを常に心がけています。本人からいろいろ聞き取ること、気持ちを聞くことを大事にしています。
頭の形外来を始めたきっかけを教えてください
正直なところ、ヘルメット治療についてあまり知識がありませんでしたが、他の病気で紹介受診されたお子さんの頭の形がかなり歪んでいるのを親御さんが気 にされていて、ヘルメット治療が受けられないかとの相談がありました。 調べてみると近隣のクリニックや病院では当時はヘルメット治療を取り入れている施設は少なく、またちょうどその頃に学会などで治療について知る機会があり、患者さんのニーズがあるのであれば取り入れてもいいのかなと思いました。 実際に始めてみると、思っていたよりも相談が多いですね。まだ首がすわる前の早い時期に相談される方には、まず向き癖を直すなどの指導をして治療の適応 についてフォローの中で判断しています。
ヘルメット治療を受診される親御さんの反応はどうでしたか
まだ少ない治療経験しかありませんが、効果を実感された親御さんにはとても喜ばれています。頭の歪み具合の改善を客観的なデータとしてグラフでも示されるので、見た目だけではなく効果がわかりやすいように思います。
診療の流れを教えてください
初診ではまず、頭蓋骨早期癒合症など病的な変形で ないかをチェックします。そのうえで3Dカメラでの計測や治療に関する説明等を行います。所要時間は1時間程度です。ヘルメット治療は自費診療となりますので、一旦持ち 帰ってご家族で相談していただき、1週間から1ヶ月後 にフォローしていることが多いです。遠方の方や当日に決めたいと希望される方には、ご希望に応じて柔軟に対応しています。治療開始後は 月1回来院いただき、3Dカメラで計測を行い、治療経過を確認します。所要時間は30分程度です。
読者の方へのメッセージをお願いします
頭の形の治療は、早い時期に相談いただければ理学療法 (向き癖の指導など)等、保険診療の範囲で対策を始めることができます。 頭の形に関わらず、気になることがあれば、まずは気軽に ご相談ください。 まだ喋れないお子さんにはご家族と一緒に考えながら、話せるお子さんには子ども一人一人の声に耳を傾け、その子 に合った最適な医療を提供していきたいと思っています。これまでのNICUやフォローアップ外来での経験を活かしながら、お子さんへの関わり方や新しい治療選択肢を提供することで、子どもと家族により良い医療を届けたいと考えています。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診は3Dカメラでの計測や治療に関する説明等を行います。所要時間は、1時間程度です。
費用
33万円(税込)
診察日時
毎週水、木、金曜日(午後)
予約
電話にて予約を受け付けております。
相談窓口

アクセス
電車・バスでお越しの方: 阪急電車 京都線「桂駅」下車北へ徒歩15分
お車でお越しの方: 亀岡方面からは阪急電車のガードを越え右折し、50m先を左折